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光の創成操作と展開
研究者紹介

phase12006.10〜2010.3 phase3
青木 隆朗 芦原 聡  木下 俊哉 櫛引 俊宏 越野 和樹
田中 拓男        
 
     
 個人プロフィール

【 学歴 】

東京大学理学部物理学科卒業,同大学大学院理学系研究科修士課程・博士課程修了,博士(理学)

【 研究歴 】

理化学研究所フロンティア研究システム研究員,科学技術振興機構CREST研究員,和歌山大学システム工学部助手和歌山大学・助手を経て、2007年4月より東京医科歯科大学 教養部 准教授
−主たる研究内容−
量子ダイナミクス理論(特に,光と物質を舞台とした,量子光学・光物性の理論)
−趣味−
ドライブ,インテリアショップ巡り
 研究内容紹介
光は環境自由度からの擾乱を受けにくい物理系であり,他の物理系と比べて圧倒的に長い時間にわたって量子コヒーレンスを保持することができる,という特長を有しています.特に,単一光子,絡み合い光子対などの光子数確定パルスは,物質の量子コヒーレンスを積極的に活用する“量子情報処理”実現のための最適の物理系であると目されています.そこで,非線形光学効果を用いて,光子の量子状態を別の光子を介して意のままに制御する“光子の光子による制御”が,現代フォトニクスの重要課題として浮上してきました。 通常,非線形光学効果発現のためには高強度の入射光が必要であり,数個の光子といった微弱光では非線形効果は期待できないと思われてきました.しかしながら,原子・分子や量子ドットなど少数離散準位を持つ光学物質で見られる吸収飽和は,個々の光子に敏感な巨大光学非線形性をもたらします.このような飽和非線形性を有する光学物質を,共振器を介して効率的に入射光子と結合させることにより,数光子程度の微弱入射光でさえも大きな非線形光学効果を獲得しうることが期待されます.更に,物質の光学特性(準位間隔や光子との結合強度など)は,レーザー光照射などの外部因子を用いて時間的に操作することが可能です.本研究では,共振器を介して効率的に入射光子と結合した非線形光学物質を舞台に,“光学特性の時間的操作”という新しい自由度を最大限に活用して,光子の量子状態を自在に制御する方法を理論面から確立することを大目標に据えています。 これまでは,光子の量子状態として,光子数・偏光といった離散的な自由度のみに焦点があてられてきました.しかし,電場振幅の大きさが鍵となる非線形光学の観点からは,光子パルスの空間形状という連続的な自由度も重要です.例えば,飽和非線形効果を発現させるためには光子が高効率で物質系に吸収されることが必要不可欠ですが,同じエネルギーを持つ光子であっても,物質系に吸収される確率は,パルスの空間形状に敏感です.また,物質との強い相互作用を介して光子パルス形状は著しい変形を受けますが,このパルス形状の歪みは光子の干渉性を損ねるため,デバイスへの応用の際に大きな障害となります.本研究では,光子場の連続多モード性を正しく取り入れ,光子場と物質系の双方を量子力学的に取り扱う定式化に基づいて,時空間情報まで定量的に議論しうる量子光学理論を構築し,光子パルスの空間情報まで含めた厳密な光子制御の方法を模索します。
Figure caption
光子数確定パルス制御の概念図.
(a) 少数準位量子系を共振器中に配置することにより,単一光子を制御可能な強い非線形効果を得られる.
(b) レーザー光など外部因子を用いて動的な光学系を実現し,出力光子を望みの状態に制御する.

 

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