独立行政法人 科学技術振興機構
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光の創成操作と展開
研究者紹介

phase1phase22007.10〜2011.3
板谷 治郎 清水 亮介 永井 正也 早瀬 潤子 前田 はるか
宮丸 文章 三代木 伸二 森下 亨
 
     
 個人プロフィール

【 学歴 】

1998年大阪市立大学理学部物理学科卒業
2003年大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了,博士(理学)

【 職歴 】

2003年-2007年 科学技術振興機構CREST 研究員,
2007年-現在 科学技術振興機構 さきがけ 専任研究者
−主たる研究内容−
量子光学(非古典光の発生とその応用)
−趣味−
旅行
 研究内容紹介

光科学技術は計測やイメージング,あるいは情報通信といった多方面の分野で応用されています.現在実用化されている光科学技術のほとんどは古典的な波動光学に基づいており,これらの現象は光の粒子的な側面から見ると光子間に相関を持たない無相関な光子群の現象として考えることができます.一方で,レーザーや非線形光学の進展により複数の光子間に相関を持たせることが実験的に可能になってきました.一般に光の量子状態は光子数,偏光,エネルギー,波数ベクトルといった物理的自由度により決定されます.これらの自由度のうち,偏光は2次元の離散的な自由度を持つため,その量子相関は量子情報通信技術における2準位系(量子ビット)を利用した量子演算の原理検証実験にしばしば用いられてきました.一方で,光のエネルギーや波数ベクトルといった連続的な自由度における量子相関を利用することで,光計測や光イメージングの分野において従来の波動光学で考えられていた古典的限界を打破する技術を可能にすることが期待されています.実際に,光子間の横方向の波数相関を利用することで古典限界を上回る解像度が実現可能なことから光イメージング分野への応用が見出され,量子イメージングの研究分野として現在も盛んに基礎研究が行なわれています.一方で,光子間のエネルギー自由度における量子相関は物質との相互作用や時間領域における計測において重要な役割を果たします.

物質の内部状態を量子論で扱う一方で,光は古典的な物理量として扱う半古典論の枠組みにおいて,光と物質との非線形光学応答を実験的に調べるためには超短パルス光を使うことが最適な手段です.しかしながら,光の量子性が顕著になる極微弱光領域では多光子波束の量子相関が重要な役割を果たすと考えられます.実際に,古典的には全く同一の性質を持つ光波束であるにも関わらず,量子的に全く異なる性質を持つ光の状態が存在します(図).本研究では時間―周波数領域における多光子波束の量子相関を制御する手法の開拓を行い,古典的には全く同一の性質を持つにも関わらず,量子的には対称的な性質を持つ多光子波束による非線形光学現象を実験的に調べ,その光学応答が全く異なることを実証します.これにより,量子レベルの光と物質との非線形光学応答では相互作用を強く起こしたい場合と,その超高速時間応答を調べたい場合とで最適な光の状態が異なることを明らかにします.

図 2光子波束の周波数分布の模式図.
(a)反相関状態,(b)相関状態.


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