戦略的創造研究推進事業は、社会・経済の変革につながるイノベーションを誘起するシステムの一環として、戦略的重点化した分野における目的基礎研究を推進し、今後の科学技術の発展や新産業の創出につながる革新的な新技術を創出することを目的としています。
　このうちCRESTにおいては、第3期科学技術基本計画の重点推進4分野（ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料）を中心に、科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえて国が定めた戦略目標の達成に向け、科学技術振興機構（JST）が研究領域を定め、研究総括のもと研究提案を公募し選考を行います。こうして採択された研究者に、単独または複数の機関にまたがる研究チームを編成していただき、研究者の方々の独創的な発想やアプローチを活かしながら、研究総括のマネジメントのもとに研究を推進していただきます。
　CRESTが開始されて12年が経ち、JSTは今年5月27日に、CRESTがこれまで果たしてきた役割を振り返るとともに、イノベーションを誘起するシステムとして今後科学技術の創出をどのように推進・支援し、社会や産業界からのニーズにつなげていくべきかを考えるシンポジウム「CREST12」を開催いたしました。成果が見えるまで時間を要するのが基礎的・基盤的研究でありますが、近年ではヒトiPS細胞作製の成功などの例に見られるように、我が国発のイノベーション・シーズの創出にCRESTが少なからず寄与できているものと自負いたしております。
　JSTは今後とも、イノベーションに大きなインパクトを与え、研究のブレークスルーを生じるような、最先端の研究者グループによる研究の特色を最大限に活かせるよう、本制度のより良い運営に努めて参る所存でございます。
　このたび、平成19年度に実施したCRESTの研究について、研究代表者ごとに研究概要及び発表した成果を掲載した「研究年報」を発刊させていただきます。広く皆様方に御覧いただき、ここに収録しました研究成果を御活用下さいますことで、研究成果の社会還元につながっていけば幸いに存じます。

平成20年9月

独立行政法人科学技術振興機構
研究領域総合運営部
部長　日夏　健一