水の循環系モデリングと利用システム

 

第3回領域シンポジウム
ポスターセッション

  

砂田憲吾研究チーム


P076 持続的な流域水政策シナリオ作成の概要(全体)と気候モデルによる
気候変動外力の評価(A-2)
P077 洪水問題が主なテーマとなる河川流域での水政策シナリオの作成(B-1)
P078 水不足問題もしくは水質が主なテーマとなる河川流域での水政策シナリオの
作成(B-2,B-3)
P079 人口変動に起因する変動外力の評価(A-1)
P080 水質問題が主な河川流域での水政策シナリオの作成(B-3)と
アジア地域における水管理のためのツールボックスの開発(C-1,C-2)


 
P076 持続的な流域水政策シナリオ作成の概要(全体)と気候モデルによる
気候変動外力の評価(A-2)
砂田憲吾(山梨大大学院)鬼頭昭雄(気象研究所)

 急激な人口増加と開発に伴う深刻な水問題が顕在化しているモンスーン・アジア地域アジア途上国の水問題解決への貢献をめざす.そのために,湿潤地帯から乾燥地帯にわたるアジア地域を対象に異なる典型的な水問題を抱える8河川流域を選び,それぞれの流域での水問題の実態を構造的に把握・分析して地球規模の水循環変動を考慮しながら,問題解決のための政策シナリオを提言する.また,統合的水資源管理を実現するために知識と経験を集約するナレッジマイニングシステムの構築を目指す.気候変動研究グループは水平解像度60kmメッシュの気象庁・気象研究所統一全球大気モデルを用いて,20世紀末(1990年頃)と 21世紀半ば(2050年頃)のシミュレーションを行った。積分期間は各30年である。また河川モデルを用いて,大気モデルで得られた流出量から河川流量を求め,アジアの主な河川における将来の変化を予測した。

 
P077 洪水問題が主なテーマとなる河川流域での水政策シナリオの作成(B-1)
砂田憲吾,大石 哲,宮沢直季(山梨大学大学院)
Pech Sokhem(科学技術振興機構,山梨大学),吉谷純一((独)土木研究所)
綱木亮介,小山内信智(国土技術政策総合研究所),吉川勝秀(日本大学)

 長江研究グループは,長江流域では治水対策として遊水地の建設が古くから行われてきた。特に近年では遊水地をより効率的に運用するために,水害補償と組み合わせた新たな土地利用管理施策を実施している。この施策の課題などを他国への適用性の観点から分析した。メコン研究グループはGreater Mekong Sub-Region (GMS), Mekong River Commission (MRC),Upper Mekong Navigationの3機関によって作成された学術論文を用いて,メコン流域における持続的河川管理に有効な知識の獲得過程を解析した.その結果さらなる流域の調整活動のためには,統合水資源管理の研究機関の設立を検討する必要性を示した.さらに,土砂および水質の動態を把握するために,現存する観測資料を用いて,メコン河下流域の土砂および栄養塩の動態の推定を試みた。ブランタス研究グループはインドネシア・ブランタス川流域では流域管理の問題として,中流域のダムの堆砂による有効貯水量の減少が挙げられることから,政策提言を行うために流域土砂動態の把握を試みた。当グループでは土砂動態に関して十分に把握されていないスングルダム上流域について放射性同位体を用いて土砂動態の把握を試みた。


 
P078 水不足問題もしくは水質が主なテーマとなる河川流域での水政策シナリオの
作成(B-2,B-3)
中山幹康(東京大学大学院)北村義信(鳥取大学)
南山瑞彦(国土技術政策総合研究所)滝沢 智(東京大学大学院)

 シルダリア研究グループは国際河川であるシルダリア川流域全般の水需給,流域関係国の水政策,水環境の現状把握・将来動向の評価を行い,水・環境問題解決のため将来像と改善対策を明らかにし,同流域の水政策シナリオを提案することを目的とする。まず,ソ連崩壊後の上下流間の利水競合の経緯と問題点について,文献調査・現地調査を実施し分析を行った。さらに下流域に存在する1つの灌漑ブロックを対象に水・塩類収支,圃場レベルでの土壌中での水・塩類動態の解明を試みた。ユーフラテス研究グループは年に2回「専門家会合」を開催している。具体的な研究結果を得るため,研究計画を確定し,それを流域国内の研究者による参加を得て実施することで,流域の現状について共通の認識を形成すること,および学術的な知見を得ることを目的としている。ガンジス研究グループはニューデリー市内,および貫通するヤムナ川において汚濁負荷原単位の調査,雨季・乾季の河川水質調査を行い,水環境汚染の実態を調べた.サイゴン研究グループはベトナムにおいて最も人口及び経済成長率の高いサイゴン・ドンナイ川流域を対象に,人口変動や経済活動が水資源と水利用に及ぼす影響について,水の量的・質的な面から明らかにすることをめざした.研究対象領域では,農村の経済復興や養殖漁業と下流の都市・工業用水としての水利用との深刻な関係について問題の構造を明らかにしている.

 
P079 人口変動に起因する変動外力の評価(A-1)
吉川勝秀(日本大学) 藤田光一(国土技術政策総合研究所)

 首都圏河川流域研究グループは「人口増加外力〜応答(施策群展開)」の関係を水資源確保の側面から分析・考察し,モンスーン・アジア地域における水政策を検討するための比較対象流域としての位置づけを明確にし,日本の経験からノレッジマイニングシステム(KMS)に役立つ情報を抽出・加工する際の一助とした。チャオプラヤ研究グループは人口急増地域での治水を中心とした水政策シナリオについて,タイ国のチャオプラヤ流域,そしてその氾濫源に位置する大都市バンコクの東部郊外部を対象として研究を行い。治水を中心とした水政策シナリオと,その実践を通じた有効性・妥当性の検証および類似する流域への普遍的な適用の可能性について検討を行った。比較対象河川としては日本の首都圏の代表的な河川流域である中川・綾瀬川流域を取り上げ,手法としては科学・技術面のみならず,都市計画などの人文社会科学的な視点も加えた。チャオプラヤ川流域においては,バンコク周辺地域の水需要予測についても検討している.

 
P080 水質問題が主な河川流域での水政策シナリオの作成(B-3)と
アジア地域における水管理のためのツールボックスの開発(C-1,C-2)
村上雅博(高知工科大学)福田晴耕(国土技術政策総合研究所)
栗城 稔(土木研究所)大石 哲(山梨大学大学院)

 沖積平野の地下水研究グループはモンスーン地域における沖積平野の地価水保全について,人口が集中する平野を取り上げ,比較研究を試みた。これらの平野では農業や商工業の生産活動が活発に行われており,地下水利用が社会の発展に寄与してきた。その反面,近年地下水の過度の汲み上げにより各種の地下水障害が発生したことから,日本の事例をもとにその対策をまとめた。ナレッジマイニングシステム(KMS)グループは,政策立案者等が流域における水関連の政策シナリオを立案する際の支援となる事例集の作成を行っている。アジア地域を対象として水管理政策を立案するためにあたって,一般的に考慮しなければならない項目として45項目を設定した。また,テキスト形式のデータベース内で,キーワードに関してWikiの技術を用いて,データベース間がリンクする仕組みについても検討している。





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