さきがけニュース
「生体分子の形と機能」領域
生体内の硫化反応における酵素触媒メカニズムを解明 濡木理研究者tRNA硫化反応における酵素触媒反応プロセスのメカニズムを、
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戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、濡木理研究者(平成14年度採択)らは、tRNAとtRNAに硫黄を結合させる酵素の複合体に着目し、化学反応過程に沿った3種類の複合体の立体構造をX線結晶構造解析によって決定して硫化反応のメカニズムを解明し、その成果が英国科学雑誌「ネイチャー」(7月27日号)に掲載されました。 酵素とtRNAはお互いに形を変えながら、水分子を排除するような反応器をつくり、反応性の高い硫黄原子を安定な環境で、tRNAの定位置に結合させていることを明らかにしました。このような反応を人工的に行うことは大変困難なのですが、生体内で酵素と基質(tRNA)の構造がダイナミックに変化することで、巧妙に反応を進めている様子が世界で初めて明らかにされました。 この結果は、酵素による化学反応触媒の新たなメカニズムを提唱するものであり、従来の常識であった鍵と鍵穴という酵素反応の一般的な概念を覆し、教科書の内容を塗り替えることになると考えられます。また酵素触媒反応のプロセスを原子分解能で明らかにしたことで、今後のコンピュータサイエンスに対しても多大な影響を与えるものと思われます。 |
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