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平成17年度採択課題 研究終了にあたって

「生命現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術」
研究総括 柳田敏雄

 生命科学は、そのときの新しい計測技術の開発とともに発展してきました。この歴史に学べば,遺伝子の解明が進んだ現在、次の生命科学進展のためには、新しい発想のもとに革新的な技術開発が求められていると言えます。研究領域「生命現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術」は、分子から細胞、個体にわたり新しいツールを創出し、生命現象解明のために新しい道を切り開くことを目指し設定されたものです。その成果は新しい生命科学の創成を目指し,また診断・治療など新しい医療技術の開発にもつながるものと期待しています。

 本領域は、平成16年度から開始され、領域課題達成のため、初年度4課題、第2年度5課題、第3年度5課題の合計14課題を採択し、そのうち平成22年3月に6課題が終了し,次いで23年3月に平成17年度採択の4課題が5年間の研究期間を終え、終了しました。それぞれの課題では、ユニークな発想のもとにさまざまな要素技術開発を経て、新しい計測手法の確立やその基盤医術の開拓に成功しています。この領域には生命現象の計測と言うひとつのゴールに向けて課題の数だけさまざまなアプローチが存在します。また、ひとつのチームの中でも,計測と生物、実験と理論など異なった分野のグループが存在し、この間での融合が活発に行われています。このようなチーム間、チーム内の異なった分野間の有形,無形の相互作用から新しい研究が生まれ、広がっています。CRESTで育った研究がさらにさまざまな人や分野と相互作用することで、新しい技術・文化が生まれ,育まれてゆくと信じています。

 5年前、今年終了する課題がスタートした時に比べ研究の地平線が遥かに開け、実社会への貢献も夢ではなくなってきています。しかし、新しい研究分野が育ってゆくためには、研究を巡る社会環境を見直すことも大切なことです。諸外国に比べ研究者がサイエンス以外のことで乗り越える障害が立ちはだかっています。産官学一体となって新しい研究を育ててゆくことの必要性も痛感しています。どうぞ研究者達が目指しているものを知っていただき,お力添えをいただきますよう、心からお願い申し上げます。