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研究代表者・研究課題

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全自動モバイル型生物剤センシングシステム

安田 二朗

安田 二朗
科学警察研究所法科学第一部 室長

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研究概要

 生物剤を用いた犯罪・テロが国民の安全・安心を脅かす大きな脅威となっていますが、そのような事案が発生した際には、迅速な検知・同定・情報伝達が被害の最小化に最も重要です。本研究では現場で生物剤の存在が疑われる試料を携行型の機器にアプライするだけで、その場で多項目の生物剤についてその存否を迅速に検知・同定かつ情報通信できる世界に先駆けた先進的統合センシングシステムの開発を目指します。


全自動モバイル型生物剤センシングシステムの開発構想

全自動モバイル型生物剤センシングシステムの開発構想


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実証実験

 生物剤散布の事案を想定し、被疑サンプルの発見から採取、現場における検出・解析、情報発信、初動対応について擬剤を用いて実証実験を行う。また、研究室内での実証実験として、実際に本物の生物剤あるいはウイルス様粒子などの擬剤を用いて、本研究で開発したシステムによる検査時間、検出感度、精度、操作性、機動性等について検討する。また、その際、本システムの客観的評価のためにリアルタイムPCR、免疫ストリップ法など既存のシステムとの比較検討も行う。

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重要技術

 本課題では、現場レベルでの使用も可能なモバイル型自動多項目生物剤同時検知システムの開発を目標としており、対象はバイオテロに使用される可能性の高い約二十種類の生物剤を予定している。本課題で開発するシステムは、遺伝子検出技術を利用して生物剤を同定するための装置であり、高感度核酸増幅法とDNAチップ技術を融合することで対応する。核酸のマルチ増幅など基礎的な条件検討から開始し、DNAチップでの検出に展開する。DNAチップとしては、日本発のバイオオリジナル技術である電流検出型のDNAチップを用いることで、検査の簡便性・迅速性を実現する。DNAチップ上に対象とする生物剤に特異的なプローブを結合させることで、複数の生物剤を同時に検出することが可能になる。開発するシステムは、生物剤の存在が疑われる粉、液体、エアサンプルなどその形状に関係なく試料を機器にアプライするだけで多項目の生物剤についてその存否を短時間(1時間を目標)に検知できるものとする。検出感度はすべての生物剤について10 IFU(infectious unit=感染性微生物の数)以下を目指す。今回対象としている生物剤の中には、RNAをゲノムとしてもつ出血熱ウイルスなども含まれることから、RNAウイルスの検出も可能な逆転写ユニットを新たに開発する。自動化に関しては、本グループが既に検証しているDNA検出の全自動プロセスを適応することで、開発のスピードアップを図る。また、現場での検査を可能にするためには携帯性・信頼性も重要であり、本課題ではシステムの小型・軽量化、更には生物剤による機器の汚染を防止するためのバイオハザード対策についても検討を行う。モバイル型のメリットを最大限活かすために生物剤、感染症・病原微生物データベースを活用した情報検索が可能な通信システムも搭載し、最高レベルの機動性を備える。

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