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戦略的創造推進事業CREST研究領域終了領域一覧 > ナノ構造体材料

研究領域

戦略目標

研究領域名

高度情報処理・通信の実現に向けたナノ構造体材料の制御と利用
ナノテクノロジー分野別バーチャルラボHP

研究総括

福山 秀敏(東京理科大学 理学部 教授)

概要

 この研究領域は、バルクとは異なるナノ構造体において、微細な構造・組織等を制御することにより、高度情報処理・通信の実現に向けたこれまでにない特徴的な物性・高機能・新機能を有する材料等の創製や、その利用を図る研究を対象とするものです。
 具体的には、既にバルクとして存在している物質の「ナノ化」、すなわち薄膜・微粒子等の極微細構造はもちろん、ナノ粒子やクラスター原子・分子、分子性物質等、無機物質・有機物質さらにそのハイブリッド系を制御し、これまでにない機能・物性等を有する革新的新材料の創製を目指す研究、フラーレン・カーボンナノチューブ等の新機能性材料の創製やナノデバイス・システムへの利用を目指す研究等が対象となります。なお、本研究領域は戦略目標「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

平成16年度採択分 事後評価  終了報告書  年報

研究課題
単一分子伝導・接合シミュレーション
研究代表者(所属)
浅井 美博 ((独)産業技術総合研究所 計算科学研究部門 グループ長)
概要
1個の分子を情報媒体として用いる分子素子開発は電子技術分野、バイオセンシング分野等の広範な分野に大きなインパクトを与えます。高度な理論・シミュレーション技術の開発・応用は、ナノレベルの物質の研究を推進する大きな力となります。我々はマクロな電極と分子の間の結合やそれに伴う様々な非平衡問題、即ち電極問題を解明し分子素子開発を強力に支援する理論・シミュレーション技術の開発・応用研究を行います。チーム内の実験家の協力を得て理論・シミュレーションの実証を重視した研究を行ないます。
研究課題
電子内部自由度制御型ナノデバイス創製原理の構築
研究代表者(所属)
前川 禎通 (東北大学 金属材料研究所 教授)
概要
遷移金属酸化物及び有機化合物、また、ナノスケールの大きさに微細加工された物質材料では、電子の集合運動の結果、電子の内部自由度であるスピン(磁性)と電荷(電気伝導)が絡み合い様々な機能が生まれます。本研究では、多電子の数値シミュレーションと実験的実証研究を通して、スピンエレクトロニクス及び量子コンピュータのための物性材料及びナノデバイス創製の指導原理の構築を行います。

平成14年度採択分 中間評価  事後評価  終了報告書  年報

研究課題
超伝導ナノファブリケーションによる新奇物性と応用
研究代表者(所属)
石田 武和 (大阪府立大学大学院 工学研究科 教授)
概要
超伝導体にナノファブリケーション技術を駆使した研究を展開します。原研・高エネ研統合計画の「大強度パルス中性子源」を念頭に新たにMgB2中性子検出器を提案し、原研研究炉で実証研究を実施します。ナノスケールに加工したエキゾチック超伝導複合構造を提案し、新奇秩序状態の探索を行います。SQUID顕微鏡、ローレンツ顕微鏡、大規模理論計算で実証します。ナノ素子としての特性を評価し「d」トロニクスの展開を目指します。
研究課題
新規な電子機能を持つ分子ナノ構造体の構築
研究代表者(所属)
小林 速男 (日本大学 文理学部自然科学研究所 客員教授)
概要
新しい電子機能を持つ分子システムの開発は将来の分子デバイス実現への基礎となります。本研究は分子の自己集積作用や分子機能の加成性・設計可能性に基づき、新規な電子機能を持つ分子システムをバルクからナノスケールにわたる様々なレベルにおいて構築することを目指します。この実現のために、磁気・伝導協奏機能を持ち外場応答性を示す、新たな概念に基づく分子性伝導体や分子ナノワイヤなどの構築を目指します。
研究課題
新世代カーボンナノチューブの創製、評価と応用
研究代表者(所属)
篠原 久典 (名古屋大学大学院 理学研究科 教授)
概要
金属内包フラーレン・ピーポットと今までにない高純度・高品質の単層、2層、多層カーボンナノチューブ(新世代カーボンナノチューブ)の創製、評価、実験と理論両面からの電子・光物性の解明、およびこれらの電子デバイスへの応用を行います。新世代カーボンナノチューブの物質科学、基礎物性、電子・情報の分野で21世紀の世界をリードする研究を強力に推進します。
研究課題
精密分子設計に基づくナノ電子デバイス構築
研究代表者(所属)
田中 一義 (京都大学大学院 工学研究科 教授)
概要
モノづくりと理論的支援を両輪とした精密分子設計に基づいて有機・無機融合分子系をボトムアップ方式により構築し、動作環境を整備したナノ電子デバイスを実現することを目的とします。電極・分子接合におけるキャリアの注入および分子内・分子間におけるキャリア輸送の実現を確立するのみならず、少数電子を用いた次々世代の電子素子構築に向けた知的資産をいち早くわが国に蓄積できることが期待できます。
研究課題
次世代光磁気材料を指向したナノデザイン制御
研究代表者(所属)
中嶋 敦 (慶應義塾大学 理工学部 教授)
概要
本研究では、多元的な化学組成の制御を通じて電子構造をデザインした複合ナノクラスターを創製し、このクラスターを機能単位とする二次元系ナノクラスター物質を、ナノメートルオーダーで周期的にデザイン制御した固体表面上への選択的なソフトランディングによって構築します。ナノデザイン制御されたクラスター物質での電子の振る舞いは、新しい電子物性と光磁気応答機能を提供し、次世代光磁気材料への展開が期待されます。
研究課題
相関電子コヒーレンス制御
研究代表者(所属)
永長 直人 (東京大学大学院 工学系研究科 教授)
概要
応答敏感性を持ちナノスケールでも臨界性が現れる強相関電子系を用いて、その軌道やスピンといった内部自由度の量子コヒーレンスと種々の秩序の多相臨界性を制御することを目指します。トポロジカル相制御(ボトムアップ)とクリティカル相制御(トップダウン)の双方向から、量子ベリー位相と多相臨界現象の概念に基づき、第一原理電子状態計算による物性予測と有機・無機系をターゲットとした物質設計・物性実験を行い、電場・電流による磁化制御などの全く新しい多体の電子機能を開拓します。
研究課題
量子スピン系ナノ分子磁石の創製
研究代表者(所属)
山下 正廣 (東北大学大学院 理学研究科 教授)
概要
本研究では、ボトムアップ式分子創製を手段として、「ナノワイヤー単分子磁石」、「ナノリング単分子磁石」、「ナノ粒子ワイヤー」、「ナノ粒子ネットワーク」という全く新しい形態のナノサイズ磁石に焦点をあて、これら物質の合理的設計法を開拓するとともに、機能性の向上、及び磁気秩序の「ナノ−バルク境界」の探求を行うことを目的としています。量子磁石としての近未来材料への新しい突破口を開けると期待しています。
(*研究者の所属は2007年10月1日現在のものです(但し、終了課題に関しては、その終了時点))