H14年度採用研究課題名と研究者紹介
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平成13年度 平成14年度 平成15年度
荒瀬 尚 川口 寧 坂口末廣 西川喜代孝 藤永由佳子 松本 功 和田昭裕
ヘリコバクター・ピロリの空胞化致死毒素の作用機序解析と新しい治療戦略
長崎大学 熱帯医学研究所 助手
和田 昭裕
和田昭裕(わだあきひろ)
1998年
大阪大学理学部化学科 (下西研究室)卒業
学部4年から大阪大学蛋白質研究所有機化学部門下西康嗣教授の指導を受け、毒素原性大腸菌の耐熱性エンテロトキシンの作用機序に関する研究を行った。 
1990年
大阪大学大学院理学研究科修士課程 (下西研究室)修了
1993年
大阪大学大学院理学研究科博士課程 (下西研究室)単位取得後退学
1993年
長崎大学熱帯医学研究所病原体解析部門病原因子機能解析(平山壽哉教授)助手
1)細菌感染に伴う抗菌性ペプチドの発現誘導およびその活性に関する研究および 2)ヘリコバクター・ピロリの病原性発現機序に関する研究をすすめている。
1994年
大阪大学大学院理学研究科学位取得 (理学博士)
2004年1月
長崎大学熱帯医学研究所講師

研究内容紹介と抱負

 世界人口の半数以上の人がヘリコバクター・ピロリに感染しており、現在では、胃炎、消化性潰瘍、MALTリンパ腫、胃癌の病因は、本菌なしでは論じられなくなっている。米国ではすべてのヘリコバクター・ピロリ感染潰瘍患者の抗菌薬治療が、保菌が胃炎・潰瘍の危険因子となりうるものかどうかの判断があいまいのまま行われている。本邦でも近年3剤併用の抗菌剤治療の保険適用が実施されている。こうした抗生物質に頼った治療が、特にクラリスロマイシンは呼吸器感染症などへの治療に多用されてることもあり、確実に耐性菌の出現を促している。
 和田は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者においてVacA毒素を産生するヘリコバクター・ピロリが高率に分離されることなどから、本菌感染による病態成立にVacA毒素が重要な役割を担うと考えた。本研究では、VacA毒素の初期効果の解析として、VacA毒素とその受容体との相互作用をしらべる。その結果生じる細胞内での空胞形成とミトコンドリア障害から細胞死に至る病原メカニズムを明らかにする基礎的研究を展開し、本菌感染症の新たな予防・治療法の開発につながる基盤構築を目指す。

【受賞歴】
2003年3月 平成14年日本細菌学会黒屋奨学賞
 
 
研究所リンク
長崎大学熱帯医学研究所
http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/home/