脳を守る

戦略目標

脳機能の解明」(PDF:17KB)

平成11年度採択分

DNAチップによる遺伝性筋疾患の分子病態解明

研究代表者(所属)
西野 一三 (国立精神・神経センター 部長)
概要
ヒト骨格筋に特化した独自のcDNAマイクロアレイ型DNAチップを開発した。本DNAチップは、世界で 初めて、生検筋一例での網羅的遺伝子解析を可能とした。各種遺伝性筋疾患の解析においては、従来の筋病理学的な所見と遺伝子発現プロファイルとが矛盾無く 一致していることに加え、様々な新しい知見を得ることができた。特に、福山型先天性筋ジストロフィーでは、壊死の度合いに比して、再生が不良であることを 明らかにした。

神経変性の分子機構解析に基づく新しい治療戦略の開発

研究代表者(所属)
垣塚 彰 (京都大学大学院生命科学研究科 教授)
概要
我々は、ポリグルタミン病をモデルに用いて神経変性疾患に共通する発症メカニズムの解析を行ってきた。そ の結果、ポリグルタミン病の発症には、ポリグルタミンを含む部分蛋白質の切り出しが重要であること、ポリグルタミンによる細胞死には小胞体ストレスが深く 関与することを明らかにした。さらに、多くの神経変性疾患の発症に深く関与する分子として VCPと呼ばれる ATPaseを同定するに至った。これらの研究成果により、神経変性疾患に共通する発症の分子メカニズムの全容の解明、さらには、有効な治療・予防法の開 発にむけての基盤ができたと考えている。

プリオン複製に関与する新しい因子の同定とプリオン病治療法開発への応用

研究代表者(所属)
金子 清俊 (国立精神・神経センター 部長)
概要
(1) プリオン病の原因となる感染型プリオンタンパク質の複製に関わる分子シャペロンと同様の新規分子シャペロン、(2) 正常型プリオン蛋白質の生理機能、(3) プリオン病における神経細胞死機構に関する成果を得た。また、GPIアンカー欠損によるプリオン複製への影響や硬膜移植後に発症するクロイツフェルト・ヤ コブ病の解析、さらにプリオン感染マウス脳におけるタンパク変動の経時的、網羅的解析を行った。

平成10年度採択分

脳関門排出輸送に基づく中枢解毒

研究代表者(所属)
寺崎 哲也 (東北大学未来科学技術共同研究センター 教授)
概要
血液脳関門には、脳内のGABA, L- アスパラギン酸、L- プロリンなどの神経伝達・調節物質や、ホモバニリン酸などの神経伝達物質の代謝物、DHEAS などの神経ステロイドの代謝物、インドール硫酸などの尿毒症物質、6-メルカプトプリンなどの薬物を血液中にくみ出す輸送系があります。さらに、エネル ギーを蓄えるクレアチンを血液中から脳内へ供給する輸送系があります。多様な輸送系が脳を支援・防御していることが分かりました。

脳虚血により引き起こされる神経細胞死防御法の開発

研究代表者(所属)
遠山 正彌 (大阪大学大学院医学系研究科 教授)
概要
1) 小胞体の機能異常による神経細胞死の存在をアルツハイマー病(AD)と脳虚血をモデルに世界に先駆けて示した。家族性AD ではプレセニリン1変異体が孤発性AD ではエクソン5 を欠損するプレセニリン2 のスプライシングバリアントが小胞体の蛋白処理機構を担うセンサーの機能異常を引きおこすことにより神経細胞死を引きおこすことを示した。また脳虚血では 小胞体からの小胞輸送を担うOxygen Regulated Protein 150kD(ORP150)の発現量が神経細胞では低い事により神経細胞死に陥る。
2) これまで不可能であった中枢神経の軸索再生をRhoGTP,Rhoキナーゼを制御することにより世界で初めて可能とした。

ウイルス性脳障害の発症機構の解明と治療法の開発

研究代表者(所属)
長嶋 和郎 (北海道大学大学院医学研究科 教授)
概要
ヒト脳に特異的親和性を示すJCウイルスをモデルにした感染メカニズムの解析を行った。その結果、細胞膜 のウイルス受容体には特異性はなく、神経系細胞に特異的な核内因子に依存して増殖することが明らかになった。また、機能未知の小さな蛋白がウイルス増殖に 不可欠であることを見出し、この蛋白の転写を標的としたウイルス疾患治療法への手がかりを得た。JCウイルスに似せた中空ウイルス様粒子の作成に成功し、 遺伝子治療用ベクターへの可能性を示した。

活性酸素による脳・神経細胞の障害とその防御機構

研究代表者(所属)
中別府 雄作 (九州大学生体防御医学研究所 教授)
概要
ゲノムの酸化に対するヒト細胞の防御機構を解明し、パーキンソン病等の神経変性疾患患者では、防御遺伝子 の発現異常を伴ってゲノムの酸化が高度に蓄積していることを明らかにした。防御遺伝子欠損マウス及び細胞を用いて、ゲノムの酸化が突然変異と細胞死の原因 となる事を証明した。酸化ストレス応答時のシグナル伝達足場蛋白質JSAP1 が脳の初期発生に必須であることを明らかにし、その下流で作用するΔ FosB が、神経再生促進活性を持つGalectin-1の発現と細胞運命を制御することを明らかにした。

平成9年度採択分

遅発性神経細胞死の分子機構

研究代表者(所属)
桐野 高明 (東京大学大学院医学系研究科 教授)
概要
遅発性神経細胞死の分子機構の解析の過程で、遅発性神経細胞死に海馬組織でのcalcineurinの高 発現が増悪因子となっていること、神経細胞においてプロテアソーム機能を低下させるとミトコンドリア・カスペース依存性のアポトーシスが誘導されること、 一過性前脳虚血後の遅発性神経細胞死に先行して全脳的に低下したプロテアソーム機能が海馬CA1領域に限局して回復しないこと、マウスでの遅発性神経細胞 死モデルを確立し、各種遺伝子変異マウスでの遅発性神経細胞死モデルの作製が可能となった。p53KOマウスを用いた結果から遅発性神経細胞死の過程で p53が必須の役割を果たしていること。以上の新知見を見出した。

精神分裂病(統合失調症)における神経伝達の異常

研究代表者(所属)
須原 哲也 ((独)放射線医学総合研究所 特別上席研究員)
概要
統合失調症の大脳皮質ドーパミンD2受容体に関してPETを用いて評価し、前部帯状回における有意な低下 と陽性症状との負の相関を明らかにした。また視床においては背内側核と視床枕に相当する部位での有意な低下を見いだした。一方治療に関しては、抗精神病薬 の大脳皮質における受容体占有率の用量依存曲線を明らかにすると共に、脳内受容体占有率の経時変化が抗精神病薬の血中動態とin vivo ED50より予測できることを明らかにした。また興奮性アミノ酸神経伝達を測定するためのリガンドとして、C-11標識L-703,717を開発し、これ がin vivoの条件下でのみ小脳皮質に結合し、その機序として内在性D-セリンとの競合阻害が関与していることを明らかにした。

Caチャネル遺伝子の変異と神経疾患

研究代表者(所属)
田邊 勉 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 教授)
概要
脊髄小脳失調症6型の患者剖検脳の免疫組織化学的解析から、小脳プルキンエ細胞の細胞質内に原因遺伝子産 物であるα1Aチャネル蛋白の凝集体を見出した。さらに種々ポリグルタミン伸長を有するヒトα1Aチャネルの発現実験から、疾患範囲のポリグルタミン伸長 によりチャネル機能が低下することを明らかにした。一方、発症前から発症後にいたるまでの計時的な解析により疾患の予防及び治療法を開発するために、疾患 変異を有するヒトα1Aチャネル遺伝子を本チャネルプロモーターの下流で単一コピー発現するノックインマウスの作製に着手しこれに成功した。

脊髄性筋萎縮症発症メカニズムの解析

研究代表者(所属)
辻本 賀英 (大阪大学大学院医学系研究科 教授)
概要
脊髄性筋萎縮症の原因遺伝子産物SMNがアポトーシス抑制因子Bcl-2の活性を増強することの発見に端 を発し、疾患治療を念頭に、Bcl-2ファミリーたんぱくの機能解析を中心とした細胞死シグナル伝達経路の解析を行った。Bcl-2ファミリーたんぱくが ミトコンドリアの膜透過性制御を介して細胞死を調節していることを示し、この膜透過性制御の分子メカニズムをミトコンドリアチャネルVDAC制御という観 点から明らかにした。また細胞死シグナル伝達分子としてAcinus、RTN-x、PLA2などを同定し解析を行った。

神経細胞における増殖制御機構の解明

研究代表者(所属)
中山 敬一 (九州大学生体防御医学研究所 教授)
概要
細胞周期のブレーキ分子p27のタンパク質分解による発現制御機構の解明を目的として、ユビキチンリガー ゼSkp2のノックアウトマウスを作製し、そのp27分解における異常やそれに伴う核腫大・染色体過剰複製を明らかにした。このノックアウトマウスの研究 によってSkp2以外にも未知のユビキチンリガーゼがp27の分解に関わっていることを明らかにし、最終的に新規ユビキチンリガーゼKPCを発見した。こ れらの研究によって細胞周期を停止させる複雑な分子機構が総合的に明らかとなった。

老化脳における神経の可塑性制御の分子基盤

研究代表者(所属)
森望 (国立療養所中部病院長寿医療研究センター 部長)
概要
神経の分化、成熟、可塑性、再生、変性など、さまざまな応答時にリン酸化チロシンシグナルが動く。我々 は、神経特異的なリン酸化チロシンアダプターN-Shcを単離し、その機能解析を進めた。その結果、N-Shc は神経系に多いp250-GAP/Grit と結合しCrk を介してアクチン骨格を変換することを発見した。N-Shcは神経栄養因子BDNFにより活性化され、神経の分化、生存に働き、神経変性や再生時にも発現 が変化した。また、G蛋白共役受容体の活性を修飾した。これらの事実からN-Shcは成熟神経で様々な調節に関与することが明らかとなり、老化脳での変化 も示唆された。他の神経制御因子であるNRSFとSCG10についても加齢変動等の解析をしたが、老化ではあまり変化が見られなかった。

 

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