さきがけニュース
「生体分子の形と機能」領域
蛋白質が核酸を擬態してRNAを認識する機構を解明 濡木理研究者メチオニルtRNA合成酵素は核酸の2重らせん構造を真似してtRNAのアンチコドンを厳密に認識することを解明し、Nature Structural & Molecular Biologyに掲載される | |||||||||||||||||||||||||
戦略的創造研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)の濡木理研究者(平成14年度採択)の「メチオニルtRNA合成酵素によるアンチコドンの認識機構」に関する論文が、英国科学雑誌「ネイチャー・ストラクチュラル・モレキュラー・バイオロジー」(9月11日にon line)に掲載されました。 メチオニルtRNA合成酵素(MetRS)は、他のアミノアシルtRNA合成酵素に比べ単純なドメイン構造でありながら、tRNAのアンチコドンを極めて厳密に認識することが知られていました。しかし、そのメカニズムは30年来の謎でした。 本論文では、Aquifex aeolicus由来メチオニル合成酵素、メチオニルAMPアナログ、tRNAMetの三者複合体の結晶構造を2.7 Å分解能で決定し、tRNAMetの認識に重要なアンチコドンの1文字目、2文字目のC34,A35は、歪んだアンチコドンループ上でA38とスタッキング相互作用し、特に重要なC34は、Arg357とワトソンクリック様の水素結合を形成していることを明らかにしました。 本研究により、MetRSはtRNAのアンチコドン領域と、核酸の2重らせん構造を真似した複合体を作ることで、極めて特異的にアンチコドンの塩基を認識していることが明らかになり、MetRSはRNAワールド(すべての生体内反応をRNAが触媒していた時代)からタンパク質ワールドへ移行する進化の過程で出現した起源の古い酵素であることが示唆されました。 |
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