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  研究課題の紹介
イオン交換法・超高圧合成法による新奇遷移金属化合物の探索

氏名
山田 幾也 役職 助教
所属 愛媛大学 大学院理工学研究科
研究室URL http://www.nanosq.21c.osakafu-u.ac.jp/ttsl_lab/i_yamada/page0.html
※所属・役職名は研究参加期間終了時点のものとなります。

研究実施の概要(終了報告書より抜粋)

1)実施概要

 本研究課題では、イオン交換法・超高圧合成法を用いて新しい遷移金属化合物の探索を行い、既存物質にはない機能を見出すことを目的とした。イオン交換法を用いることで、結晶構造の異なる複数の物質をトポタクティックに組み合わせることができるため、新奇の積層パターンを持つ新物質の合成に適用できると期待した。また、数万気圧程度の圧力を用いることで新しい鉄ニクタイド超伝導体の合成が報告されたことから、新物質探索における高圧合成の有効性が再認識された。そこで、物質科学分野ではほとんど適用例のない、超高圧合成法(10万気圧以上の圧力を用いた物質合成法を指す)を、高圧地球科学研究グループの協力の下で行うことにより、高圧合成におけるブレイクスルーを目指した。これらの手法を、鉄ニクタイド化合物の合成に適用した例はほとんどないため、競争の激しい鉄ニクタイド高温超伝導体の合成研究においても、他の研究グループとは一線を画した物質探索を行える可能性があると期待して研究を開始した。

 研究開始当初は、鉄ニクタイド系を主要ターゲットとして、新物質探索と超伝導特性の向上を試みたが、研究過程において上記の2つの手法は、鉄ニクタイド化合物の合成には適さないことが分かった。一方でAサイト秩序型ペロブスカイトと呼ばれる酸化物において、超高圧合成法を用いて新物質探索を行ったところ、数万気圧の高圧条件では得ることのできない新物質が得られた。合成に成功した新物質に含まれる元素・イオン種は多岐にわたっており、異常高原子価イオン、白金族イオンを含む新物質の合成において、特に超高圧合成法は力を発揮した。

 v得られた新物質の中で、最も注目すべき物質は、異常高原子価Fe4+イオンを含むSrCu3Fe4O12である。この物質は巨大な負の熱膨張率を示し、既存物質とは異なる新しいメカニズムによって負の熱膨張が起こることを明らかにした。これは、鉄の化合物が示す特性として、新たに負の熱膨張を加えることに成功したという点でも意義深い。



2)顕著な成果

1)巨大な負の熱膨張を示す新物質の発見

概要:線膨張係数が最大で-2.26×10-5 K¬-1という巨大な負の熱膨張を示す新物質SrCu3Fe4O12を発見した。サイト間電荷移動がクロスオーバー的に起こることが、この物質における負の熱膨張の原因であることを明らかにし、既存の負の熱膨張物質とは異なる、新しい負の熱膨張のメカニズムを示した。

2)白金を含む新規ペロブスカイト酸化物の超高圧合成

概要:超高圧合成法を用いて、Pt4+イオンがBサイトを完全占有した新物質CaCu3Pt4O12の合成に成功し、結晶構造・磁気的性質について明らかにした。白金を含むペロブスカイト酸化物として初めての物質であり、超高圧合成法の適用によって物質探索の可能性が広がることを示した。

3)銀を含む新規ペロブスカイト酸化物の超高圧合成

概要:超高圧合成法を用いて、Agを含む新規ペロブスカイト酸化物SrAg3Fe4O12の合成に成功した。この物質中においてAgは形式価数Ag2+を取ると推測され、異常な原子価状態を持つ新物質の探索においても、超高圧合成法が有効であることを示した。


  



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