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研究チームの研究成果

超低消費電力化データ駆動ネットワーキングシステム

研究代表者

西川 博昭

(筑波大学大学院 教授)

平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
事後評価結果

平成19年度研究報告

1.研究実施の概要

  本研究は、プラットフォームとネットワーキング方式の双方に、本来的に通信処理に 適した受動的なデータ駆動原理を活用した、超低消費電力化データ駆動ネットワーキングシステムの 実現をめざしている。本研究の主要な目的である低消費電力化については、プラットフォームにおける 自己同期型エラスティックパイプライン方式などによる待機時・稼動時消費電力の極小化、 ネットワーキング方式におけるインフラストラクチャに頼らないアドホックネットワーク上の トラフィックの抑制による効果ならびにプラットフォームとネットワーキング方式の相乗効果などを 定性的かつ定量的に評価することを目標とする。
  本研究では、以下の3つの研究グループを組織化して、研究を実施する。(i)(ii)はプラットフォームの研究に対応し、(iii)はネットワーキング方式の研究である。
(i) データ駆動型ネットワーキングシステムのチップマルチプロセッサアーキテクチャ
(ii) チップマルチプロセッサ向き 自己同期型エラスティックパイプライン
(iii) 超低消費電力化データ駆動ネットワーキングシステムのネットワーキング方式
  平成19年度は、立ち上げの時期として、基本要求条件の検討を進めた。ネットワーキング方式では、周囲状況の調査、基本的な開発環境を整備した。プラットフォームでは、データ駆動型チップマルチプロセッサの自己同期型エラスティックパイプラインの特徴を最大限に活用した分散制御型並列パイプラインアーキテクチャを検討した。また、これらの研究方針について外部評価を受けるため、国内外の有識者を招聘し、キックオフワークショップを開催し、本研究の着想をより洗練するとともに客観的な外部評価を受けた。
  平成20年度以降は、ネットワーキング方式では、ネットワークシミュレーションモデルの策定と基本経路選択法の開発を進める。プラットフォームでは、チップマルチプロセッサコア、マルチコア網について低消費電力型実現法のVLSI設計を進める。中間評価に向けて、各研究グループの個別要素技術の確立ならびに基礎的評価を実施する予定である 。

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2.研究実施内容

  本研究は、研究代表者らが研究開発してきた本来的に通信処理に適した受動的な動作原理を持つデータ駆動プロセッサが今後のネットワーキング環境の超低消費電力化に有効であることを実証することを目的としている。
  プラットフォームとして、従来技術より10分の1小さいエネルギー消費を実現する自己同期型エラスティックパイプラインによるデータ駆動チップマルチプロセッサを開発する。同時に、インフラの有無に関わらず通信機能を実現できるアドホックネットワーク技術に基づき、情報検索機能と高効率高信頼情報転送により従来の 10分の1の超省エネルギーを達成するネットワーキング方式を開発する。さらに、プラットフォームからネットワーキング方式に到るまでデータ駆動原理を徹底して、システム全体の低消費電力化を進め、総体として現在の100分の1から1000分の1の超低消費電力化をめざしたデータ駆動ネットワーキングシステムを最終的に開発する予定である。
 本研究の主要な目的である低消費電力化については、プラットフォームにおける 自己同期型エラスティックパイプライン方式などによる待機時・稼動時消費電力の極小化、ネットワーキング方式におけるインフラに頼らないアドホックネットワーク上のトラフィックの抑制による効果ならびにこれらプラットフォームとネットワーキング方式の相乗効果などを定性的かつ定量的に評価することを目標とする。
  プラットフォームの研究では、スーパースカラ型インライン実行機能を採用したデータ駆動・制御駆動ハイブリッドプロセッサをチップマルチプロセッサコアとして、低消費電力化の観点から最適化し、自己同期型エラスティックパイプライン方式を用いて実現する。ネットワーキング方式の研究では、緊急時に速やかにインフラを必要としないアドホックネットワークを構築し、利用者や必要情報の発見を行った上で、情報経路の多重化により、安心で安全な超低消費電力化通信環境を提供するネットワーキング方式を確立する。
  平成19年度は、下記の研究課題を各研究グループで実施した。さらに、本研究課題に深く関連する国内外の有識者を招聘して国際ワークショップを主催し、各グループによる基礎検討の成果を発表し、多面的な議論を通して、我々の着想をより洗練すると共に、客観的な定性的評価を行った。また、我々の研究分野に関する特別セッションが国際会議に採択され、国内外の有識者を交えて議論する予定である。また、基本提案方式に関しては、論文を執筆中である。

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3.研究実施体制

1. 「筑波大学」グループ

(1) 研究分担グループ長:西川 博昭(筑波大学大学院、教授)
(2) 研究項目
  データ駆動型ネットワーキングシステムのチップマルチプロセッサ(CMP)アーキテクチャ

  • コアプロセッサの開発
  • チップマルチプロセッサの開発
  • 超低消費電力化データ駆動ネットワーキングシステムのCMPの評価

2. 「高知工科大学」グループ

(1) 研究分担グループ長:岩田 誠(高知工科大学、教授)
(2) 研究項目
  チップマルチプロセッサ向き自己同期型エラスティックパイプライン

  • データ転送制御回路群の定式化
  • 可変速度パイプライン機構の開発と基礎評価
  • 超低消費電力化データ駆動ネットワーキングシステムの自己同期型エラスティック
    パイプラインの開発と評価

3. 「東海大学」グループ

(1) 研究分担グループ長:石井 啓之(東海大学専門職大学院、教授)
(2) 研究項目
  超低消費電力化データ駆動ネットワーキングシステムのネットワーキング方式

  • アドホックネットワーク上の効率的情報発見方式の開発
  • アドホックネットワークの情報損失低減転送方式の開発
  • 超低消費電力化データ駆動ネットワーキングシステムのネットワーキング方式の評価

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