生命活動のプログラム

戦略目標

大きな可能性を秘めた未知領域への挑戦」(PDF:14KB)

平成9年度採択分

タンパク質の膜を越えたダイナミズムを支える細胞機能の解明

研究代表者(所属)
伊藤 維昭(京都大学ウイルス研究所 教授)
概要
タンパク質の膜を越えた分泌輸送、膜組み込み、局在化、構造形成、分解過程などを司る細胞機能について研 究した。大腸菌細胞の、タンパク質膜透過チャネル因子SecYEG、輸送ATPase SecA、膜タンパク質の分解制御にかかわる FtsH 複合体、YaeLプロテアーゼ、分泌タンパク質のジスルフィド結合形成装置Dsb、リポタンパク質の外膜への局在化装置Lol 、などの構造と機能を明らかにした。

構造生物学に基づくシグナル伝達系の解明とその制御

研究代表者(所属)
稲垣 冬彦(北海道大学大学院薬学研究科 教授)
概要
細胞内シグナル伝達蛋白質は多くの機能ドメインより構成されており、蛋白質内あるいは蛋白質間の機能ドメ インの相互作用を介してシグナル伝達を制御している。本プロジェクトではシグナル伝達に関与する新規ドメインの立体構造および機能を明らかにした。さら に、アダプター蛋白質や足場蛋白質を取り上げ、リン酸化等シグナルにより誘起されるドメインリアレンジメントによるシグナル制御の実体を解明するととも に、ドメインを組み合わせた新規機能蛋白質を作製した。

哺乳類人工染色体の開発と個体の形質転換への利用

研究代表者(所属)
岡崎 恒子(藤田保健衛生大学総合医科学研究所 教授)
概要
ヒト21番染色体に由来しCENP-B boxの存在するI型アルフォイド配列を50-100kb有するYACやBACをヒト培養細胞HT1080に導入して、細胞分裂周期を通じて安定に維持継 承されるミニ人工染色体(HAC or MAC)を形成する方法を確立した。HACに本来の制御領域を持つ巨大な遺伝子を組み込み、正しい制御下で発現させることに成功した。HACをマウス胚性 幹細胞に移入し、この胚性幹細胞を用いてHACを持つキメラマウスを作出した。HACは哺乳類細胞や個体に使用しうる挿入容量が高く安定維持可能なベク ターとして機能することを明らかにした。

遺伝情報制御分子としてのステロイドレセプター

研究代表者(所属)
加藤 茂明(東京大学分子細胞生物学研究所 教授)
概要
核内ステロイドホルモンレセプター群の遺伝子発現制御機構の解明を目指し、分子レベルで解析を行った。レ セプター分子内には複数の転写制御領域が存在し、このような制御調節には転写共役因子群が関与することを証明した。これら転写共役因子群は複合体として存 在すること、更に新規転写共役活性化因子複合体の同定に成功した。一方、ノックアウトマウスを作出することで、レセプター、転写共役因子の生体内高次機能 を明確にした。

核内因子による遺伝情報発現制御機構の解明

研究代表者(所属)
田村 隆明(千葉大学大学院自然科学研究科 教授)
概要
遺伝子発現の特異的かつ包括的な制御機構の解明を目指し、基本転写装置の一つであるTBPに注目して、そ の多様性と機能修飾について研究を行なった。その結果、種々のTBP結合タンパク質(TIP)やTBPファミリー因子であるTLPを同定し、それら因子に よる基本転写修飾機構を明らかにすることができた。

酸性オルガネラの形成と機能の解明

研究代表者(所属)
二井 將光(大阪大学産業科学研究所 所長・教授)
概要
動物細胞には多彩な酸性オルガネラが存在している。また破骨細胞のような特殊な細胞は細胞外に酸性のコン パートメントを形成しており、それぞれの機能に固有な内部の酸性度をもっている。本研究ではマウスを中心に、細胞がさまざまな酸性環境を作り出す機構を研 究し、成果を得た。特に、いずれのオルガネラ、コンパートメントの膜にも存在するプロトンポンプV型ATPaseの反応機構、多彩なサブユニットとイソ フォーム,細胞内局在化、等に関して多くの新しい知見を得た。また破骨細胞の形質膜がリソソームから形成されるという知見など細胞生物学的に重要な結果を 得た。

水素イオン能動輸送機構の構造生物学的解析

研究代表者(所属)
吉川 信也(姫路工業大学大学院理学研究科 教授)
概要
ウシ心筋ミトコンドリアチトクロム酸化酵素の水素イオン能動輸送は両端にアスパラギン酸(Asp51)と アルギニン(Arg38)をもつ水素結合のネットワークと、それにつながった水の通路を経由して、ヘムaの酸化還元によって駆動されることを示唆する構造 変化がX線構造解析法と赤外分光法により検出された。一方、ミトコンドリア遺伝子発現系を構築して得られたAsp51Asn変異体は、水素イオンを能動輸 送しなかった。従ってAsp51を含む上述の系が水素イオン能動輸送系であることが証明された。

平成8年度採択分

器官形成の分子機構

研究代表者(所属)
浅島 誠(東京大学大学院総合文化研究科 教授)
概要
未分化細胞塊にアクチビンやレチノイン酸などを加えることにより、血球、脊索、腎臓、拍動し介在板をもつ 心臓、インスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌する膵臓、更に感覚器官としての目や耳などの器官形成を可能にした。現在までに14種類の器官や組織を 未分化細胞からつくることができた。また、これらの器官形成に関与する遺伝子のクローニングと解析を行った。これらの成果を通して、未分化細胞から必要な 諸器官を形成する「器官発生工学」の礎を示すことができた。

ゲノム全遺伝子の発現ヒエラルキー決定機構の解明

研究代表者(所属)
石浜 明(国立遺伝学研究所 副所長・教授)
概要
「”転写装置”が、ゲノム全遺伝子から利用するものを選択してRNAへ転写し、しかも転写の程度を決定し ている」という理論を提唱し実証した。環境の変動に伴って、生物が遺伝子発現ヒエラルキーを変えることが出来るのは、転写装置に作用する転写因子の種類に 応じて、遺伝子選択の仕方が変わることに依っている。大腸菌や分裂酵母を素材に、全転写因子を同定し、転写装置の遺伝子認識特異性変換の全体像を明らかに するための研究を行っている。

ゲノムインプリンティング制御の分子機構

研究代表者(所属)
押村 光雄(鳥取大学医学部 教授)
概要
ゲノムインプリンティングとは、父由来と母由来の遺伝子が異なる発現パターンを示す現象である。1)親起 源の明らかなヒト染色体を含むマウス細胞を樹立し、2)新規インプリント遺伝子を同定した。3)Beckwith-Wiedemann症候群(BWS)お よびAngelman症候群(AS)と密接に関連する遺伝子の同定を行った。4)トリDT細胞中にヒト染色体導入を行い、ノックアウト実験によりヒト11 番染色体上のインプリントセンターを同定した。5)インプリンティング遺伝子の発現異常ががんの発生と進展に関わることを明らかにした。

安定同位体利用NMR法の高度化と構造生物学への応用

研究代表者(所属)
甲斐荘 正恒(東京都立大学大学院理学研究科 教授)
概要
本研究の結果、生体高分子のNMR解析技術は大きく進歩し、例えば核酸塩基間の水素結合の直接観測など、 様々な新しい手法の開発を通じて構造生物学の発展に多大な寄与を果すことができました。蛋白質構造解析の高精度化・迅速化をめざした究極的標識技術の開発 に関しては、我々の基本構想の正当性が証明されるとともに、次世代の革新的基盤NMR技術として、構造・機能ゲノム科学の発展に大きな役割を果すことが期 待されます。

一方向性反応のプログラミング基盤

研究代表者(所属)
木下 一彦(岡崎国立共同研究機構統合バイオサイエンスセンター 教授)
概要
体の中には、クルクルと一方向に回り続ける回転モーター、あるいは一方向にグングン歩いていくリニアー モーター、など蛋白質でできた「分子機械」がいろいろあり、いずれも、分子1個だけで立派に機能を発揮します。光学顕微鏡の下で1分子が働いている現場を 直接見て・操作する「一分子生理学」を開発することにより、これら分子機械の働く仕掛け(神様が造ったプログラム)が分かりかけてきました。

超好熱性古細菌転写因子ネットワークの構造生物学的解析

研究代表者(所属)
鈴木 理((独)産業技術総合研究所DNA情報科学研究グループ グループリーダー)
概要
好熱性古細菌サーモプラズマのゲノム全DNA配列(1,584,799塩基)を、さらには古細菌由来の転 写関連蛋白質多数(Lrp、TBP、NusA、G、TFⅡS、古細菌Znフィンガー)の立体構造をX線結晶解析法、NMR分光法により決定しました。配列 や構造に立脚した新しい方法論を開発し、古細菌の転写ネットワークの全体像や古細菌が高温へと適応した機構を研究しました。この結果、古細菌の生命科学上 の位置づけが解明されるとともに、蛋白質の耐熱化といった新技術への展望が開けました。

変異マウスを用いた発癌制御遺伝子の単離・同定

研究代表者(所属)
野田 哲生(東北大学大学院医学系研究科 教授(財)癌研究会癌研究所 部長)
概要
ヒト大腸癌はAPC遺伝子の変異により発生することが知られていますが、生体にはこの発癌過程を抑制した り促進したりする機能を持つ遺伝子群が存在します。我々は本研究で、ヒト家族性大腸腺腫症モデルマウスを用いた遺伝学的解析により、この大腸発癌過程を制 御する遺伝子群の機能を明らかにし、さらに新たな制御遺伝子座の同定に成功しました。こうした発癌制御遺伝子の同定と機能解析は大腸癌の発生予防や治療の 新たな道を拓くものです。

細胞周期における染色体制御に必須な高次複合体の解明

研究代表者(所属)
柳田 充弘(京都大学大学院生命科学研究科 研究科長・教授)
概要
子孫細胞への染色体分配が正確に起こることを保証するいくつかの分子複合体を発見しそれらが、動原体、キ ネトコア微小管、染色体合着や凝縮において必須機能を果たすことを示しました。さらに細胞周期進行と染色体の分配がカップルして進行する謎がユビキチン化 による同時的なタンパク分解がサイクリンとCut2/Pds1/セキュリンで同様な機構で起こることを示しました。これらはすべて酵母細胞で始めて見いだ されましたが、ヒトでも保存されていますので、染色体の分配の普遍性が明らかになりました。

平成7年度採択分

細胞増殖における染色体複製の型の多様性と複製装置の活性化の分子機構

研究代表者(所属)
新井 賢一(東京大学医科学研究所 所長・教授)
概要
血球細胞の増殖と分化を制御する、サイトカイン受容体のシグナル伝達機構の解析から、受容体に連結するチ ロシンキナーゼの活性化が種々のシグナル伝達分子を通じて、細胞の増殖と生存を制御する分子機構を明かにした。サイトカイン受容体の刺激に応答して複製装 置が活性化されるが、その活性化を担う、Cdc7-ASKキナーゼ複合体を同定し、その機能が、動物細胞の増殖および、DNA複製に必須であることをマウ スES細胞の条件致死変異体の作製により証明した。Cdc7-ASKの重要な標的は、複製装置の構成因子であり複製フォークでDNAヘリカーゼとして機能 するMCM複合体であり、CdkとCdc7による、MCM2サブユニットの連続的リン酸化により、複製起点が活性化される。一方、複製フォークの停止によ り誘導される組み換え依存性のDNA複製に必要とされるDEXH型DNAヘリカーゼPriAが停止した複製フォーク構造に特異的に結合することを示し、そ れに関与する構造を明かにした。また、転写因子によるクロマチンリモデリングが、Th1/Th2特異的サイトカイン遺伝子発現の運命決定に関与することを 明かにした。

細胞増殖の制御機構

研究代表者(所属)
岸本 健雄(東京工業大学大学院生命理工学研究科 教授)
概要
細胞増殖制御のためにシグナル伝達系と細胞周期制御系とがいかに連携しているのか、その解明を目指した。 その結果、卵細胞においては、減数分裂再開始のためのM期制御系に至るシグナル伝達の全経路を同定するとともに、受精に際してのS期開始制御に関わるシグ ナル伝達系の中核を明らかにした。体細胞においては、増殖刺激に応答した、三量体あるいは低分子量Gタンパク質を中心としたシグナル伝達のネットワークを 明らかにした。さらに脳においては、神経特異的細胞周期制御関連因子のタンパク質限定分解が神経細胞変性に関与することが判明した。

線虫全発生過程の遺伝子発現プログラム

研究代表者(所属)
小原 雄治(国立遺伝学研究所 教授)
概要
生物発生は遺伝子の絶妙な働きによって進行する。この発生プログラムの解読をめざして、線虫全遺伝子の半 分弱7,000遺伝子について発現の時期、細胞/組織を決定した。発現パターンの分類解析から各細胞系譜での発現順を決定し、発現制御シグナルの推定をお こなった。線虫では受精後の極初期に細胞運命決定が起こるが、この過程に重要な働きをする様々なクラスの母性発現遺伝子群を同定した。さらに極初期過程の 細胞分裂・配置の動力学シミュレーションをおこなうコンピュータモデルを構築した。

個体老化の分子機構の解明

研究代表者(所属)
鍋島 陽一(京都大学大学院医学研究科 教授)
概要
多彩な老化症状を呈するKlothoマウス系統を樹立した。原因遺伝子;Klothoは腎尿細管、副甲状 腺、脈絡膜で発現するb-glucosidasefamilyのメンバーであった。Klotho蛋白はER-ゴルジ体、細胞膜上、血清中に存在し、動物個 体のカルシウムホメオスタシスを含む恒常性の維持機能を制御する重要な分子である。ヒトKlothoの解析により老化関連疾患との連鎖が推定される7ヵ所 のSNP’sが同定され、ヒト老化疾患におけるKlothoの意義が推定されている。Klotho蛋白の機能解明、b-klothoの機能解析、並びに Klothoの臨床応用の可能性を追求している。

左右軸の位置情報の伝達・確立の分子機構

研究代表者(所属)
濱田 博司(大阪大学細胞生体工学センター 教授)
概要
左右非対称に発現する初めての遺伝子(lefty)を発見し、これを糸口として、体の左右非対称性が生じ る機構について研究を行った。LeftyはTGFβに類似したシグナル因子をコードしており、ノックアウトマウスを用いた解析などにより、体の左側を決定 する因子であることが判った。また、lefty遺伝子の発現制御機構を解析した結果、この遺伝子の非対称な発現を誘導するシグナル経路が明かとなった。

汎生物高速遺伝子同定法の開発と遺伝的背景を支配する遺伝子群への応用

研究代表者(所属)
林崎 良英(理化学研究所ゲノム科学総合研究センター プロジェクトディレクター)
概要
ゲノムDNA上に書きこまれている情報は、塩基配列と修飾(メチル化)が、情報の全てである。塩基配列の 高速解読システム、RISA sequencerを開発し、メチル化をスクリーニングするシステムとしてRLGSの自動化システムの開発に成功した。それを用いて、ヒトゲノム上から Genomic Imprintingという遺伝形式を指標にし、ヒト新生児一過性糖尿病遺伝子、偽副甲状腺機能亢進症の遺伝子のpositional canditate cloningに成功した。

オルガネラ構築と細胞機能発現制御の分子機構

研究代表者(所属)
藤木 幸夫(九州大学大学院理学研究院 教授)
概要
上記課題解明を目指して、ペルオキシソーム、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、リソソームなど細胞内オ ルガネラの動的存在状態と障害の分子機構を明らかにすべく、ペルオキシソーム系を主体とした取り組みを展開した。ペルオキシソームの形成に必須な数多くの 遺伝子(病因遺伝子)の単離をはじめ、各小器官の構成タンパク質輸送や膜融合など生合成過程に関わる基本素子とその機能に関し重要な多くの成果が得られ た。

発生・分化を規定する新規シグナル伝達ネットワーク

研究代表者(所属)
松本 邦弘(名古屋大学大学院理学研究科 教授)
概要
TGF-bスーパーファミリー、TollファミリーやWntファミリーは、高等真核生物の発生及び分化を 規定する細胞外リガンドとして不可欠の役割を果たしている。我々が開発した分子遺伝学的手法により哺乳類の新規MAPKカスケードのシグナル伝達因子 TAK1を発見し、TGF-b及びTollファミリーに属するIL-1シグナル伝達経路で機能することを明らかにした。さらに、線虫と動物細胞において、 TAK1を介した新規MAPKカスケードが、Wntシグナル伝達経路と連関しながら発生・分化を抑制していることが明らかになった。

 
※本プロジェクトの研究代表者であった加藤茂明氏については、同氏が主宰する研究室において論文の不正行為があったことが東京大学において認定されています。認定された不正行為には、本プロジェクトの研究成果とされた論文の一部が含まれています。詳細は、下記をご参照下さい。
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_261226_j.html
http://www.u-tokyo.ac.jp/content/400007786.pdf
http://www.jst.go.jp/osirase/20160325_oshirase-2.html

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