戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、佐藤 健研究者(平成14年度採択)らは、細胞内でタンパク質合成を行う小胞体からタンパク質が運ばれる過程を人工的に再現し、タンパク質が正確に運ばれる分子メカニズムを解明して、その成果が英国科学雑誌「ネイチャー・ストラクチュラル&モレキュラー・バイオロジー」(1月23日付)電子版に掲載されました。 今回、酵母細胞から抽出したタンパク質輸送に必要な成分とGTPを、人工的に再現した小胞体に加えることにより、輸送小胞にタンパク質が取り込まれる過程を試験管内で人工的に再現する方法を開発して解析を行いました。その結果、輸送小胞にタンパク質が取り込まれる際に、Sar1はGTPのエネルギーを使って、異常なタンパク質を輸送小胞から排除する「監視役」を担っていることが解りました。 小胞体からのタンパク質輸送メカニズムは、酵母からヒトに至るまでほぼ同じと考えられていることから、今回の成果は、小胞体からのタンパク質輸送の障害が原因とされている疾患の発症メカニズムや治療法の確立に大きく貢献できると考えられます。また、この研究で開発した、輸送小胞を人工的に作らせる技術を応用することによって、細胞内の特定の場所への薬物送達が可能になることが期待されます。 |
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