top
戦略的創造推進事業CREST研究領域終了領域一覧 > バイオ素子・システム

研究領域

戦略目標

研究領域名

医療に向けた化学・生物系分子を利用したバイオ素子・システムの創製
ナノテクノロジー分野別バーチャルラボHP

研究総括

雀部 博之(千歳科学技術大学 学長)

概要

 この研究領域は、医療への応用に向け、ナノスケールでの生体反応・情報制御技術、バイオ素子・システム等の創製、および、それに用いる化学・生物系ナノ構造体に係わる研究を対象とするものです。
  具体的には、超高感度に物質濃度や温度・圧力等を測定するバイオ素子・システムや、生体情報や生体反応を計測・制御するバイオ素子・システム等の創製に係わる研究、バイオ素子・システム等の創製に必要となる化学・生物系ナノ構造体や材料に係わる研究、バイオ素子・システムを診断・治療等医療に応用する研究やドラッグデリバリーシステム等が含まれます。

平成16年度採択分 事後評価  終了報告書  年報 

研究課題
低分解能生体超分子像からの原子構造構築技法
研究代表者(所属)
由良 敬 ((独)日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター 研究副主幹)
概要
ナノバイオテクノロジーの基礎となるデータは、生体超分子を構成する全原子座標情報である。全原子座標があって初めて、生体超分子構造はドラッグデザインなど明日の科学技術を切り拓くために有効に活用出来る。X線結晶構造解析法は生体分子の原子座標を明らかに出来るもっとも強力な方法であるが、巨大な生体分子の複合体である生体超分子の構造を明らかにするのは容易ではない。X線結晶構造解析で明らかにできるタンパク質の大きさは10nmのスケールであり、生体超分子は少なくとも100nmのスケールである。生体超分子の構造は電子顕微鏡で明らかにされているが、電子顕微鏡では一般的には解像度が1〜2nm程度までしか得られない。原子レベルの構造との間には解像度に10倍程度の差がある。そこで、タンパク質の立体構造情報を医学生物学的に有効に用いることができるようにするために、生体超分子の原子レベルモデルを要素タンパク質の立体構造モデルから構築するコンピュータ技術を開発することを、本研究の目的とする。

平成15年度採択分 中間評価  事後評価  終了報告書  年報

研究課題
細胞対話型分子システムを用いる革新的遺伝子送達概念の創製
研究代表者(所属)
片山 佳樹 (九州大学大学院 工学研究院 教授)
概要
遺伝子治療は、最も有望な次世代型医療ですが、導入遺伝子の細胞選択的発現制御技術がないために、発展が妨げられています。この研究では、標的疾患細胞で特異的に亢進している細胞内シグナルに応答して遺伝子を放出し、発現を活性化する全く新しい概念と、ウイルスカプセルやプラズマ法という独自の細胞導入技術を融合し、臨床応用の検討まで行うことで、現行の遺伝子治療の問題を解決できる革新的遺伝子送達概念を確立します。

平成14年度採択分 中間評価  事後評価  終了報告書  年報

研究課題
ナノ粒子を応用した抗レトロウイルスワクチンの開発
研究代表者(所属)
明石 満 (大阪大学大学院 工学研究科 教授)
概要
本研究は、優れた免疫誘導補助能を持つことが判明しているコア・コロナ型ナノ粒子を用いて、抗レトロウイルス(ヒト免疫不全ウイルスと成人T細胞白血病ウイルス)ワクチンを開発するものです。特に細胞性免疫誘導に有効な抗原を固定化した生体適合性ナノ粒子の生体内への直接、或いは膜融合リポソームを用いた投与を行います。これにより、レトロウイルス疾患の予防・治療のみならず、種々の病態細胞の排除に基づくナノ医療への展開が期待されます。
研究課題
ナノ生物物理化学アーキテクチュアの構築と応用
研究代表者(所属)
北森 武彦 (東京大学大学院 工学系研究科 教授)
概要
研究代表者らは化学システムをマイクロチップに集積する技術を開発しました。本研究では、このμmスケ−ルの化学システムに、物理化学や生物化学を活用したボトムアップナノテクを融合し、マイクロの建屋にナノのインフラを構築します。これにより、メソ・ナノ空間領域の物理化学を究明し、化学・バイオ機能の発現機序となる秩序性や階層構造を人為構築し、高度疾病センサ−や選択的機能人工臓器デバイスなど高機能化学・バイオ素子の創出を目指します。
研究課題
ナノケミカルプローブの創製とバイオ・医療計測
研究代表者(所属)
鈴木 孝治 (慶應義塾大学 理工学部 教授)
概要
本研究では、化学・物理・生物・情報に関連する研究者の融合から、有機合成、バイオ、光学、電気化学、微細加工及び情報処理に関連する工学技術を巧みに利用して、ナノケミカルプローブと称する新規のバイオケミカルセンシング用プローブ(蛍光ナノミセルイメージングプローブ、アダクティブプローブ、および光・ナノ電極プローブ)を創製し、バイオ・医療計測に応用展開します。このようなナノテクノロジーを基盤とした異分野融合研究及び産学官共同研究を構築、遂行することにより、世界をリードする独創的なバイオセンシング研究を推進します。
研究課題
ゲノム制御・検出能をもつ革新的人工核酸の創製−世界最高峰の核酸合成技術を基盤にして−
研究代表者(所属)
関根 光雄 (東京工業大学大学院 生命理工学研究科 教授)
概要
本研究は塩基部位無保護DNA化学合成法や人工塩基による高精度塩基識別法などの独自に開発した新技術を基盤にこれまで不可能であった飛躍的な高性能をもつ革新的新機能人工核酸を創出するものです。これによって、さらに進んだ遺伝子診断技術や遺伝子治療法をはじめとする従来の問題点をブレークスルーした様々なバイオ関連技術を開発することができ、新しい医療・診断で大きな社会貢献が期待されます。
研究課題
疾患モデル細胞の高効率創製と機能解析
研究代表者(所属)
松岡 英明 (東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 教授)
概要
現在、膨大な遺伝情報に基づき、疾患からその原因遺伝子を求めるよりも、既知の遺伝子の改変によって生じる疾患を網羅的に調べることが強く要請されており、疾患モデル細胞は正にそれに応えるものです。本研究では、遺伝子改変試薬をマウスの卵細胞、ES細胞、体細胞を対象としてインジェクションし疾患モデル細胞を作製します。また、単一細胞操作支援ロボットを利用した細胞操作技術を確立し、一連の作業を高効率化します。遺伝子治療法開発、薬剤開発などに直結する研究成果が期待されます。
研究課題
金属錯体プローブを用いる遅延蛍光バイオイメージング
研究代表者(所属)
松本 和子(早稲田大学 教授)
概要
本研究では、研究代表者が開発した希土類錯体蛍光ラベル剤に、時間分解蛍光顕微鏡を組み合わせて、生細胞における生命現象の観測システムを構築します。本法により、細胞の自家蛍光が大幅に低減され鮮明な画像が飛躍的に長時間(数分から数十分)にわたり観測可能となります。多くの生命研究のツールとして使えますが本研究ではmRNAのイメージングを目標としており、FRETを利用した遺伝子解析法としての応用も期待されます。日本発の独自の技術として世界に発信できる知的財産の形成が期待されます。

平成13年度採択分 中間評価  事後評価  終了報告書  年報

研究課題
健康・福祉のためのナノバイオ材料およびバイオ素子としての「スーパー抗体酵素」の創製
研究代表者(所属)
宇田 泰三 (大分大学 工学部 教授)
概要
「スーパー抗体酵素」は抗体でありながら抗原を酵素的に完全に分解します。この研究ではガンや悪性ウイルスあるいは薬剤耐性菌に対する「スーパー抗体酵素」を作製し、引き続いて病因である標的抗原をナノスケールで効果的に攻撃・分解できるバイオナノ材料およびバイオ素子を創製します。これにより人類の脅威となる感染症やガンなどの病気をナノテクノロジー技術を利用して予防・診断・治療できるようになることが期待されます。
研究課題
巨大ポルフィリンアレーのメゾスコピック構造デバイス
研究代表者(所属)
大須賀 篤弘 (京都大学大学院 理学研究科 教授)
概要
構造の明確な巨大ポルフィリノイドを有機合成し、それらの単一分子観察を行います。ナノギャップ電極への接合を通じて、巨大ポルフィリノイドを集積・組織化して、メゾスコピックな物性の計測や金属- ポルフィリン界面を通じた電子輸送現象を解明します。これらの研究により、将来の分子エレクトロニクス実現のための基盤の確立が期待されます。
研究課題
新規組織再構成技術の開発と次世代バイオセンサーの創製
研究代表者(所属)
岡野 光夫 (東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 所長・教授)
概要
細胞や組織はナノメーターサイズにドメイン化されており、機能発現・機能制御の最小単位となっています。合成高分子、有機・無機ハイブリッド、金属・半導体を駆使してナノドメイン操作材料を創製します。細胞が示すナノオーダーの出力を超高感度・リアルタイム・非侵襲的に検出するナノデバイスを用いて、高度な情報統合能をもつ細胞をインテリジェント材料として活用する中核技術と概念を世界に先駆けて確立します。
研究課題
生体分子間相互作用を連続的に検出するための多機能型水晶発振子マルチセンサの設計と開発
研究代表者(所属)
岡畑 恵雄 (東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 教授)
概要
代表者らはこれまで、水晶発振子ナノデバイスを用いることによりDNAのハイブリダイゼーション、DNA鎖へのタンパク質の結合、糖鎖表面へのレクチンの結合、などを定量的に評価できることを明らかにしました。本プロジェクトでは、タンパク質を生体内のナノマシーンと見なし、細胞内でおこるタンパク質-タンパク質間の複雑な相互作用を解明、制御、構築することを目的にして、水晶発振子ナノバランスを多機能化、マルチ化し、生体内で起こる複雑な分子間相互作用を定量的に多角的に評価するための基礎研究を行い、プロテオームやガン化機構の解明に向けて実用化します。
研究課題
遺伝子ベクターとして機能するナノ構造デバイスの創製
研究代表者(所属)
片岡 一則 (東京大学大学院 工学系研究科 教授/医学系研究科 教授)
概要
この研究では、遺伝子を始めとする様々な医薬品を体内の狙った組織に運び、治療や診断を行う安全で高機能の「遺伝子ベクター」を、合成高分子や脂質分子の的確な自己組織化に基づいて作り出します。このような遺伝子ベクターは、磁場や熱などの外場応答機能や天然の核酸医薬に優る機能性人工核酸の搭載などが可能なため、ウイルス本来の機能を越える分子ナノ・マシンとしての働きが期待されます。
研究課題
ナノクラスターポリ酸を用いた分子機械の構築
研究代表者(所属)
山瀬 利博 (東京工業大学 資源化学研究所 教授)
概要
金属酸化物クラスターであるポリ酸が次世代産業の根幹物質として極めて重要であることは、絶縁体から超伝導体までの電気的性質をもつ通常の金属酸化物を組み合わせたデバイスや機械が現代工業社会の根幹を形成している事実からも予測できます。そこでポリ酸をナノテクノロジーの基盤材料と位置づけ、これまで光化学、電子材料、生物活性の多岐の分野で発見・集積してきたポリ酸の機能を組み合わせた分子機械の世界を構築します。これはポリ酸を基盤とするナノテクノロジーの分野を我が国が主導すると同時に新しい産業の創出が期待されます。
(*研究者の所属は2007年10月1日現在のものです(但し、終了課題に関しては、その終了時点))