平成16年度 研究終了報告書 (平成11年度採択課題)
「脳を守る」研究領域
研究終了にあたって

 戦略的創造研究推進事業(CREST)は平成7年に7領域で発足した。脳科学の分野では当初「脳の機能」1領域として発足したが、平成9年度より「脳を知る」、「脳を守る」、「脳を創る」の3領域に分かれ拡大発展した。「脳を守る」研究領域では平成9年から平成11年まで公募が行われ、私が研究総括としてお世話する事になった。

 平成11年度第3回の公募に際しては62件の応募があり、6名のアドバイザーの先生方のご協力を得て書類選考、口頭発表会を経て3件を採択した。採択された3課題についてはそれぞれの研究代表者のリーダーシップのもとにチームを結成して5年間にわたる研究活動が開始された。「脳を守る」研究領域としては、脳の老化、疾病のメカニズムの理解と制御を主題として斬新な発想による基礎研究が行われてきた。この3課題の終了に当たっては平成16年10月7日〜8日に最終シンポジウムを開き、それぞれの研究代表者に5年間の研究成果を報告して頂いた。研究活動を全般的に見ると発表論文では外国誌に167編、 国内誌に147編原著論文が発表された。これは1チームが1年間平均17編の論文を発表していることになる。また、国内9件の特許出願が行われうち3件が外国に出願された。

 研究テーマは広範囲にわたるが、西野チームは「DNAチップによる遺伝性筋疾患の分子病態解明」、垣塚チームは「神経変性の分子機構解析に基づく新しい治療戦略の開発」、金子チームは「プリオン複製に関与する新しい因子の同定とプリオン病治療法開発への応用」となっている。各研究テーマは何れも本来基礎的なテーマではあるが短、中期的未来に臨床応用の可能性が高く今後の発展が期待出来るものと確信している。また、3課題のうち1課題は継続研究課題として継続されることになった。

 終了にあたり貴重なご助言、ご協力を賜ったアドバイザー、金澤一郎、木村淳、高橋清久、竹下研三、立石潤、永津俊治の諸先生および科学技術振興機構本部ならびに「脳を守る」研究事務所の方々のご支援に深く感謝する。
「脳を守る」研究総括
杉田 秀夫

独立行政法人 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CRESTチーム型研究