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光の創成操作と展開
研究者紹介

phase12006.10〜2010.3 2007.10〜2011.3 
芦田 昌明 石川 顕一 井戸 哲也 大村 英樹 尾松 孝茂
桂川 眞幸 久保 敦  熊倉 光孝 長谷 宗明 菱川 明栄
 
  URL: (和)http://ishiken.free.fr/
(英)http://ishiken.free.fr/english/index.html
 個人プロフィール

【 学歴 】

大阪府堺市出身
灘高等学校
東京大学工学部
同大学院工学系研究科修士課程
ドイツ・アーヘン工科大学理学系研究科博士課程

【 職歴 】

フランス・原子力庁サクレー研究所ポスドク
理化学研究所・基礎科学特別研究員、東京大学大学院工学系研究科助教授(2007年度より准教授)を経て、 2009年より東京大学大学院 工学系研究科附属光量子科学研究センター准教授
−主たる研究内容−
レーザー物質相互作用・高強度場物理現象・アト秒科学の理論・シミュレーション
−趣味−
旅行・オペラ鑑賞・おいしいものを飲み食べすること
 研究内容紹介

高次高調波(フェムト秒レーザーに照射された原子から波長変換によって発生する奇数次の倍波)やX線自由電子レーザーに代表される新しい極端紫外(XUV)および軟X光源(高強度超短パルス短波長光)の出現は、光と物質の相互作用研究の新しい扉を開くものと期待されています。これは、学術的に興味深いというだけではなく、超高速現象の科学や結晶を必要としない構造解析などの将来の光科学技術の基盤として注目されています。

 高次高調波の発生過程や高強度超短パルス短波長光と物質の相互作用は、非線形・非摂動論的で複数の電子の相関が重要な役割を果たしていることが多く、このような現象の理論研究は、時間依存シュレーディンガー方程式(TDSE)に基づいて行うのが最良の選択の1つです。本プロジェクトでは、TDSEをはじめとする様々な計算手法や理論モデルを駆使して、高強度超短パルス短波長光(特に高次高調波)の発生・計測・応用に関する理論研究を展開し、ヘリウムの2光子2重電離、アト秒ダブルスリット実験、高次高調波発生の飛躍的増大効果とそのアト秒パルス発生への応用などの成果を挙げています。

 私が理論的に予言した飛躍的増大効果とは、トンネル電離をアシストするブースターXUV光を同時照射することにより、イオン化ポテンシャルの大きいターゲット原子からの高次高調波発生効率が数桁〜十数桁も向上する現象(図1)で、実証実験にも成功しました。さらに、この効果はアト秒シングルパルス発生に応用できます。波長2.1ミクロンの基本波の15〜23次光からなるシードパルス列(図2(a)緑)と波長800nmの駆動光(同赤)との組み合わせによるNeからの高調波を計算すると、アト秒シングルパルスが得られることが分かります(図3(b))。これによって、シングルパルスの発生が、より手軽に実現できると期待されます。

 今後も研究を進め、原子・分子内電子の波動関数の観測や新しい状態の創出、そのダイナミクスのアト秒レベルでの観測・制御などの革新的技術の創製に大きく貢献していきたいと考えています。


図1 波長800nmのフェムト秒レーザーだけを用いた場合、He+(緑)からの高調波スペクトルはH(青)に比べて短波長(高次)にまで及んでいるが強度が極端に低い。これに、ブースターXUV(この場合27次高調波)を同時照射することによって強度を飛躍的に増大させることができる(赤)


図2 (a)駆動光の電界(赤)とシードパルス列の時間プロファイル(緑) (b)Neから発生する波長24nm付近のアト秒シングルパルスの時間プロファイル

 

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