ホーム 研究領域紹介 研究総括 領域アドバイザー 研究提案の紹介 研究成果と評価 お問い合わせ先
  トップ > 研究課題の紹介 > チーム型研究:2次元鉄平面を持つ超伝導体の開発と熱及び局所磁場測定による評価
 
 
  研究課題の紹介
2次元鉄平面を持つ超伝導体の開発と熱及び局所磁場測定による評価

氏名
為ヶ井 強 役職 准教授
所属 東京大学 工学系研究科
研究室URL http://moo.t.u-tokyo.ac.jp/index_tamegai.html
※所属・役職名は研究参加期間終了時点のものとなります。

研究実施の概要(終了報告書より抜粋)

1)実施概要

 本研究では、2008年始めに発見された鉄オキシニクタイド超伝導体を参考に、2次元鉄平面を持つより高い超伝導転移温度(Tc)を持つ新規超伝導体の開発と既存の超伝導体の物性評価を1つの目標とした。この為に、各種鉄系超伝導体の純良単結晶の作製に多大な労力を費やすと共に、高圧合成装置を用いた新しいブロック層をもつ鉄系超伝導体の開発も試みた。物性評価に関しては、超伝導発現機構解明の一助とする為、比熱および熱伝導度の精密な温度・磁場依存性の測定を通してギャップ構造に関する知見を得た。さらに、作製された超伝導体が実用に向けどのようなポテンシャルを持つかを見極めるため、その臨界電流密度測定を中心とする電磁気特性評価を、単にマクロな磁化測定によるのではなく微小ホール素子または磁気光学法を用いた局所磁場測定により行った。加えて、人工的な欠陥の導入による臨界電流の向上と、Tc抑制効果から超伝導対称性に関する知見を得ることにも成功した。
 具体的には、2次元鉄平面を持つ超伝導体の開発・基礎物性評価、及び応用への準備として磁束状態の解明、線材開発を含む以下のような研究を行った。
( A ) 既知の2 次元鉄平面を持つ超伝導体の純良多結晶の作製と、単結晶の成長
( B ) 新規の2 次元鉄平面を持つ超伝導体の開発
( C ) 他の鉄を含む異方的超伝導体の作製及び評価
( D ) 作製された鉄を含む超伝導体の精密な輸送特性・比熱測定による超伝導ギャップ構造の同定
( E ) プロトン照射による鉄系超伝導体の臨界温度抑制および散乱率の定量的評価
( F ) 微小ホール素子及び磁気光学法を用いた局所磁場測定による臨界電流密度・弱結合特性の評価とこれらの特性の改善指針の提案
( G ) 鉄系超伝導体の磁束状態の解明
( H ) 粒子線照射による鉄系超伝導体の臨界電流密度の向上
( I ) 2 次元鉄平面を持つ超伝導体による超伝導線材の試作と評価



2)顕著な成果

1)鉄系超伝導体良質単結晶の作製と基礎物性評価

概要:主に122系および11系の鉄系超伝導体の純良単結晶の作製と、磁気・輸送特性測定による常伝導・超伝導特性の基本的評価を行った。また、磁気光学イメージングを用いた試料の均一性評価を含む、臨界電流密度特性及びそれを支配する量子化磁束の運動に関する詳細な研究を行った。

2)鉄系超伝導体良質単結晶における高エネルギー粒子線照射効果の実証

概要:主にBa(Fe,Co)2As2単結晶に各種重イオン(Au, Ni, Xe, U)およびプロトンを様々な条件で照射し、臨界電流密度の増大の様子を詳細に調べた。また、プロトン照射により生成される点欠陥がもたらす散乱率の増大と転移温度抑制効果を精密に調べ、s±波超伝導で期待されるものより転移温度の抑制効果がはるかに小さいことを見いだした。

3)鉄系超伝導体線材の開発

概要:鉄系超伝導体(Ba,K)Fe2As2およびFeSeの線材をパウダー・イン・チューブ法および拡散法を用いて作製し、4.2 K・自己磁場において、それぞれ1.3x104 A/cm2、600 A/cm2の世界最高水準の臨界電流密度を実現した。


  



戦略的創造研究推進事業