水の循環系モデリングと利用システム

 

第5回領域シンポジウム
ポスターセッション

  

小池俊雄研究チーム


P006 「水循環系の物理的ダウンスケーリング手法の開発」全体構想
P007 研究領域① 大気-陸面結合データ同化スキームの開発とダウンスケーリング
〔マイクロ波放射伝達モデル(陸面、大気)・陸面データ同化システム(土壌・植生)の開発〕
 1) マイクロ波放射伝達モデルの開発(陸面、大気)
 2) 陸面データ同化システムの開発
P008 研究領域①大気-陸面結合データ同化スキームの開発とダウンスケーリング
〔雲微物理データ同化システムの開発とダウンスケーリング〕
P009 研究領域②河川流出の予測と河川・水資源管理の最適化
〔大気-陸面結合データ同化手法の開発とダウンスケーリング〕
P010 研究領域②河川流出の予測と河川・水資源管理の最適化
〔分布型流出モデルへの陸面スキームの導入・水管理意思決定支援システムの開発〕
 1) 分布型流出モデルへの陸面スキームの導入
 2) 水管理意思決定支援システムの開発


 
P006 「水循環系の物理的ダウンスケーリング手法の開発」全体構想
小池俊雄(東京大学大学院工学系研究科)

 全球規模,地域規模の予測情報を局所規模の情報にダウンスケーリングするために,数値気象予測モデル分野ではネスティングや,広域予測のための粗いグリッド規模のモデル出力の統計的性質と対象とする局所規模の観測データの統計的性質合わせる手法が用いられてきた.しかし,これらの手法では,短期数値予測のための初期値,長期数値予測のための境界条件において狭域スケールの情報の導入が困難であり,また大気水循環の予測値を,物理的整合性を保ったまま河川流出予測に導入するシステムの構築も図られていない.そこで,本研究では衛星マイクロ波放射計観測データを効果的に用いたデータ同化手法を中核とする,全球規模窶白n域規模窶迫ャ域規模を一貫して記述できる物理的ダウンスケーリングシステムの開発を目指している.

 
P007 研究領域① 大気-陸面結合データ同化スキームの開発とダウンスケーリング
〔マイクロ波放射伝達モデル(陸面、大気)・陸面データ同化システム(土壌・植生)の開発〕
 1) マイクロ波放射伝達モデルの開発(陸面、大気)
 2) 陸面データ同化システムの開発
小池俊雄・陽坤・Petra Koudelova・Tobias Graf・ 筒井浩行・Lu Hui・ David Kuria・
玉川勝則(東京大学大学院工学系研究科)

1)マイクロ波放射伝達モデルの開発(陸面、大気) 東京大学農場圃場において2台の地上型マイクロ波放射計を用い、砂層を対象に下層境界条件、層厚や含水量を変化させた観測実験を実施した。その結果、これまで水平偏波においてモデルの推定値が絶対値として過小になるという問題があったが、地表面でのShadowing効果を導入することにより水平・垂直両偏波で定量的に妥当な値が得られるようになり、定量的な推定精度が飛躍的に改善された。また植生についても寒候期に小麦を対象に、異なる複数の植生領域を同放射計及び可視・赤外放射計を用いて観測し植生パラメータ(ω・τ)と低・高周波数の関係を把握した。
2)陸面データ同化システムの開発 陸面データ同化システムに用いられる陸面スキームには、透水係数や地表面粗度を記述するパラメータが含まれており、マイクロ波放射伝達モデルにも地表面粗度や土粒子径、植生水分モデルパラメータ等が含まれているため、そのパラメータの推定が鍵となる。そこで長期間の同化ウィンドを設定し、モデルの鍵となるパラメータを同定し、それを用い衛星データ取得毎に土壌水分などを同化する2段階の陸面データ同化システムを開発した。


 
P008 研究領域①大気-陸面結合データ同化スキームの開発とダウンスケーリング
〔雲微物理データ同化システムの開発とダウンスケーリング〕
小池俊雄・Cyrus Raza Mirza・David Kuria・Mohamed Rasmy・
Boussetta Souhail (東京大学大学院工学系研究科)

 領域数値気象モデル(ARPS)に組み込まれているリンによる雲氷微物理過程モデルをモデル操作子(Model Operator)として、大気中の放射伝達モデル(4ストリームファーストモデル)、発見的な誤差最小化手法であるShuffled Complex Evolution(SCE)とAMSR-Eデータを用いた雲微物理同化システムを開発した。全球モデル出力はNCEPのGlobal Forecast System(GFS)出力として、約5kmの水平解像度のARPSによってダウンスケーリングし、得られた雲水量、水蒸気量を初期値に組み込み、2004年7月の新潟・福井豪雨の事例に当てはめ、降雨の予測計算を行った結果、高い精度の降雨予測を実現した。

 
P009 研究領域②河川流出の予測と河川・水資源管理の最適化
〔大気-陸面結合データ同化手法の開発とダウンスケーリング〕
小池 俊雄・Cyrus Raza Mirza・David Kuria・Mohamed Rasmy・
Boussetta Souhail (東京大学大学院工学系研究科)

 マイクロ波放射計による雲、水蒸気観測は、均一でマイクロ波輝度が低い海洋上では有効であるが、不均一性が著しく、強い陸面放射を背景とする陸域上の大気では不可能とされてきた。したがって本研究で開発した雲微物理データ同化手法も海洋上大気への利用が限定されていた。ただし、本研究では陸面データ同化により陸面放射を精度よく算定することができるため、この値を境界条件とする大気中のマイクロ波放射伝達モデルを開発し、その精度を検証することにより、陸域上大気でのマイクロ波放射計を用いた雲微物理データ同化の実行可能性を検討した。検討を通じ得られた大気モデルが大気状態を正しく推定した場合に観測輝度温度との差が小さくなる傾向に着目し、陸面データ同化と雲微物理データ同化を組み合わせた2段階のデータ同化システムを開発し、チベット高原のCEOP リファレンスサイトを中心とするメソ領域に適用し良好な結果を得た。これにより陸面データ同化と雲微物理データ同化を、陸面から大気までの連続したマイクロ波放射伝達モデルを用いて結合することにより、陸域大気上でのマイクロ波放射計による大気水文情報が得られ、これを初期値とする短期降雨予測が可能となった。

 
P010 研究領域②河川流出の予測と河川・水資源管理の最適化
〔分布型流出モデルへの陸面スキームの導入・水管理意思決定支援システムの開発〕
 1) 分布型流出モデルへの陸面スキームの導入
 2) 水管理意思決定支援システムの開発
小池俊雄・Oliver Saavdra・Wang Lei(東京大学大学院工学系研究科)

1)分布型流出モデルへの陸面スキームの導入 陸面スキーム(SiB2)を分布型流出モデル(GBHM)に導入し、これを中国永定河に適用した結果、年間を通して低水から洪水まで河川流量を一貫して表現できることが示された。本研究では陸面データ同化システムをSiB2をもとに開発してきており、本研究項目の達成により、大気と結合でき、かつ河川流出量を算定できるデータ同化システムの開発の道が拓けた。
2) 水管理意思決定支援システムの開発 物理的ダウンスケーリングシステムを洪水防御や渇水管理になどのためのダム操作に適用するには、システムの予測精度を加味したダムの最適操作情報の提供が必要である。これまでの最適操作と異なる点は、予測情報を用いるという点と、得られる情報が点情報でなく流域全体をカバーする面的分布情報であることである。本研究では、予測情報の誤差評価の部分に、Shuffled-Complex Evolution法を適用した手法を確立し、利根川上流域の複数のダムに関する概念的な場を設定し、実際の洪水データを用いて最適操作をシミュレートするシステムを開発した。





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