高度メディア社会の生活情報技術

戦略目標

大きな可能性を秘めた未知領域への挑戦」(PDF:14KB)

研究総括

長尾 真 ((独)情報通信研究機構 理事長)

概要

 日常生活に深く関連する様々な情報技術を、「あらゆる人々が自由に使いこなせる」という観点からとらえて研究するとともに、社会科学的な側面からの研究についても対象とし、質が高く安心できる暮らし、活力ある社会の構築をめざします。
 具体的には、バリアフリー情報システム技術、人間重視ヒューマンインターフェイス技術、調和のとれた社会の構築のための情報システム技術などの研究を行 います。また、これらを支えるソフトウェアの開発研究、情報コンテンツ構築とその構築技術の研究、教育情報コンテンツ構築とその活用システムの研究、煩雑 化する情報社会の有るべき姿の多角的な探索および次世代情報社会へ向けた基盤技術などの研究を行います。

平成13年度採択分

セマンティック・タイポロジーによる言語の等価変換と生成技術

研究代表者(所属)
池原 悟 (鳥取大学 工学部 教授)
概要
従来の言語処理における要素合成法の限界を克服するため、「非線形言語モデル」を提案し、パターン記述言 語を開発した。また、それらに基づくパターン生成技術を確立し、日本語重文複文に対する22.7万件の文型パターン辞書(英語パターン付き)を構築した。 さらに、重文複文の意味分類体系(節間の意味:227分類、節の意味:740分類)を構築し、日本語文型パターンの意味類型化を行った。以上により、従来 に例のない大規模でカバー率の高い(統語的な被覆率は98%、意味的な被覆率は80%)表現意味辞書が実現され、非線形な言語表現の意味を捉える仕組みが できた。また、類推原理による「意味的等価変化方式」実現の見通しが得られた。
 

デジタルヒューマン基盤技術

研究代表者(所属)
金出 武雄 ((独)産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究センター 研究センター長)
概要
人間機能を生理解剖、運動機械、心理認知の3軸で考え、人間機能を計測、モデル化して計算機上に再現し、 ロボットとして実体提示する技術を開発した。人間中心設計システムとしては、詳細な手の機能を再現する人体統合モデル「Dhaiba」を開発し、自動車、 メガネ、マウスなどの製品開発に活用した。人間の行動を理解し支援するシステムとしては、超音波位置センサを開発し老人福祉施設の見守り技術に利用した。 このセンサで計測した子どもの行動データを確率ネットワーク技術でモデル化し、事故予防に役立つ行動シミュレータを開発した。人間的行動を行うロボットシ ステムとしては、三次元視覚と人体モデル照合による人間発見技術、人間の歩行解析に学んだ効率歩行技術を研究した。人間の心理状態を再現するシステムとし ては、患者の心理的圧迫と生理反応をモデル化し、再現することで手術トレーニングに役立てる技術を開発した。
 

連想に基づく情報空間との対話技術

研究代表者(所属)
高野 明彦 (情報・システム研究機構 国立情報学研究所 連想情報学研究開発センター センター長・教授)
概要
情報空間における関連情報の探索・分析・提示と、脳における記憶の連想的探索・無意識的想起との新しい結 びつきこそ、人間の創造性を高める情報技術のカギであると考え、本研究では、この新しい創造的相互作用を基礎づける「連想の情報学」の体系化を目指した。 膨大な情報に基づく連想過程の計算的な基礎づけや、情報空間の内容的概観をフィードバックして人の連想を効果的に刺激する対話手法を開発した。この情報技 術を実用規模の文書情報に適用して、連想的対話環境を特徴とする多くの情報サービスを構築・公開した。それらのうち、WebcatPlus、文化遺産オン ライン、新書マップ、Book Town JIMBOUは、それぞれの分野における情報サービスとして国内No.1の評価を得ている。
 

平成12年度採択分

日常生活を拡張する着用指向情報パートナーの開発

研究代表者(所属)
木戸出 正継 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授)
概要
本研究では常時着用型情報処理機器(情報パートナー)が必要とする各種機能群を研究開発した。具体的には 1)拡張現実ナビゲーション、2)知的共同作業支援、3)拡張記憶アルバムというユーザの日常生活の情報活動を拡張する応用場面を設定し、そのために必要 な基盤アーキテクチャ(OS、データベース)、入出力インタフェースの高度な要素技術を連携させながら統合的に開発した。その結果、上記3つに対応したア プリケーションを試作してコンセプトの先見性を示すと共に実現への道筋を示し、ハンズフリーインタフェースの技術開発・事業化を推進し、また省エネ・省メ モリを目指した状況依存OSとデータベースのための基盤要素を固めた。
 

テレイグジスタンスを用いる相互コミュニケーションシステム

研究代表者(所属)
舘暲 (東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授)
概要
本研究では、次世代のコミュニケーション技術として利用者がお互いに物理的に遠く離れていても、あたかも 同一の空間を共有し、すぐそばにいるかのように顔を合わせて会話することができる相互テレイグジスタンスシステムを提案し研究開発を行った。本研究では利 用形態に応じ(1)オフィス・公共機関用テレイグジスタンス電話(TWISTER)、(2)家庭用テレイグジスタンス電話(SeeLINDER, i-Ball)、(3)携帯型テレイグジスタンス電話の3形態を実装し、実装したシステムを実際に利用した際の問題点に関する検証、人間に対する生理・心 理的な影響について研究を行い更なるコミュニケーション技術開発のための知見を得た。
 

情報のモビリティを高めるための基盤技術

研究代表者(所属)
辻井 潤一 (東京大学大学院 情報学環 教授)
概要
本研究は、ネットワーク中の膨大なテキスト情報を効率的に収集し、ユーザが真に必要とする情報をわかりや すい形で提示するシステムを構築するために、言語処理と知識処理、ネットワーク・クローラーや知的エージェントの研究など、複数分野の研究を有機的に統合 した基盤技術を確立することを目的とした。5年間の研究の結果、(1) 深い意味構造を出力する文解析器、(2)テキスト構造と意味に基づく知的な索引構造、(3) 機械学習と記号処理の融合のためのアルゴリズム、(4)意味処理・知識処理研究のリソース構築、(5) テキストの収集と処理のためのソフトウェア基盤、(6) ユーザ指向のHCl、の分野において著しい成果をあげた。また、これらの要素的な研究成果の統合により、構造的に複雑な言語処理・知識処理を大規模なテキ ストベースに対して適用できる基盤技術を開発し、実際にその有効性を実験により確認した。研究の最終的な成果は、性質の異なるユーザ集団を対象とした複数 の統合的サービスシステムの形態で、ユーザに公開されている。
 

人間中心の知的情報アクセス技術

研究代表者(所属)
橋田 浩一 ((独)産業技術総合研究所 情報技術研究部門 副研究部門長)
概要
意味構造を明示することによってコンテンツ作成のコストを低減しかつコンテンツの品質を向上させるオーサ リング支援、そのような意味構造を用いた情報の検索や分析、近距離の測位・通信などの技術を開発するとともに、人間と人工物に共有される意味に基づいてこ れらの技術を連携させる基盤ソフトウェアのプロトタイプを構築した。そのような意味に基づいてIT システムを設計・運用することによって人間の知的能力をより良く発揮させる、人間中心の情報技術の基礎を築き、あらゆる人々が主体的に参画できる知識循環 型社会に必要な情報基盤の創造に貢献した。
 

平成11年度採択分

文化遺産の高度メディアコンテンツ化のための自動化手法

研究代表者(所属)
池内 克史 (東京大学大学院 情報学環 教授)
概要
文化遺産の画像・形状情報、動き情報を自動的に処理し高度メディアコンテンツへ変換する手法の開発を行っ た。入力センサーに関しては、高所から動き回りながらデータの取れる気球搭載型局地高速距離センサー・通常の距離センサーでは測定不可能な透明物体を偏光 を用いて形状を決定するセンサーの開発に成功した。形状データに関しては、100枚以上の距離画像を並列に同時位置あわせ・統合するアルゴリズム、光学 データに関しては高精度同時テクスチャマッピング手法を開発。これらのアルゴリズムを用いて、奈良大仏やカンボジア・アンコールトムなどのメディアコンテ ンツを作成。動き情報に関しては舞踊の解析法を確立し、解析結果に基づきヒューマノイドロボットの制御法を確立。これを用いて、ヒューマノイドロボットに よりジョンガラ節をおどらせることに成功した。
 

デジタルシティのユニバーサルデザイン

研究代表者(所属)
石田 亨 (京都大学大学院 情報学研究科 教授)
概要
都市の情報を集積し再発信するデジタルシティの基盤技術として、1)地図情報空間、 2)仮想都市空間、 3)映像都市空間の3種を取り上げ技術開発を行なった。 その結果, 1)Web情報からランドマークを自動的に検出し、 地図上に表示する技術、 2)仮想都市で多数のエージェントを並行制御するシナリオ記述言語、 3)全方位カメラで撮影した連続写真を用いて3次元空間を再現する技術を開発し、 都市での危機管理や郊外での環境学習に適用した。
 

表現豊かな発話音声のコンピュータ処理システム(EXPRESSIVE SPEECH PROCESSING)

研究代表者(所属)

Nick Campbell ((株)国際電気通信基礎技術研究所 主幹研究員)
概要
本研究では、大規模自然対話音声コーパス・発話様式処理技術・コミュニケーション情報モデル化という3つ の成果を得た。高度メディア社会における表現豊かな音声インタフェース技術に向けて、この実環境自然対話コーパスの作成・分析により新たな音声情報処理シ ステムを提案した。自然発話音声から話者意図・態度・感情などの情報や聞き手との関係情報の処理が可能となった。言語情報と並列的に行われるパラ言語情報 のモデル化と処理技術を実用化し、新たな音声合成手法と共に対話音声波形の特徴抽出技術を開発できた。
 

高度メディア社会のための協調的学習支援システム

研究代表者(所属)
三宅 なほみ (中京大学 情報科学部 教授)
概要
認知科学を基礎とした協調的な学習の理論と情報メディア技術を駆使して、旧来の教授システムに代わる革新 的な学びの支援方法を考案し、4年間実践的に評価してその効果を実証した。具体的には初学者が「認知科学」を学ぶための学習コンテンツと協調的な知識統合 を促進するためのマルチメディア型ノート共有システムを開発し、高度に協調的なカリキュラムによる実践を繰り返すことによって、学生の理解深化が促進でき ることを示した。高校「数学」についても同種のコンテンツを開発した。
 

心が通う身体的コミュニケーションシステム E-COSMIC

研究代表者(所属)
渡辺 富夫 (岡山県立大学 情報工学部 教授)
概要
うなずきや身振りなどの身体的リズムの引き込みをメディアに導入することで、対話者相互の身体性が共有で き、一体感が実感できる身体的コミュニケーションシステムを開発した。本システムは、身体的コミュニケーションを合成的に解析する身体的バーチャルコミュ ニケーションシステムと音声に基づく身体的インタラクションシステムから構成されている。システム開発を通して身体的コミュニケーションを解明し、身体的 コミュニケーション技術の基盤を確立した。

 

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