平成 14 年度および平成16年度採択課題研究終了にあたって

「高度情報処理・通信の実現に向けたナノ構造体材料の制御と利用」

研究総括 福山 秀敏 (東京理科大学 教授)

  
「ナノ構造体材料の制御と利用」という表題のもとに無機・有機にかかわらず新物質を創製し物性(特に電子物性)の可能性を追求することを物理・化学の連携協力の下で進めました。5年というのは大きな変化が起こるのに十分な期間であることを実感しています。9チームそれぞれが見事な研究活動を遂行されて特徴ある重要な成果に到達されました。たゆまないご努力の賜物に違いありません。そのような活動を間近に接することが出来、大変幸運でした。このことに対して心より祝意と敬意を表します。強い印象が残ります。またアドバイザーの先生方からいただいた数多くの適切なご提言からは多くのことを勉強させていただきました。感謝の念に耐えません。5年間いろいろ大変楽しませていただきました。
各チームがそれぞれ当初に設定した目標を達成し(ないしは当初に想定されたテーマの背後にあるきわめて重要な事実を掘り起こしそれを踏まえて目標をほとんど達成し)、そればかりではなく当初の設定には含まれなかった想定外の物理学上の大きな発見という快挙もいくつも生まれました。この意外性こそが研究の醍醐味です。達成された成果は各個人にとってすでに大きな誇りであると同時にこれからの研究活動における大きな発展のきっかけないしは基礎になると確信しています。

「物理」と「化学」の接する領域には興味深く重要なことがたくさんあってこれからますます発展することは間違いないと思いますが、発足当初それをひとつの領域として推進することは決して容易ではありませんでした。しかし、アドバイザーの先生方からのお力添えおよび皆様のご尽力により時の経過と共にメンバー間に意識の共有化が生まれ、それに伴い研究仲間としてお互いに啓発されることが多かったのだろうと想像しています。同じ領域で研究を推進した経験がこれから研究活動のさまざまな側面で反映されることを期待しています。

私個人としても、機能性分子と電極の接続という「分子デバイス」実現には不可避でありさらに界面・表面に普遍的に存在する「電極問題」や、タンパク質などの生物関連物質を物性物理の視点から追求する「生物物質科学」(フォーラム「分子系の物性」の成果)等大きな研究テーマを認識することが出来うれしいかぎりです。将来このようなテーマについてみなさまと議論する機会を持つことが出来ればすばらしいことだとひそかに思っています。

決して簡単でない領域運営を見事に遂行された事務所のみなさま、松浦技術参事、細川・池田事務参事、赤田・松本事務職員、には大変お世話になりました。ありがとうございました。加えて、領域発足から始まるさまざまなご配慮に対してJST特別プロジェクト推進室の皆様に心より感謝いたします。

 

 



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