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長田 重一
(ながた しげかず)
(大阪大学大学院生命機能研究科教授)
戦略的創造研究推進事業 研究領域「ゲノムの構造と機能」
(現継続研究)研究代表者
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生体は生まれてから成長する過程で、不要になった細胞や害になった細胞を取り除く機構を持っています。また、成長した後も、生体を維持する上で老化した細胞やウイルスに感染したり、がん化した細胞を取り除く機構を備えています。不要となった細胞を取り除く機構は、「アポトーシス(プログラム細胞死)」と呼ばれます。大阪大学の長田重一教授は、こうしたアポトーシスの機構解明の研究をしています。
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| ねらいと背景 |
体の中でなぜ細胞は死ぬのか
長田教授が東大助手だった頃(1980年代半ば)、東京都臨床医学総合研究所の研究者と共同でインターフェロンα(IFNα)※1の研究をしていた時に、偶然細胞を殺す働きを持つFas抗体が見つかりました。
生体の中で細胞がどうして死ぬのか不思議でならなかった長田さんは、詳しく調べてみようと思い立ちました。これがアポトーシスの研究に関わるようになったきっかけでした。
大阪大学に移って研究を続け、1992年から1993年にかけて不要となった細胞に死を命じる「Fasリガンド」と、細胞表面でその指令を受け取る「Fas」という2種類のタンパク質を作る遺伝子を発見しました。この2つが結合すると、細胞は数時間のうちに死滅します。この過程では「カスパーゼ」と呼ばれるタンパク質分解酵素が活性化され、これが細胞内の種々のタンパク質を分解します。
長田教授は、平成10年度から科学技術振興事業団(現・独立行政法人科学技術振興機構)の研究テーマ「アポトーシスにおけるゲノム構造変化の分子機構」や「アポトーシスと貪食の分子機構とその生理作用」の研究代表者として、研究を続けています。
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※1:IFNαは、細胞にウイルスが感染するのを防ぐために白血球などが分泌する物質です。
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アポトーシスを起こした瞬間の細胞
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| 内容と特徴 |
アポトーシス細胞の処理に関わる分子を発見
アポトーシスの過程では、CADと呼ばれるDNA(デオキシリボ核酸)を分解する酵素がカスパーゼ(タンパク質分解酵素)によって活性化され、細胞の凝縮、断片化とともに染色体DNAを急速に分解します。そして、アポトーシスの最終段階では細胞自身が細分化され、白血球の一種マクロファージなどの食細胞に捕らえられて姿を消していきます。
マクロファージは、アポトーシス細胞を貪食しますが、生きている細胞は捕らえません。このことから、アポトーシスは自分を食べてほしいという何らかの“Eat me”シグナルを出していると考えました。
2002年に長田チ−ムは、マクロファージがアポトーシス細胞を認識し、この細胞を捕らえて処理するメカニズムに関係している分子(MFG-E8)を突き止めました。この分子は、アポトーシス細胞をマクロファージに橋渡しする役割をしていました。
また、染色体DNAの分解は、アポトーシスの過程ばかりでなく、赤血球や目の水晶体細胞の分化過程でも観察されます。
水晶体は、カメラのレンズのような役割をしています。長田チームは、水晶体にDLADと呼ばれる核酸分解酵素(DNase)が非常に多いことを見つけました。そこで、この酵素(DLAD)の遺伝子を欠損したマウスを作り実験したところ、本来除去されるはずのDNAが分解されずに残り、水晶体は白濁して白内障の症状を示し、視力も大幅に低下していました。
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| 展望 |
新しいがん治療法開発に道拓く
アポトーシスが起こらなければ、細胞が増殖し、がんや自己免疫疾患が起こります。また、アポトーシスが起こり過ぎると種々の細胞破壊や炎症を引き起こします。
生命は、この巧妙なバランスの上に成り立っています。がんや自己免疫疾患の分子機構が分かることにより、新しいがんの治療法や新薬の開発に道を拓くものと期待されています。
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「研究では偶然との出会いが大切です。これは不思議だという好奇心を忘れないことが発見に繋がります。私が研究を続けているのは、分からなかったことが分かる面白さ、のためです。たくさんのグループがいろいろな方向から調べれば、思いがけない発見があり、研究分野も発展します」
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長田教授ホームページ:http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/genetic/index.html
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