JST 独立行政法人 科学技術振興機構 デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術
Foundation of technology supporting the creation of digital media contents
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先端技術ショーケース’06

ユビキタスコンテンツ制作支援システムの研究/稲蔭正彦
どのような研究テーマなのか?

 今、生活のなかでユビキタス技術が普及し始めています。色々な所で目に見えないコンピュータがつながって、家のなかでは冷蔵庫とか家電製品さまざまなものがつながるようになってきています。そういったユビキタスコンピューティング技術を使って新しいコンテンツを作れないかという着眼点に基づいて作品をつくるという活動を始めています。
研究活動の現状は?

  研究活動は、三つの視点から同時平行に行っています。一つは、ユビキタスコンテンツと呼べるような新しいタイプのコンテンツとは、どんなものなのかということを分かりやすいさまざまなコンテンツ群を試作しています。二つ目は、そのコンテンツをつくるためのクリエイターのための技術開発をすすめており、それが完成するとたくさんの人がツールを使って開発するとそういった技術開発は今3分の1くらいまで終わっているといっていいと思います。そして三つ目の軸としましては、優良なコンテンツを安定して作っていくためには、なんらかの理論的な裏づけが必要だと思っています。そのような新しいコンテンツをつくっていくための理論というのはなんなのかということも、現在模索しており、そのうち書籍とかいろんな形で紹介できると思っています。
  今研究しているジャンルは、ユビキタスコンテンツという新しいコンテンツのジャンルです。最終的なゴールとしましては、映画・ゲーム・アニメーションにとってかわる、もしくは、それに替わるようなユビキタスコンテンツというジャンルを創出したいと思っています。そのためには、たくさんのクリエイターが、ユビキタスコンテンツを作っていかなければならないわけなんですけれども、クリエイターが作りやすい環境を整備し、そして新しいジャンルを作りだしていく。その結果、生活の中にたくさんの面白い新しいタイプのコンテンツがあふれてくるということを、今開発しています。
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デジタルパブリックアートを創出する技術/廣瀬通孝
どのような研究テーマなのか?

 デジタルアートの分野ではデジタルアートはだいたい室内で展示されるものです。デジタルアートのファンも多いけれど、それまで、一般の人に対してはまだ一般的でないというところがあるわけで、まだまだ閉じている。それをパブリックにして開くときに、一体どういうことが可能なんだろうかということをこれから考えていくとき、それにはそれに係る色々な技術開発が必要なはずで、それはコンピュータ技術全体にとってもいいもののはずだから、それを基礎技術中心に開発していこうというのがデジタルパブリックのプロジェクトということです。
現在の活動の状況は?

  アーティストの立場からと技術者の立場からと2つの努力がだんだん歩みよりはじめているというのが現状だと思います。アーティストの方たちのなかで、空間を人工物で埋めていくような、人工的に動くモノで埋めていくような(空間充填型と言われているのですが、)作品がいくつかできている。ただこれがまだコンピュータを充分に使っているわけでないので、まだまだいわゆる、パブリックアート的な性格が強いのかも知れません。もう一つは、アーティストの方でなくエンジニアの方から、空間を具体的にコンピュータの力でもって三次元的に埋めていくようなタイプの作りがある。ただ、これはまだスケール的に小さいし人を感動させるようなコンテンツを生んでいるわけでないので、本当に技術・技術したものであって、その間の距離をだんだん埋めていくという(たとえば、空間充填のなかのディスプレイのところでは)ことが行われていくだろうと思います。それからいくつかの要素技術が、今申し上げた以外にも、技術側からたくさん提案されてでていますので、今年から来年くらいには幾つかの作品を通じて、そうした技術をインテグレーションしていき人々に感動を与えているように作品をつくっていくというような経過をたどることになるのではないかと思っています。
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デジタルメディアを基盤とした21世紀の芸術創造/藤幡正樹
どのような研究テーマなのか?

 基本的に美術の分野とデジタルなメディアが、どういう関係性を持てるかというのがテーマなんですが、その中でも「書く」ということをまずやる。そうすると「書く」ということは、単に書き出すだけでなく、「見る」ことだってそれをイメージすることがあって、「描く」ということがある。そうすると、それだけで3つある。それぞれ「見る」といっても、人間が眼でみるということと機械が眼でみるということもちがうし、「書く」というものもディスプレイの上に出力するということと、機械が出力するということと、人間が使っている道具、水彩画と油絵でもちがうし、そういう実はちょっと簡単にみえるけれどもものすごく複雑で、やらなければならないことがいっぱいあるので、広がりがありすぎて困っているのです。
研究の進め方

 プロジェクトの進め方としてまず工学部系メンバーと芸術系メンバーがいるので、両者の場合、知識の共有とか体験の共有というのがあって、それがあってから、それぞれのチームに分かれて今まで持っているノウハウを束ねたある実験ツールというものをつくっていこうと。美術の分野があって、美術の分野というのはかなり情報工学化しにくいというかメディア化しにくいわけなんですね。ところが、かつてからメディアと関係性がある、媒体を使うとどういう表現が可能になるとか、こういうメディアではこういうことが面白いということが、全部絡んでできているのだけれど、その部分がデジタルメディアの関連性でいうと、あまり解かれていないので、それをきちっと解きたい。今、絵を「書く」というテーマにしているわけですが、なんで人が絵を「書く」のかとかなり根源的な問いで、実は思っている以上に「書く」ということが、僕たちの成長過程において重要な役割を果たしていると思われ、言葉を発声・獲得するのと同じ時期に画像による対象のシンボル化ということも起こっている。そういうことの意味、中学高校の学科でいうと美術は、ほとんど端っこに追いやられているのですが、美術というサブジェクトの(科目)の復権という、もうちょっとちゃんとしたいなというのがあります。
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コンテンツ制作の高能率化のための要素技術研究/森島繁生
どのような研究テーマなのか?

 日本のアニメのよさ、最近3Dもたくさん使われるようになっていますけれども、やはり2Dの味、作者の感性といいますか、2Dアニメのよさというのがやはり日本アニメのよさという事を考えていることが多い。ただ2Dアニメというのはご承知のように、セルアニメベースというか手書きベースになりますので、非常に生産効率が悪くて、非常に短期間のうちにつくるという面ではすごく難しい面があります。そこを何とか3Dの効率と2Dのよさというものを合わせもったような新しいアニメ制作形態、そういうものを実現できるとよろしいであろうと、そういうニーズが実際にはあるということです。
研究キーワード

  ディレクダブルというキーワードを出しているのですが、その作者の感性を入れ込む。ある程度自動計算をして、そのあとである程度作者の感性が反映できるようなそういう仕組みを作れれば、3Dベースなんだけどそういう2Dのよさみたいなものが少しでも反映できるのではないかということを考えて、今回は、研究テーマに着手しようということになりました。作品の作りかた自体がかなり変わってくると思います。今回色んなテーマを上げているが、たとえば3Dと2Dがミスマッチしていたといって、それが3Dにディレクダブルに感性を生かせるようになって、2Dとのミスマッチが減ってくるということになると3Dと2Dを独立につくるのではなく、また一緒になったワークフローが確立できるかもしれないし、作り手(製作者)にとってみれば、かなり革命的な映像制作プロセスに変わってくるのではないか。
 花形満の髪型とか、あれは永遠の課題で、こっちを向いているときはこっちなのに、こっちを向くとこっちになる。それをどう3Dで表現するかすごく難しい課題だと思っています。
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デバイスアートにおける表現科学技術の創成/岩田洋夫
どのような研究テーマなのか?

 我々のプロジェクトでは、デバイスアートというものを提案しています。デバイスアートというのは、日本のメディアアートの特長を表していて、技術を見せるかたちでアートにしていく、そういう珍しい特長があります。それで色んな作家の方が、デバイスアート的な作品を今まで発表してきて、世界でも注目を浴びているのですが、技術として体系化させようというのが我々のプロジェクトの最大の狙いであります。技術というのを生み出していってさらに制作の方法論とか評価を生み出していこうということを目指しています。平たい言葉でいうと、そのままでは作品の発表だけで終わってしまう。世の中に定着させるには、根を張らなければならない。その根とはなんだろうということを発見していこうというのが、私どものプロジェクトであります。
研究が実現する未来

  デバイスアートの非常に大きな特長として、まず作品自体がプレイフルであること、無条件で楽しめるという特長があるのと、それから一品ものの作品ではなく、量産して商品化するということ、そういう特長がある。これは従来の芸術には、全くなかった性質なんですが、それに挑戦していって成功すればデバイスアートの作品が世の中、広く渡ってみんなが楽しめるという形になるわけで、新しい市場ができると思っています。従来のデジタルコンテンツとデバイスアートのちがう最大の点というのが色んなハード、ものを作品として使っているということで機械産業とかそういった従来の古典的な産業を活性化できるのではないかとそういうポテンシャルがあるのではないかと思っています。
  我々チームには多くのメディアアートの作家が入っておりまして、作品の制作を通じて基盤技術を見出していくというそういうプロセスを今、踏んでいます。非常に難しいのは、基盤技術とは何だろうという問題があって、それを見いだすために、新しいものをつくりながらその技術は何かな、ということを考えていこうというそういう進め方をしています。
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時系列メディアアートのデザイン転写技術の開発/片寄晴弘
どのような研究テーマなのか?

 私達のチームでは音楽を題材にして、エンターティメントであるとか、デザイン支援であるとか、そういうあたりの研究していきます。

何が出来るようになるのか?

 音楽のエンターティメント性です。音楽を聴くとか作るそれ自体楽しいですが、新しい技術によって今までなかった音楽の楽しみ方、作り方を提供できると思っています。
どのような研究内容なのか?

 音楽が一つ何が違うかというと、時系列メディアアート、時系列メディアといいます。時間のもとにある種、消え去っていく芸術なんです。そういう芸術の特長というのは、実は予測ということが重要なカギにキーワードになっています。音楽は実は、演出家がある音を出したいことを考えるときに、手を動かさなければならない。ある瞬間にある音を出すためには手の動かし方を先に考えているわけなんです。これだけからも分かるように音楽は、先を見ながら成立する芸術分野です。この研究にあたっては、音楽の予測できるという認知的な性質をかなり重視しながら、モデルをつくっていきたいと思っています。名演奏家という上手なピアニストがいらっしゃると思いますが、その人たちが目の前でひいてくれたり、指揮をしたりとか普通、楽しめないことです。我々の研究によってその人の演奏したモデルができますので、自分が指揮した感覚でその人にひいてもらう、そういうような擬似体験ですけれども、作るシステムができるようになります。もう一つ、音楽の分野でグラフィックエコライザーを使って楽しまれている方がいると思いますが、あくまで、音響をかえるだけなんです。それに対して、ちょっとすすんだ範囲で音楽ですとエンジニアとか、プロデューサーで色んな人がいらっしゃいます。たとえば、ビートルズ風の仕上がりで聴いてみたり、最近ですとJ-POPとかテクノートとかあるのですが、その辺を自分の手元でかえてみたいということで、できるようになると思います。音楽というのは、色んな楽しみ方をするのですが、音楽聴衆のなかで単純に聴いているだけでなく、積極的に働きかけながら聴く、能動的芸術鑑賞と呼んでいます。そういう楽しみ方の提供につながると思っています。
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映画製作を支援する複合現実型可視化技術/田村秀行
研究の内容+研究のきっかけは?

 私の専門はもともと、CGとかバーチャルリアリティ分野なんですが、個人的に映画好きでして、年間に百数十本見てるのですが、私の技術を出来れば映画づくりに使ってほしい。最近、若い人たちが映像クリエイターになっていますよね。映画づくりに色んな段階があるのですが、プレプロダクションといって企画・撮影に入る段階です。ここを便利にしたい。より、イマジネーション豊かに映画を作れるようにこういったものを役立てたいというのが、この研究のきっかけなんです。
何が出来るようになるのか?

 あらかじめ、色んな動きのデータ、俳優さんのデータをとっておいて、現場でカメラを構えると、そしてここにカメラを動かしていたそれにすべてその演技のCGデータが同時に動いてくる。それを目の前で確認できるこの映像を使って、あとで本番をとる。こういう、システムなんです。データのことを話しますと、モーションキャプチャーとはご存知ですね。今、ゲームでも使われていますが、色んなマーカーをつけて色々人の動きをとる。それをコンピュータに取り込んでしまうわけなんです。さらにこのプロジェクトの新しいすすめ方は3次元ビデオという技術でして、このように多数のカメラで動きをとっておく。ああいう、さっきのマーカーをつけないでです。ヒラヒラとした、着物の動きなんかもまるごととれてしまう。そしてこれがどの角度からでも見られる、こういう技術なんです。これ、実際に今とったデータを部屋の中においてみたのですが、こういったことがもっと、撮影現場でできる。これが我々の基本技術になっています。
  まだ、このプロジェクトは、はじまって半年足らずですが、夢は大きく持っていまして、できればアメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドと今、映画技術がどんどん進化していますから、この世界に殴り込みをかけたい。最初は、私たち大学の学生の作品づくりから始めて、日本の業界の方に使って頂き、そしてそれを世界に向けて日本のオリジナル技術として発信したい。こういう夢を描いています。
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オンラインゲームの制作支援と評価/松原仁
どのような研究テーマなのか?

 一言で申し上げると、オンラインゲームの社会的に受け入れられるものにするというのを目標にしています。具体的にいうと、2つの側面があるというふうに思っています。ゲームというのは面白くて、日本でこれだけ多くの人たちにプレイされているわけですが、その一方で、反社会性というのを指摘されています。それをできるだけ減らして、ゲームの本来持っている面白さをひきだす、そういうゲームをつくるにはどうしたらいいのかというのを、このプロジェクトで研究したいと思っています。もう一つは、オンラインゲーム。まだ、日本にはビジネスとして、うまくあまりいっていないと思います。制作費の問題などが大きくあると思うのですが、技術の助けを借りて、オンラインゲームをビジネスとしても、うまくいくようにする。日本は、ゲームのコンテンスという世界に誇るものを持っているので、オンラインゲームでもそのコンテンスを発揮して、世界とビジネスができるようにすればというのが2つ目の目的です。
何ができるようになるのか?

  我々のプロジェクトがうまくいけば、オンラインゲームをつくる方法論、それも社会的に受け入れるような、オンラインゲームをつくる方法論を確立したいと思っています。それがうまくいけば、ちゃんとビジネスとして成り立つようなオンラインゲームというのを色々な会社の人がつくれるだろう。そういうことになれば、今アイデアはあるけど、オンラインゲーム業界に入れない人たちが多いと思うんですが、それが入っていただいて、面白いオンラインゲームをつくって世界で爆発的にヒットするということで、日本の産業の育成というのにも、貢献できるのではないかというふうに期待しています。

研究プロジェクトの今後は?

  プロジェクトはじまる前は、オンラインゲームをつくるというのがとても大事で、そこに何とかして貢献したいと思っていたんですが、色んな調査をしているうちに、つくることはもちろんなんですが、オンラインゲームの場合、そのあと運用する、いかにお客さんがあきずにオンラインゲームをつづけるかということが作成以上に重要だということが分かってきたので、我々の研究の方法も作成をもちろんやるのですが、運用をいかにうまく効率的にやるか、情報処理技術のたすけを借りて効力的に運用するかということが、オンラインゲームの成功させる秘訣ではないかと分かってきまして、そちらの方にこれから、着手していこうと思っています。
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