[ナノ構造触媒] 環境保全のためのナノ構造制御触媒と新材料の創製

ナノテクノロジー分野別バーチャルラボHP

戦略目標

環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」(PDF:24KB)

研究総括

御園生 誠((独)製品評価技術基盤機構 理事長)

概要

 この研究領域は、ナノオーダーで構造・組織等を制御することにより、これまでになく高効率・高選択的にかつ環境負荷を低く化学物質等を合成あるいは処理 することが可能な新触媒・新材料・システム、環境負荷の低い新材料等を創製し、環境改善・環境保全に資する研究を対象とします。
 具体的には、環境負荷の高い合成プロセスをナノ構造制御触媒等により低環境負荷型に代替する技術に係わる研究、高効率分離・吸着機能・高立体選択的表 面・触媒等の高機能・新機能を有するナノ構造材料等の創製に係わる研究、すなわちグリーンナノケミストリーに加え、排ガス・排水中に含まれる化学物質、環 境中に存在する化学物質等を高効率・高選択的に分離・除去、分解、無害化するナノ構造制御触媒の開発に係わる研究、これらを組み込んだシステムの創製に係 わる研究、ナノ空間機能を反応場として活用したナノリアクター等の創製を目指す研究、環境負荷の低いナノ制御構造材料に係わる研究等が含まれます。

平成16年度採択分

分子の特性を最大に引き出すナノサイズ構造体がつくる場の研究

研究代表者(所属)
中村 振一郎 ((株)三菱化学科学技術研究センター 計算科学技術室 室長)
概要
生体をナノ構造体として観ると、化学エネルギーを極限的な高効率で力学エネルギーに変換しています。現代 の工業製品は、部分的に高効率であっても系全体としては生体に到底及ばず、排出エントロピー増加という難問に直面しています。本研究は生体が熱ゆらぎの中 で機能するのは、空間階層と時間階層にカップルしてたたみ込まれた精妙なメカニズムにあると考え、計算科学とナノ領域実験科学の融合によりその原理に迫 り、場が如何に機能を決めているかを学び、環境負荷最小の新材料の創製を試みます。焦点は分子レベルの機能と励起状態のデザイン、固体物性と表面界面のデ ザイン、そしてゆらぎ解析です。
 

平成15年度採択分

精密自在制御型ナノ触媒の創製

研究代表者(所属)
山元 公寿 (慶應義塾大学 理工学部 教授)
概要
研究代表者らが世界にさきがけて開発した新型金属精密集積超分子を追求し、金属の数を精密かつ自在に制御 した触媒、いわゆる精密自在集積型ナノ触媒を創製します。この独自の材料を鍵として、単分散クラスターや連続多電子移動など新概念の創出を目指し、未来化 学を拓きます。さらに、「二酸化炭素還元触媒」、次世代軽量燃料電池に組込める「酸素還元触媒」など、国際的にも緊急課題として注目されている対象に突破 口を開き、環境・エネルギー科学への波及の実証を目指します。
 

平成14年度採択分

水中での精密分子変換を実現するナノ遷移金属触媒創製

研究代表者(所属)
魚住 泰広 (自然科学研究機構 分子科学研究所 教授/理化学研究所 フロンティア研究システム 研究チームリーダー)
概要
遷移金属錯体の構造・機能に立脚し、遷移金属を触媒活性種とするナノ構造体・ナノ金属クラスターを両親媒 性高分子マトリクス内に自在調製します。両親媒性マトリクスによる水中での不均一有機反応場の提供、同マトリクス内に構築されたナノ触媒種による有機変換 工程の精密な駆動・制御を一挙に達成することで環境調和・リスクフリープロセスを実現します。
 

グリーン化学合成のための酸化物クラスタ高機能触媒の開拓

研究代表者(所属)
奥原 敏夫 (北海道大学 大学院 地球環境科学研究院 教授)
概要
本研究では、廃棄物を出さないグリーン化学合成を実現できる新しい機能を備えたナノ構造制御固体触媒の開 拓を行います。そのため、強酸性酸化物クラスタをベースに原子レベルからナノサイズの構造設計によって、従来の硫酸法化学合成にとって替わる水中有機合成 や高難度ファイン合成を実現する新固体酸および副生物が水のみの高効率選択酸化反応を促進する新固体酸化触媒を開拓します。
 

高度に制御されたナノ空間材料の創製

研究代表者(所属)
黒田 一幸 (早稲田大学 理工学術院 教授)
概要
本研究では、組成と構造が良く制御されたミクロ多孔体・メソ多孔体などのナノ空間材料を創製します。電子 線結晶学によってナノ空間材料の構造を調べ、環境触媒などとしての能力を明らかにします。材料の機能を組成・構造との関係で統一的に把握し、次の世代の新 ナノ空間材料合成に挑戦し、環境・産業等各方面への応用を目指します。
 

有機無機複合相の自在変換によるグリーン触媒の創製

研究代表者(所属)
辰巳 敬 (東京工業大学 資源化学研究所 教授)
概要
有機テンプレートによって導かれる有機無機複合相のソフト性を利用することによって、ゼオライト、メソ ポーラス構造を自在に変換し、所望の細孔構造と精密制御された活性点を有する新しい触媒材料を創製します。シリカ-界面活性剤分子集合体の形状変化やゼオ ライトの層構造と3次元構造の相互変換の原理、機構を解明します。これらのナノ構造が精密制御された触媒は化学工業のグリーン化への寄与が期待されます。
 

高機能規整酸化物表面創生

研究代表者(所属)
田 旺帝 (国際基督教大学 理学科 上級准教授)
概要
本研究は酸化物単結晶または化学的に機能化した表面を対象に、振動分光法などの酸化物表面構造研究に適した手法により、原子・分子レベルの化学プロセスを規定し、物理・化学的特性の制御を目標とします。これにより、高効率選択反応、自己制御機能(増殖・修復)を有する環境にやさしい新材料の創出が期待されます。また、ここで開発されるナノ分析法は新たなナノテクノロジーとしての応用が期待されます。
 

ナノ制御空間を有する均一系分子触媒の創製

研究代表者(所属)
辻 康之 (京都大学 大学院 工学研究科 教授)
概要
本研究では、ナノサイズ制御空間を均一系分子触媒に導入することにより、ナノ制御空間が有する超分子相互 作用等を活かした、高度な分子認識能のような従来では達成できない高い選択性を有する均一系分子触媒の開発を行います。これにより、室温に近い温和な反応 条件下、高い効率で有用物質を生み出す接触変換反応を行うことが可能となり、地球環境を保全する優れた触媒システムの実現が期待できます。
 

ナノ構造制御ペロブスカイト触媒システムの構築

研究代表者(所属)
寺岡 靖剛 (九州大学 大学院 総合理工学研究院 教授)
概要
本研究では、ペロブスカイトを基盤材料に用いて、機能と構造を「ナノからメソ、マクロへサイズ階層的に制 御」することにより、環境・エネルギー分野で重要な排ガス浄化触媒、電極触媒、メンブレンリアクターの高性能触媒システムの構築を目指します。これにより 実用化への道を拓くとともに、ナノテクノロジーを基盤とした複合金属酸化物触媒システム構築の方法論の提示、確立とその背景にある基礎学理の構築にも取り 組みます。
 

表面最適化炭素ナノ繊維の新規環境触媒機能

研究代表者(所属)
持田 勲 (九州大学 産学連携センター 特任教授)
概要
研究代表者らは、ヘキサゴナル炭素面を明確に認識して、直径及び炭素面の配列の多様な炭素ナノ繊維の調製 に成功しています。この炭素ナノ繊維の表面及びそこに担持した触媒種について高い触媒機能を追及すると同時に、担持した触媒種あるいは基質と炭素面との微 視的相互作用を明らかにして、ナノ界面化学を開拓します。最適炭素面を有する炭素又はカーバイドナノ繊維の大量合成、表面機能を最適・最大化した環境触媒 およびエネルギー高度利用法を開発して新産業の基礎を構築します。
 

ナノ制御置換型金属酸化物触媒による選択酸化反応の制御と応用

研究代表者(所属)
八嶋 建明 (宮崎大学 産学連携支援センター 特任客員研究員)
概要
酸化反応を司るのは活性酸素とされていますが、選択酸化反応ではその表面上での密度と動きの制御が必要で す。本研究ではメタン等の選択酸化を可能にするために酸素との親和性の異なる数種の金属元素をナノオーダーで二次元的に制御した表面層を持つ置換型金属酸 化物を合成することにより、表面上に生成する活性酸素の密度と動きを制御し、含酸素化合物生成の選択性の向上を試みます。この活性酸素の制御法はメタンの 他、プロピレン等広く炭化水素の選択酸化反応への応用も期待できます。

 

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