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戦略的創造推進事業CREST研究領域終了領域一覧 > 自己組織化

研究領域

戦略目標

研究領域名

医療に向けた自己組織化等の分子配列制御による機能性材料・システムの創製
ナノテクノロジー分野別バーチャルラボHP

研究総括

茅 幸二((独)理化学研究所 和光研究所 所長/同中央研究所 所長)

概要

 この研究領域は、将来の高度医療を率引する革新的な機能特性をもつ材料・システムの創製を目指し、自己組織化などの分子の秩序配列を利用したナノレベルでの構造制御により、ナノ構造体を構築する技術を開発する研究を対象とするものです。
 具体的には、生体適合材料等の機能性材料・システムの創製を目指し、自己組織化等を利用した超微細構造の形成・制御技術・プロセス技術や評価技術に係わる研究、分子認識機構および情報伝達機構の解明と構造設計技術に係わる研究、自己組織性を有する無機・有機ナノ組織体の設計と高性能材料等の創製に係わる研究、生体機能発現の場である溶液あるいは界面での構造制御と機能発現機構の研究等が対象になります。なお、本研究領域は戦略目標「情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

平成14年度採択分 中間評価  事後評価  終了報告書  年報

研究課題
トポロジカルゲルを利用した医療用生体機能材料の創製
研究代表者(所属)
伊藤 耕三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授)
概要
最近研究代表者らは、従来のゲル材料とは構造が全く異なり、化学的に架橋されていながらしかもナノスケールの8の字架橋点が自由に動く革新的な高分子ゲル材料(トポロジカルゲル)を発明しました。本研究では、イオン環境、温度、電場、光などの外部変数によって架橋点の運動を制御することにより、外部刺激に応じて力学特性が劇的に変化する生体適合性ゲル材料を作製し、新規医療用材料への展開を図ります。
研究課題
プログラム自己組織化による人工生体情報材料創製
研究代表者(所属)
川合 知二 (大阪大学 産業科学研究所 所長・教授)
概要
生体は、DNAのプログラムによって驚くべき精巧かつ高度な"情報材料・システム"を創り上げています。このプログラム自己組織化のメカニズムを取り入れた高機能物質・デバイス・システムの創製は、まさに21世紀の科学技術のフロンティアです。本研究は、ボトムアップナノテクノロジーの最重要課題である“プログラム自己組織化”の原理の解明・確立と、その原理にのっとった人工的な“生体情報材料”の創製を目指します。
研究課題
固-液界面の液体のナノ構造形成評価と制御
研究代表者(所属)
栗原 和枝 (東北大学 多元物質科学研究所 教授)
概要
固-液界面の液体は、特異な性質を示すことが知られています。本研究では、固-液界面の液体のナノ構造を研究する新しい評価法を確立し、その特性を明らかにします。これらにより、様々な医療材料やマイクロマシンで用いられる微小管中での流れ、ならびに材料表面での摩擦や潤滑の精密制御が可能になります。また、固体表面の新規な分子組織化ならびにナノコーティング法も開発します。医療や、環境保全・エネルギー高度利用に重要なナノ材料・プロセスの創製が期待できます
研究課題
プログラマブル人工蛋白質からの組織体構築
研究代表者(所属)
芝 清隆 ((財)癌研究会癌研究所 蛋白創製研究部 部長)
概要
「繰り返しを原理とした人工タンパク質創製手法」を用いて、「分子集合能力」「結晶成長制御能力」「細胞制御能力」等の機能を合理的にプログラムし、歯科領域での新しいインプラント素材や、無機材料のナノ整列に利用できる人工タンパク質を創製します。このようなプログラム可能な無機・タンバク質ナノ組織体の創製システムは、保険医療分野、半導体分野、材料工学分野などの広い領域でのプラットフォーム技術となります。
研究課題
高分子の階層的自己組織化による再生医療用ナノ構造材料の創製
研究代表者(所属)
下村 政嗣 (東北大学 多元物質科学研究所 教授)
概要
本研究では、DNAや生分解性高分子などからなるナノ微粒子や高分子構造体を作製し、これらを光マニピュレーションなどのボトムアップ技術と自己組織化を組み合わせることで、ナノメーターからマイクロメーターへいたる階層的な3次元構造を有する新しい組織工学材料を創製します。これらにより、分子レベルで細胞との相互作用を制御し、より大きなスケールで細胞の組織化を制御する、新しい再生医療用材料の開発が期待されます。
研究課題
分子配列による蛋白モジュールの開発と展開
研究代表者(所属)
徳永 史生 (大阪大学大学院 理学研究科 教授)
概要
生体組織においては特定の分子、分子集合体、細胞が固有の配置、階層構造を持って機能を発現しています。本研究では生体組織の人工的構築をはかるため、ナノ自己組織化からマイクロ自己増殖への展開を可能にする技術を開発します。各階層をモデル化し、蛋白、サブセルラー、ティッシュの各モジュールを作製します。これにより機能集積チップ、自己増殖誘導型チップの実現、および臓器再生への貢献を目指します。
研究課題
ナノスケールにおける反応制御の基本原理の構築
研究代表者(所属)
富永 圭介 (神戸大学 分子フォトサイエンス研究センター 教授)
概要
本研究では、研究代表者が開発してきた超短パルスレーザー分光を用いて自己組織化された系における機能発現を分子論的なレベルから解明します。すなわち、分子間相互作用の協同効果、ダイナミクスの階層性と反応の方向性・選択性の発現等を分子科学を基礎として研究します。この研究成果を基盤として、将来的には、水溶液中における情報伝達を活用した機能性材料などのナノソフトマシンの創製の設計指針を与えることができます。
研究課題
ゲノムレベルの生体分子相互作用探索と医療に向けたナノレゴ開発
研究代表者(所属)
林崎 良英 ((独)理化学研究所 林崎生体分子機能研究室 主任研究員)
概要
特異的相互作用する生体内タンパク質を「特異的結合する素子(ナノレゴ素子)」という概念で捕らえ、それらの複数個の素子から人工融合タンパクを設計・作製し、制御可能な秩序ある自己組織化能力をもった新しい機能性材料を開発します。マウスエンサイクロペディアを遺伝子材料とし、大規模タンパク質間相互作用解析、相互作用部位の特定、人工融合タンパク質(ナノレゴ)の発現を行い、さらに種々の物理化学的性質、集合体形状と力学的性質を調べます。これにより、医療に向けた機能性材料の開発が期待できます。
研究課題
自己組織化分子システムの創出と生体機能の化学翻訳
研究代表者(所属)
藤田 誠 (東京大学大学院 工学系研究科 教授)
概要
生体機能の発現にはナノ領域における分子レベルの精密な自己組織化が重要な役割を担っています。本研究では、生体系と同様に孤立ナノ空間が小分子から自己組織化する系に着目し、その空間や表面・内面における特異現象を通じて、これまで生体系特有と見なされてきた高次構造を分子の自己組織化により発現させます。さらに、このような分子システムの生体適合をはかることで、革新的な分子レベル医療への道を探ります。
研究課題
バイオのナノテクノロジーを用いたナノ集積プロセス
研究代表者(所属)
山下 一郎 (松下電器産業(株)先端技術研究所 主幹研究員)
概要
本研究は、生体超分子の持つ構造の均一性、自己集合能と生物無機材料析出の能力を利用した、新しいナノ構造作製の基礎を確立します。タンパク質超分子内の空洞での無機化合物の析出担持メカニズム、蛋白質設計による固体基板上ナノ構造構築の探求を行い、タンパク質選択除去後は得られた構造の電子デバイスへの応用を検討します。
(*研究者の所属は2007年10月1日現在のものです(但し、終了課題に関しては、その終了時点))