戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ「生体分子の形と機能」領域(研究総括:郷信広、京都大学名誉教授)の 小澤岳昌研究者(東京大学大学院理学系研究科)は、日本化学会進歩賞を受賞し、 関西学院大学で3月27日に授賞式および同29日に受賞講演が行われた。
同賞は、日本化学会の授賞選考委員会において審査・決定され、化学の基礎または応用に関する優秀な研究業績を挙げた研究者に授与されるものである。
小澤研究者は、タンパク質を二つに分割して機能を失わせ、それを再度組み継ぐ(プロテインスプライシング反応)ことにより機能を回復させる新しい現象を発見し、生きた細胞内でのタンパク質が互いにくっつく様子(相互作用)や、タンパク質のリン酸化を検出する光プローブ分子の開発に成功した。さらに、細胞内ミトコンドリアや小胞体に局在するタンパク質を確度良く同定する光プローブ分子を開発し、多種類のタンパク質を一度に同定する方法を開拓した。プロテインスプライシング反応により二分したプローブ分子の機能を回復させる独創的な発想は,同氏が初めて創案し開発したものであり,protein reconstitution system(タンパク質再構成システム)として世界の多くの研究室でその技術が応用され始めている。
小澤研究者は、現在「さきがけ研究」において、タンパク質再構成システムを用いて、遺伝子発現とタンパク質のオルガネラ移行を非侵襲的に時空間解析する新たな研究法の確立を進めており、今後の更なる展開が期待される。
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