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平成21年度研究終了にあたって

「生命現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術」
研究総括 柳田 敏雄

 これまで生物学は、そのときの新しい計測技術によって飛躍的に発展し、進歩してきました。この歴史に学べば,遺伝子の解明が進んだ現在、次の生命科学の進展のために新しい発想のもとに革新的な技術開発が求められていると言えます。研究領域「生命現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術」は、分子から細胞、個体にわたり新しいツールを創出し、生命現象解明のために新しい道を切り開くことを目指し設定されたものです。その成果は新しい生命科学の創成のみならず,診断・治療など新しい医療技術の開発につながることが期待されます。

 本領域は、平成16年度から開始され、初年度4課題、第2年度5課題、第3年度5課題の合計14課題を採択し、そのうち初年度の4課題、第2年度1課題、第3年度1課題が当初設定した研究期間を終え、平成22年3月に終了しました。それぞれの課題で成果にばらつきがあるものの、ユニークな発想のもとにさまざまな要素技術開発を経て、新しい計測装置や手法の確立に成功しています。さらにこれらの手法を生物に応用し、既存の手法では不可能だった情報を得ることが出来るようになり、新しい可能性を示しています。この結果,生物機能のメカニズム解明へ新しい視点を導入したり,生命科学の新しい分野の創成への道を切り開いた研究もあります。また、汎用的装置の開発により,医療現場への貢献の道も切り開いています。

 このような成功の背景には異なった研究分野の衝突や融合があるように思います。この領域では生命現象の計測と言うひとつのゴールに向けてチームの数だけのさまざまなアプローチが存在します。また、ひとつのチームの中でも,計測と生物、実験と理論など異なった分野のグループが存在し、この間での融合が活発に行われています。このようなチーム間、チーム内で異なった分野間の有形,無形の相互作用から新しい研究が生まれる可能性が広がっています。CREST研究のこの機会を生かし、新しい計測手法の開発を育ててゆきたいと思っています。領域が続く最後までご支援のほど、よろしくお願いいたします。また終了したチームもCRESTの研究成果を基礎に更なる展開に弾みがついたところです。終わりに、随時適切なアドバイスを頂いたアドバイザーの先生方には、研究課題の採択に始まって、毎年開催した年次評価、中間評価、事後評価などで有益なご指導・ご助言を賜り、心から感謝いたします。