研究代表者 | 中西 準子 | 横浜国立大学環境科学研究センター 教授 |
主たる研究参加者 | 益永 茂樹 | 横浜国立大学環境科学研究センター 教授 |
田中嘉成 | 横浜国立大学環境科学研究センター 客員助教授 | |
岡 敏弘 | 福井県立大学経済学部 教授 | |
巌佐 庸 | 九州大学理学部 教授 |
1) | ダイオキシン類の解析 最も広範囲に事例研究が行なわれたのは、ダイオキシン(多塩素化ジベンゾダイオキシン/多塩素化ジベンゾフラン)についてであった。この研究の特徴は、有害性がないとされているコンジェナーについても分離定量し、解析に用いたこと、コンジェナー毎の物理化学的な性質の違いを考慮した解析を行ったことである。 生物圏動態では、プランクトンから魚類までの食物連鎖上での栄養段階との関連、さらには鳥類(カワウなど)への蓄積とそのリスク評価などの研究が行われた。また、発生源解析では、東京湾、宍道湖などの底質の分析を通して、主要な発生源として焼却の他に水田除草剤があることを見出した。新しく見出したこれらの発生源は、ダイオキシンのリスク評価に大きな影響を与える因子となっていることを明らかにした。人の健康リスク評価を行い、胎児に対するリスクも評価した。リスクマネジメントでは、焼却炉のダイオキシン対策のリスク・ベネフィット解析を行い、施策の妥当性を検討した。 |
2) | 自動車排ガス由来のベンゼン 常時モニタリングの結果をインターネットで広報すると同時に、その結果を用いて全国のベンゼン濃度を推定し、リスク評価を行った。それをもとにベンゼン削減策のリスク・ベネフィット解析を行った。 |
3) | アマゾン流域の水銀汚染について、現地調査を基に水銀によるリスクの推定を行った。 |
4) | DDTによるセグロカモメ、ハイタカに対するリスク評価を行った。生態リスクは、生息地消失換算リスクという尺度で評価した。DDT禁止政策についての、リスク・ベネフィット解析を行った。 |
5) | 中池見湿地(福井県)開発に伴う絶滅危惧種15種について、期待多様性損失を算出した。これは、個々の生物リスクではなく、生態系全体のリスクを表現したものである。リスク・ベネフィット解析も行なった。 |
6) | 愛知万博予定地の開発に伴う絶滅危惧種27種の絶滅リスク増加分を算出した。 |
7) | 85の安全、環境対策の費用効果分析(リスク・ベネフィット解析)を行った。 |
8) | 13の物質(ディーゼル排出物、ベンゼン、ホルムアルデヒド、ラドン、クロロピロフォス、トルエン、キシレン、ヒ素、クロルデン、DDT、ダイオキシン、カドミウム、水銀)について、LLEを用いて日本人のリスクを評価し、比較した。 |