平成16年度 研究終了報告書 (平成11年度採択課題)
「高度メディア社会の生活情報技術」研究領域
研究終了にあたって

 この研究領域は平成11年度から開始され、初年度5課題、次年度4課題、第3年度3課題の合計12課題を採択し、それぞれ5年の研究期間で進めてき た。したがって初年度の5課題は平成17年3月に終了し、その成果がここに収められている。

 この5課題はそれぞれ特徴を持っている。池内グループは巨大な文化財、文化的遺跡の3次元でのデジタルコンテンツの作成にこれまでにない技術的成果をあげた。石田グループは都市域についての実時間情報を含む多様な情報の提供、環境の可視化その他の応用に新しい可能性を示した。キャンベルグループは発話音声の持つ感情的因子を分析的にとらえることに成功し、音声研究に新しい分野を開拓した。三宅グループは教室における学生同士の協調的学習を実現するシステムを作って認知科学分野に応用し、教育方法論に新しい道を拓いた。渡辺グループはうなずきなどの簡単な動作の導入によって人とロボットとの間に心が通うことを実証的に示し、人間型ロボットやおもちゃなどで実用的なものを作った。

 これら5課題の研究テーマおよびその成果はいずれも世界的に見てそれぞれの分野をリードするユニークなものであり、今後の研究の展開に大きな影響を与えるものとなった。また、現実社会にも応用され、実用となってゆくことが十分に期待できるものとなった。

 CRESTの研究費によってこういった成果をあげることができた主たる理由は、ある程度十分な研究費が5年間安定的に与えられ、それが研究の進捗状況に応じてかなり自由に使えたこと、その事務処理のために専任の事務所を設けて研究活動をしっかり支えたことにあると考えられる。これは科研費などにはないCREST事業のもつ優れた特徴であろう。
「高度メディア社会の生活情報技術」研究総括
長尾 真

独立行政法人 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CRESTチーム型研究