戦略的研究推進事業「生体分子の形と機能」研究領域(研究総括:郷 信広)における研究テーマの一環として、根本知己研究者(平成13年度新規採択)等は、世界に先駆けて、2光子励起過程による断層イメージングを用いて、鼻の粘膜組織における粘液(鼻汁)の産生機構を直接的に可視化することに成功し、その成果が学術雑誌 Cell Calcium (Vol. 37, pp 349-357, 2005)に掲載されました。 これまでは直接検証することが困難であった、刺激を受けた鼻粘膜上皮組織における細胞内遊離カルシウムイオン濃度の変化と、その結果生じる体内から外部への電解質溶液の輸送や殺菌性生理物質の逐次的な開口放出現象を、今回初めて同時実時間可視化することに成功すると共に、これらの機能が秩序良く発現することによって効率的な生体防御機能が実現されていることを初めて明らかにしました。 この成果は、花粉症(アレルギー性鼻炎)や分泌異常症などにおける薬効試験や病理学的診断など、治療に向けた臨床的応用が期待されます。今後、この可視化技術は、恒常性維持に関わるホルモン分泌や記憶を司る脳神経系など様々な分泌組織の機能解析法としても発展が期待されています。本研究は京都府立医大・耳鼻咽喉科 大嶋章裕先生との共同研究です。 |
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