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三上チーム
三上(産総研)グループ 石田 研究員の研究成果が
"The Journal of Physical Chemistry B" の表紙を飾りました。

研究者:石田 豊和
(産業技術総合研究所・ナノシステム研究部門・研究員)


掲載誌の発行年月日:2010年3月25日

掲載誌:アメリカ化学会の物理化学誌
The Journal of Physical Chemistry B
     


説明文:

三上チーム・三上(産総研)グループ(研究課題「DDSシミュレータの研究開発」)の石田豊和研究員は、リポソームと糖鎖からなる能動的標的指向性DDSや毛細血管内の白血球浸潤過程における分子認識において重要な役割を果たすセレクチンと糖鎖に関して、分子動力学計算とQM/MM計算を組合せた大規模分子シミュレーションを実行し、糖鎖認識機構の詳細を明らかにすることに成功しました。
  糖鎖を認識して結合するタンパク質はレクチンと総称されて、生物細胞内の分子認識や細胞接着、腫瘍の転移やウイルスの感染など、その分子認識機構の基礎においてレクチンと糖鎖の相互作用が重要であることが指摘されています。しかしながら分子レベルでは、糖鎖とレクチンの相互作用の詳細は明確ではなく、また、高分解能のX線構造解析が困難であることから、高精度シミュレーションが重要な役割を果たすと期待されています。
  今回我々はEセレクチン−シアリルルイスX複合体を対象として、分子動力学計算とQM/MM計算を組合せた大規模計算を実行することで、糖鎖結合状態のリアルな分子モデリングに成功しました。計算により予測された糖鎖認識状態はNMRスペクトルから予測される糖鎖構造とよい一致を示しました。今回開発した計算手法により糖鎖結合モードの詳細な同定が可能となり、他のレクチン−糖鎖複合体の分子認識機構の解明にも応用することが期待されます。






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