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研究領域名
研究領域の概要
研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針
  研究領域紹介 研究領域名
「新規材料による高温超伝導基盤技術」




研究領域の概要
 我が国で新たに発見された磁性元素高温超伝導体の優れた技術シーズを加速度的に育成し、さらにそれを通じて、物質科学を中心とした我が国の科学技術を、国際競争に打ち勝つ持続可能な発展へと導くために、本研究領域を緊急的に設定します。
  本研究領域は、我が国のお家芸でもある機能性材料創製技術等を最大限に駆使することによって、超伝導材料の革新的基盤技術を創出することを目的とし、将来の電力・エネルギー産業や情報通信産業に多大なる貢献を果たすための探索的研究や革新的技術開発を対象とし、より波及効果の大きい技術シーズの創出を目指します。
 具体的には、鉄ニクタイド系化合物の新たな結晶構造群および新たな物質群を探索的に見いだすことに加え、その物性値や機能等の解析測定を通じて、現象が発現するメカニズムを精緻に理解するとともに、真に応用可能な材料でありうるかを検討および模索することによって、関連研究を総合的かつ加速度的に推進します。
 


研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針
  物質が持つ性質には、無限の可能性があります。それは、物質が原子・分子の凝縮系であり、その構成要素およびその凝縮形態の違いが電子にとって新しい環境となり、それに応じて電子が異なった振る舞いをすることに起因します。従って新物質の発見は、必ず物質中の電子状態についての新しい可能性を認識させてくれます。超伝導物質、とりわけ高い臨界温度を持つ物質の発見は、物性についての「新概念」の誕生を促し、基礎科学の発展に対して重要な寄与をしてきました。さらに発見された新物質は、進んだ研究によってその有用性が明らかにされることによって材料科学の研究対象となり、「材料」へと変身し直接社会に役立ちます。20年前の「銅酸化物高温超伝導」の発見はその良い例です。銅酸化物は「強相関電子系」の電子状態についての理解を飛躍的に深め、さらに「強相関エレクトロ二クス」という一大研究分野を確立するまでに至りました。また近年では、電力ロスの少ない送電ケーブルの実用化へ向けた取組みがなされるなど、社会に直結する寄与が生まれてきています。
 今回の鉄ニクタイド系高温超伝導体の発見においては、それまで「磁性」のシンボルであった鉄元素が高温超伝導の担い手にもなりうることが明らかとなり、より高い転移温度を持つ高温超伝導物質の探索において、もはや銅酸化物系が唯一無二の存在ではなくなったことを意味すると思います。鉄ニクタイド系高温超伝導体は、銅酸化物同様に層状構造を持ちますが、当初の(1111)構造(LaFeAsOなど)ばかりでなく、短期間のきわめて活発な研究活動の結果、(122)(BaFe2As2など)さらに(11)(FeSeなど)等の多様な積層パターンを持つ超伝導体が合成され、元素の組み合わせの可能性の多さとあわせて、「新物質」としての広がりはきわめて大きいと思われます。また(122)構造であるCeFe2As2のように、f電子とd電子が本質的な相互作用をする系も現れ、最初の重い電子超伝導体CeCu2Si2との関連も議論の対象とされるようになりました。このように「新物質」という観点から、鉄ニクタイド系の発見の衝撃の大きさはすでに特別であります。さらに、化合物半導体エピタキシーや高圧等の合成技術が大きな威力を発揮することによって、実現される物質群の可能性は、ますますひろがると期待されます。ニクタイドのp軌道との強い混成に基づく新しい構造でのFe のd軌道が50K以上の臨界温度を持つ微視的なメカニズムは現時点では不明ではありますが、それが理解された暁には物質観に新たな視点が加わり、その先にはより高い臨界温度実現を含め、どのような発展が待ち受けているのか、想像は容易ではありません。
 物質としての広い可能性とともに材料の観点からも、銅酸化物に比べて異方性が少ない、より高い臨界磁場を持つ、等の新しい側面があることは、非常に興味深いことと思われます。また、このような革新性に満ち溢れる鉄ニクタイド系の物質探索の延長上には、超伝導とは異なる機能を持つ物質群の発見の可能性もあるかも知れません。いずれの観点からも、多様且つ本質をついた迅速な研究活動の展開が望まれます。
 本研究領域は、我が国発の優れた研究のシーズを上記のような様々な角度から眺め、それを迅速に伸ばし育て、世界に対して常に大きな驚きやインパクトをもたらす研究者集団を形成し、物質科学および材料科学を牽引する優れたフロントランナーの育成及び創出に努めます。
 なお研究課題提案にあたっては、チーム・個人を問いません。多くの若い研究者からの創造性溢れる提案を期待します。なお領域の運営にあたっては、知的財産をいかに戦略的に確保していくかも、重要な項目のひとつとして位置づけていますので、ご提案にあたってはこのこともご留意いただきたく思います。
 


戦略的創造研究推進事業