さきがけニュース
「生体分子の形と機能」領域
生命誕生初期のタンパク質合成メカニズムを解明 濡木理研究者古細菌のグルタミン生成におけるアミノアシルtRNAの変換機構をX線結晶構造解析により解明し、
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戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、濡木理研究者(平成14年度採択)らは、「tRNA依存性アミド基転移酵素(GatDE)」と、「グルタミンtRNA(tRNAGln)」からなる複合体のX線結晶構造解析に成功し、古細菌のゲノムからは作られないはずのグルタミン生成において、(グルタミン酸が誤って結合した)グルタミルtRNA(Glu-tRNAGln)がグルタミニルtRNAGln(Gln-tRNAGln)へ変換するメカニズムを解明しました。その成果が米国科学雑誌「サイエンス」(6月30日号)に掲載されました。 古細菌は、近年のゲノム解読の結果から、16種類のアミノアシルtRNA合成酵素の遺伝子しか存在しないにもかかわらず、20種類のアミノ酸が存在します。これまで、存在しない4種類のアミノアシルtRNA合成酵素の遺伝子に対応するアミノ酸は、16種類のアミノ酸とtRNAの複合体から変換され、調達されると考えられてきましたが、その分子メカニズムは長い間の謎であり、今回初めて濡木研究者らが解明したものです。 この結果は、生命誕生初期において、tRNAに依存しながら新しい遺伝暗号がつけ加えられ、アミノ酸の種類が増えていったしくみを、原子レベルで明らかにしたもので、将来、人工的に新しいアミノ酸をタンパク質に組み込む技術開発にも繋がると考えられます。 |
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