「戦略的創造研究推進事業」は、第２期科学技術基本計画の重点4分野を中心に、国の科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、国が定めた戦略目標の達成に向けた基礎的研究を推進するものです。この事業は、新しい時代の要請に応え、平成14年度から開始したもので、これまでの戦略的基礎研究推進事業(CREST)、若手個人研究推進事業（さきがけ）、基礎的研究発展推進事業（SORST）、社会技術研究推進事業の特長を生かして再編成したものです。なお、創造科学技術推進事業（ERATO）、国際共同研究事業（ICORP）、計算科学技術活用型特定研究開発推進事業（ACT-JST）についても、平成14年度新規発足分よりこの事業のもとで実施しています。これにより今までの「戦略的基礎研究推進事業(CREST)」は、「戦略的創造研究推進事業」の公募型研究の中の、チーム型研究（CRESTタイプ）として新たに位置づけられることになりました。
　チーム型研究（CRESTタイプ）の特色は、国のニーズに対応した戦略目標の達成に向けて、研究者の方々の自由な発想や独創的なアプローチを活かし、研究を推進していただくことにあります。チーム型研究（CRESTタイプ）は、戦略的基礎研究推進事業のスタートから合わせ9年余りが経過し、その間、数多くの研究成果を挙げてまいりました。これまで、国内及び海外で発表された論文数は、累計で一万数千件にも達しております。
　なお、平成16年4月からの国立大学の法人化等に伴い、JSTは今まで以上に研究者の方々の研究活動を支援するべく、戦略的創造研究推進事業の運営について見直し、知的財産権の取り扱いや研究支援体制等について変更を行いました。これによりJSTが日本の科学技術の振興に役立つよう努力して参る所存でございます。
　このたび、平成14年度版に引き続きまして、平成15年度に実施したチーム型研究（CRESTタイプ）の研究概要および発表した論文リストを、研究代表者ごとに掲載した「研究年報」として発刊させていただくこととなりました。広く皆様方にお読みいただきまして、ここに収録しました研究成果を参考に供していただき、活用していただければ幸いに存じます。

平成16年11月

独立行政法人科学技術振興機構
研究推進部
部長　石田　秋生