独立行政法人科学技術振興機構 さきがけ研究 |
ナノテクノロジー分野 3領域合同研究報告会 特別講演 |
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演題: |
ナノテクノロジーによる透明材料の秩序と物性制御 |
演者: |
平尾 一之 (Kazuyuki Hirao) |
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京都大学大学院工学研究科材料化学専攻 教授 |
日時: |
2006年3月22日(水) 11:20〜12:10 |
会場: |
学術総合センター 一橋記念講堂 |
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<講演概要> |
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透明材料の中でもガラスは、我々の生活に欠かすことのできない材料である。反面、原子の並び方に周期性がなくランダムな構造形態であるが故に、局所的な構造改質やそれに伴う機能付与が容易ではないという一面も有している。ガラスの構造を変化させる方法の一つとして、電磁場などの外部場を与えて内部改質をさせることがあげられる。特にフェムト秒レーザーは、非常に高い電場強度が容易に得られることから、多光子吸収等の非線形過程を経て、透明なガラス材料内部においても相互作用を起こさせることが可能である。フェムト秒オーダーの高強度パルス光と材料との相互作用の初期過程は、非常に短時間で進行するため、レーザー照射領域は電子系と格子系の温度間の不一致により、空間選択的な非平衡状態となる。内部構造の自由度が大きいガラスでは、その構成元素(組成)とレーザー照射条件との組み合わせにより、通常の光励起では観測されないさまざまな秩序を有する誘起構造を生じさせることができる。
本講演では、フェムト秒レーザーの照射条件やガラス組成に依存する幾つかの現象を概説するとともに、これらを用いた応用デバイスへの取り組みについて紹介する。
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<平尾教授 ご紹介> |
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[専門] |
無機材料化学、応用物理学、理論化学、レーザー化学 |
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[経歴] |
1974年 |
京都大学工学部工業化学科 卒業 |
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1979年 |
同 工学研究科博士課程修了 |
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1979年 |
同 工学部助手 |
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1985年 |
レンセラー工科大学博士研究員 |
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1987年 |
京都大学工学部工業化学教室助教授 |
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1994年 |
科学技術振興事業団創造科学プロジェクト(ERATO)総括責任者兼任 |
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1998年 |
京都大学大学院工学研究科材料化学専攻教授 |
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2000年 |
科学技術振興事業団国際共同研究(ICORP) |
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フォトンクラフトプロジェクト代表研究者兼任 |
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2001年 |
NEDOナノガラス技術プロジェクトリーダー兼任 |
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2002年 |
京都大学福井謙一記念研究センター副センター長兼任 |
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[主な受賞] |
日本セラミックス協会進歩賞(1983年) |
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Gottardi国際賞(1990年) |
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日本セラミックス協会学術賞(1998年) |
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日本化学会学術賞(1999年) |
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Morey賞(米国)(2000年) |
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アメリカセラミックス協会フェロー(2001年) |
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産学官連携功労表彰 経済産業大臣賞(2004年) |
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Otto Schott賞(独国)(2005年) |
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日本材料学会学術貢献賞(2005年) |
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