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  研究課題の紹介
分子線エピタキシー法を用いた鉄系超伝導体周辺物質の探索

氏名
内藤 方夫 役職 教授
所属 東京農工大学工学府物理システム工学専攻
研究室URL http://www.tuat.ac.jp/~naitolab/
※所属・役職名は研究参加期間終了時点のものとなります。

研究実施の概要(終了報告書より抜粋)

1)実施概要

 本研究は、鉄系超伝導体の分子線エピタキシー成長技術を確立し、その技術を基礎として鉄系超伝導体周辺物質の探索を行うことを目的とした。また、高品質エピタキシャル薄膜技術の確立により、新物質探索だけでなく、ジョセフソン素子を基礎とする超伝導エレクトロニクス基盤技術の確立も目指した。とくに、鉄ニクタイド系は構造中に閃亜鉛鉱構造と同じ正四面体ユニットを含んでいるため、化合物半導体と基本的に格子整合する。FeAs系/GaAs/FeAs系といったオールエピタキシャルのサンドイッチ接合が容易に思い浮かぶ。また、鉄ニクタイド系周辺物質には反強磁性体、強磁性体も数多くあるために、化合物半導体スピントロニクス分野との融合も視野に入る。

 一方で、JST-TRIPのプロジェクトが始まった2008年秋の段階では、毒性元素(As、Se)を含む四〜五元の鉄系超伝導体の薄膜成長は、25年前の高温超伝導銅酸化物の薄膜成長以上の困難さを予想させた。本研究では、申請者が長年取り組んできた「組成制御分子線エピタキシー法」により、薄膜成長を行った。最初はもっとも簡単な結晶構造の11系のFeSeから始め、3年半の間に122系(AE,K)Fe2As2、1111系REFeAs(O,F)へと展開し(図1)、本プロジェクトの終了時点で、多くの既知物質の高品質薄膜を作製する技術を確立するに至っている。しかし、新物質探索という視点からは十分な挑戦が行えなかった。計画書に提案した122系へアルカリ金属(Na、K)に代わりにCu1+、Ag1+をドープする試みや窒化物材料合成への展開は継続して行う予定である。



2)顕著な成果

1)122系Ba1-xKxFe2As2、Sr1-xKxFe2As2高品質エピタキシャル薄膜成長

概要:〜300℃の低温成長により、カリウム(K)を含む122系のエピタキシャル薄膜成長に成功した。K源として大気中で安定なIn11K8を用いることで、K置換量を系統的にふることが可能になり、122系に対してエピタキシャル薄膜を用いて電子相図の作成を行った。

2)F拡散法による1111系SmFeAsO薄膜の超伝導化

概要:フッ素(F)を含まない母物質SmFeAsO薄膜上にSmF3を堆積し、650℃程度でアニールすることでFを薄膜中に拡散し、超伝導化する方法を確立した。この方法により得られたCaF2基板上のSmFeAs(O,F)薄膜において、バルクのTcを超えるTcon (Tcend) = 57.8K (56.4K)を達成した。

3)As-grown SmFeAs(O,F)超伝導薄膜のMBE成長

概要:2)のF拡散法では高品質薄膜が得られるものの、積層デバイス作製が困難である。Sm単体とSmF3を同時供給することにより、ポストアニールを必要としない1ステッププロセスでSmFeAs(O,F)超伝導薄膜を成長する技術を確立した。Tcon (Tcend)の最高は 54 K (50 K)である。


  



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