水の循環系モデリングと利用システム

 

第3回領域シンポジウム
ポスターセッション

  

小池俊雄研究チーム


P066 研究の全体構想
P067 大気窶迫、面結合データ同化スキームの開発
窶買}イクロ波放射伝達モデルの精緻化窶・/a>
P068 大気窶迫、面結合データ同化スキームの開発
窶迫、面,雲微物理データ同化システムの開発窶・/a>
P069 ダウンスケーリング手法の開発
P070 大気窶迫、域相互作用予測モデルと分布型流出モデルの結合モデルの開発


 
P066 研究の全体構想
小池俊雄(東京大学大学院工学系研究科)

 全球規模,地域規模の予測情報を局所規模の情報にダウンスケーリングするために,数値気象予測モデル分野ではネスティングや,広域予測のための粗いグリッド規模のモデル出力の統計的性質と対象とする局所規模の観測データの統計的性質を合わせる手法が用いられてきた.しかし,これらの手法では,短期数値予測のための初期値,長期数値予測のための境界条件において狭域スケールの情報の導入が困難であり,また大気水循環の予測値を,物理的整合性を保ったまま河川流出予測に導入するシステムの構築も図られていない.そこで,本研究では衛星マイクロ波放射計観測データを効果的に用いたデータ同化手法を中核とする,全球規模窶白n域規模窶迫ャ域規模を一貫して記述できる物理的ダウンスケーリングシステムの開発を目指している.

 
P067 大気-陸面結合データ同化スキームの開発
-マイクロ波放射伝達モデルの精緻化-
小池俊雄,筒井 浩行,Tobias Graf,
Lu Hui, David Kuria(東京大学大学院工学系研究科)

 東京大学田無農場,北海道大学低温科学研究所に地上マイクロ波放射計を設置し,土壌水分,植生,積雪の影響を定量的に評価するためのマイクロ波放射輝度温度観測を実施し,そのデータを用いてマイクロ波放射伝達モデルの精緻化と検証をおこなった.土壌,積雪のモデルは,何れも多くの均一の球形粒子が密につめられたスラブ構造と仮定し,粒子の体積散乱の計算には稠密媒体の放射伝達モデル(DMRT)が導入された.また,土壌の表面散乱にはAIEMモデルが導入されているが,これまでは垂直偏波については絶対値,傾向とも良好な結果が得られているものの,水平偏波の絶対値に関してはモデルの推定値が過小であるという問題があったが,地表面でのshadowing効果を導入することにより,水平,垂直両偏波で定量的に妥当な値が得られるようになった.植生はスラブ状の植生層としてモデル化することにより工学的厚さと単一散乱アルベドの簡単なパラメータ化で比較的高い精度の再現性を得た.

 
P068 大気-陸面結合データ同化スキームの開発
-陸面,雲微物理データ同化システムの開発-
小池俊雄,陽 坤,Cyrus Raza Mirza,
Boussetta Souhail(東京大学大学院工学系研究科)

 本研究では,以下の陸面データ同化システムを開発した.
1.大気モデルとの結合に使われる鉛直一次元の陸面モデル(SiB2,新SiB)や,積雪量変化や雪崩シミュレーションに用いられる積雪モデルにおける初期値を設定し,観測データや数値気象予報モデルの出力を入力して,土壌水分や地温,積雪量や積雪温度などの土層,積雪層の状態量の変化を予測
2.この状態量の予測値を土層内および積雪層におけるマイクロ波放射伝達モデルに入力して衛星で観測されるマイクロ波輝度温度を算定
3.算定されたマイクロ波輝度温度の算定値と地上マイクロ波放射計観測値を比較し,その誤差が許容範囲に入るように様々な最適化手法(Simulated Annealing法(焼きなまし法),Ensemble Kalman Filter法,Shuffled-Complex Evolution法)を適用して妥当な初期値を推定
 また,領域モデル(ARPS)と大気中の放射伝達モデル(4ストリームファーストモデル)を組み合わせた水蒸気の凝結過程のみを対象とする「暖かい雨」,氷・雪形成を伴う「冷たい雨」の双方について,雲微物理同化システムを開発して,初期値を改善して降雪集中観測(福井)の際の降雪予測に適用したところ,地上レーダ観測と適合する地上降雪分布予測結果を得た.

 
P069 ダウンスケーリング手法の開発
小池俊雄,陽 坤,Cyrus Raza Mirza,
Boussetta Souhail(東京大学大学院工学系研究科)

 「雲微物理同化システム」と「大気窶迫、面結合同化システム」と,全球スケールの数値気象予報モデルの出力,領域およびメソスケールの数値気象予報モデルを組み合わせて,全球モデルからメソモデルへの物理的ダウンスケーリング手法を開発した.また,全球規模のデータセットを陸面データ同化システムに入力し,衛星観測情報と,陸面衛星データ同化システムを用いて,数カ月にわたる長期の同化により境界条件を記述する陸面モデルのパラメータを適切に推定する手法を開発した.この手法をチベット高原に適用したところ,モンスーン開始前は顕熱フラックスが多く,モンスーン開始後潜熱フラックスが増加するという季節変化傾向を正確に表し,地上観測データを用いた検証の結果,高い精度を示すことが確認された.

 
P070 大気窶迫、域相互作用予測モデルと分布型流出モデルの結合モデルの開発
小池俊雄、陽 坤、Oliver Saavdra、Wang Lei(東京大学大学院工学系研究科)

 陸面スキーム(SiB2)を分布型流出モデル(GBHM)に導入し,これを中国永定河に適用して,年間を通して,低水から洪水まで河川流量を一貫して表現できることが示された.本研究では陸面データ同化システムをSiB2をもとに開発してきており,本研究項目の達成により,大気と結合でき,かつ河川流出量を算定できるデータ同化システムの開発の道が拓けた.また,物理的ダウンスケーリングシステムを洪水防御や渇水管理などのためのダム操作に適用するには,システムの予測精度を加味したダムの最適操作情報の提供が必要である.これまでの最適操作と異なる点は,予測情報を用いるという点と,得られる情報が点情報でなく流域全体をカバーする面的分布情報であることである.本研究では,予測情報の誤差評価の部分に,Ensemble Kalman Filter法やShuffled-Complex Evolution法を適用した手法を確立し,利根川上流域の複数のダムに関する概念的な場を設定し,実際の洪水データを用いて最適操作をシミュレートするシステムを開発した.





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