講演者紹介

講演者・講演概要

三好 建正

  • 理化学研究所計算科学研究機構 データ同化研究チーム チームリーダー
  • 講演概要
    晴,曇,雨,雪,霰,気温に湿度,風向風速.日々の天気予報は,スーパーコンピュータを使ったシミュレーションを基に作られています. シミュレーションを何日も続けると,現実世界から離れていってしまいます.1ヶ月後の天気をピタリと当てることができないのは, 「予測可能性」に限界があるからです.このため,実測データを使ってシミュレーションを軌道修正し,現実世界に近づけます.これを 「データ同化」と言います.どれくらいデータがあればよいのでしょうか.天気予報を支える数理,データ同化と予測可能性について考えましょう. それは,予測を科学する,ということにも繋がります.

金 英子

  • 大阪大学大学院理学研究科 数学専攻 准教授
  • 講演概要
    材料を均一にかき混ぜること(ミキシング)は私たちの日常生活で幅広く見られます.ものをかき混ぜる作業を, 簡単な操作で, そして短時間で 行うためにミキサーが開発されてきました.この講演では, 神秘的な数としてよく知らている黄金比が, ミキサーと不思議な関係があることを 紹介します. これらの関係を記述するために登場するのが組ひもの数学です.この講演を通して, 組ひもの数学の楽しさを皆さんにお伝えしたいと思っています.

伊藤 哲史

  • 京都大学大学院理学研究科 数学・数理解析専攻 准教授
  • 講演概要
    1 と自分自身でしか割り切れない正の整数を「素数」といいます.素数の列 2, 3, 5, 7, 11, 13, 17,... は,一見ばらばらですが,様々な法則が 隠れていることが明らかになっています.素数の法則は,多くの数学者の興味を惹き,何百年・何千年にも渡って研究されてきました.最近では, 暗号理論などを通じて,実社会にも役立っています.この講演では,素数の法則をいくつか紹介するとともに,素数にまつわる未解決問題も紹介し たいと思います.参加者の皆さんの中から,将来,新しい法則を発見する人が現れることを期待しています.

蓮尾 一郎

  • 情報・システム研究機構国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 准教授
  • 講演概要
    高校生のみなさんにとって数学の証明のイメージとは,試験で点の取りにくいツラくてキツい問題,できたら避けて通りたい,というものかもしれません. 今回の講演で私はこのイメージをぜひ反転させたいと思います.具体的には,証明でお金もうけできることや(けっこう大きな額も狙えます), 全自動で証明を書く機械(実はコンピュータの起源の一つはコレです),「証明を計算する」ための数学(論理学といいます),証明を書く機械の限界 (ゲーデルの不完全性定理),などについてお話します.