1) |
マウスOX40Lに対するモノクローナル抗体を作製して、マウス実験脳炎モデルへ抗体を投与すると神経症状が著明に改善され、これは神経組織への細胞浸潤の抑制によるものと考えられた。また、OX40を介するシグナルがCD28非依存的にT細胞に補助シグナルを導入すること、寄生虫感染モデルであるリーシュマニア感染症におけるTh2タイプのサイトカイン産生にはOX40/OX40L相互作用が必須であることを明らかにした。 |
2) |
実験肝炎モデルであるConA肝炎で、FasLがConAの投与によって肝臓のNKT細胞に選択的に速やかに誘導され、これが肝炎発症のエフェクター分子であることが明らかになった。 |
3) |
TNFファミリーに属し、アポトーシスを誘導するTRAILとTWEAKのモノクローナル抗体を作製し、TRAILはIFNα/β+抗CD3抗体刺激によりT細胞上に発現誘導されるの対し、TWEAKはIFNγによって刺激された単球上に選択的に発現誘導されること、両者ともに正常細胞には細胞障害活性を示さないが、腫瘍細胞には強い障害活性を示すことを明らかにした。また、マウスにおいてはIL-2やIL-15により刺激されたNK細胞にTRAILの発現が誘導されるが、肝臓のNK細胞では未刺激でも恒常的にTRAILが発現していて、それはINFγに依存していること、種々の癌細胞の肝転移に対する抑制因子としてTRAILが機能していることを明らかにした。 |
4) |
同系腫瘍細胞にFasLやCD40L遺伝子を導入し、腫瘍が拒絶されることを明らかにした。FasL遺伝子導入細胞での拒絶は好中球によることが示され、Fas/FasL相互作用がアポトーシスを誘導するだけでなく、炎症反応を惹起することを初めて明らかにした。一方、CD40L遺伝子導入細胞での拒絶は、CD40陽性細胞である樹状細胞により産生されるIL-12を介していることを明らかにした。 |
5) |
TNFRファミリーの下流に存在するTRAF5欠損マウスを作製し、このマウス由来のB細胞やT細胞では、CD40やCD27を介する活性化に障害が認められることを明らかにした。更に、TRAF2/TRAF5の二重欠損マウスを作製し、このマウス由来の胎児線維芽細胞では、TNFによるNF-κBの活性化に顕著な障害があることから、TNFによるNF-κBの活性化はTRAF2とTRAF5が担っていることが明らかになった。また、TRAF2/TRAF5二重欠損マウスの胎児線維芽細胞は、TNF誘導性細胞死に対する感受性が亢進していることが示されたので、レトロウイルスベクターで構築したcDNAライブラリーを遺伝子導入して、TNF存在下で生存してくるクローンを解析し、新たな抗アポトーシス遺伝子を見出した。 |
6) |
時計遺伝子として有名なショウジョウバエperiodの哺乳類ホモログper1を同定し、脳内の視交叉上核に時間特異的に発現すること、更にper遺伝子ファミリー2個を単離し、ショウジョウバエでは見られない時計遺伝子の分子多様性が存在することを見出し、その機能解析を行った。 |
7) |
IL-1α、IL-1β、IL-1α/β、及びIL-1ra(レセプターアンタゴニスト)遺伝子の欠損マウスを作製し、IL-1の種々ストレス応答における生理的役割や疾患モデルにおける役割を明らかにした。 |
8) |
自己抗体産生B1細胞の選択、異常増殖、分化、成熟のメカニズムを明らかにするため、SLEモデルマウスを用いて連鎖解析を行い、B1細胞の異常増殖には複数の遺伝子領域の関与が示唆され、それらの遺伝子座を同定した。 |