さきがけニュース
「生体分子の形と機能」領域
アミロイドβペプチド(28−42)の構造決定 高野和文研究者アルツハイマー病の原因タンパク質であるアミロイドβペプチド(Aβ)の28−42の領域の結晶構造を世界で初めて決定し、その成果が欧州科学誌「FEBS Journal」に掲載される | |||||||||||||||||||||||||
戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、高野和文研究者(平成14年度採択)らは、アルツハイマー病の原因タンパク質であるアミロイドβペプチド(Aβ)の28−42の領域の結晶構造を世界で初めて決定しました。この成果は、欧州生化学会誌「FEBS Journal」(2006年1月号)に論文として掲載されました。 また、本研究成果は、日刊工業新聞(2005年11月14日付)、読売新聞(同11月16日付)、YOMIURI ONLINE(同11月16日付)、THE DAILY YOMIURI(同11月17日付)、月刊「化学」(2006年1月号)に取り上げられました。 Aβは世界中で精力的に研究されており、その水溶液環境での構造に関しても、そのアミロイド線維への構造転移機構の解明や阻害剤の開発などに重要とされてきましたが、その高い凝集性のため、これまで構造の決定はなされていませんでした。また、形成されたアミロイド線維ではなく溶液状態のAβ が病気の原因とする報告もあり、構造解析が重要となっています。 本研究では、この高い凝集性を避けるため、他の安定なタンパク質の末端にAβの部分配列を結合し、その結晶を作製することに成功し、その構造を決定しました。 決定された構造は逆βシート構造を形成しており、アミロイド線維への構造転移の初期構造の可能性があります また、この構造から、Aβ(1-42)とAβ(1-40)のアミロイド線維形成能の差の原因なども示唆されています。 本研究で開発されたこの手法を用いることで、これまで高い凝集性で構造解析が不可能であったタンパク質の構造解析も可能となり、Aβ全長の構造決定や、それらからの阻害剤の開発などに役立てられます。 |
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