研究領域「精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出」中間評価(課題評価)結果

1.研究領域の概要

 本研究領域は、少子化・高齢化・ストレス社会を迎えたわが国において社会的要請の強い認知・情動などをはじめとする高次脳機能の障害による精神・神経疾患に対して、脳科学の基礎的な知見を活用し予防・診断・治療法等における新技術の創出を目指すものである。
 具体的には、高次脳機能障害を呈する精神・神経疾患の分子病態理解を基盤として、その知見に基づく客観的な診断及び根本治療に向けた研究を対象とする。例えば、生化学的もしくは分子遺伝学的観点から客観的な指標として利用可能な分子マーカーあるいは非侵襲的イメージング技術など機能マーカーを用いた診断法の開発、遺伝子変異や環境変化などを再現した疾患モデル動物の解析、根本治療を実現するための創薬に向けた標的分子の探索・同定などが研究対象となる。
 なおこれらの研究を進めていく上では、疾患を対象とした臨床研究と脳科学などの基礎研究、精神疾患研究と神経疾患研究、脳画像などの中間表現型解析研究と遺伝子解析研究など、異なる研究分野や研究手法の有機的な融合をはかる研究を重視する。

2.中間評価の概要

2−1.評価の目的、方法、評価項目及び基準

 戦略的創造研究推進事業・CRESTにおける中間評価の目的、方法、評価項目及び基準に沿って実施した。

2−2.評価対象研究代表者及び研究課題

平成19年度採択研究課題
(1) 井ノ口 馨 (富山大学大学院医学薬学研究部 教授)
恐怖記憶制御の分子機構の理解に基づいたPTSDの根本的予防法・治療法の創出 恐怖記憶制御の分子機構の理解に基づいたPTSDの根本的予防法・治療法の創出PDF(140KB)
(2) 岩坪 威 (東京大学大学院医学系研究科 教授)
アルツハイマー病根本治療薬創出のための統合的研究  アルツハイマー病根本治療薬創出のための統合的研究PDF(128KB)
(3) 貝淵 弘三 (名古屋大学大学院医学系研究科 教授)
神経発達関連因子を標的とした統合失調症の分子病態解明 惑星間航行システム開発に向けたマルチスケール粒子シミュレーションPDF(123KB)
(4) 高橋 良輔 (京都大学大学院医学研究科 教授)
パーキンソン病遺伝子ネットワーク解明と新規治療戦略 パーキンソン病遺伝子ネットワーク解明と新規治療戦略PDF(127KB)
(5) 宮川 剛 (藤田保健衛生大学総合医科学研究所 教授)
マウスを活用した精神疾患の中間表現型の解明 マウスを活用した精神疾患の中間表現型の解明PDF(138KB)

2−3.中間評価会の実施時期

 平成22年11月22日(月)

2−4.評価者

研究総括
樋口 輝彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 理事長
領域アドバイザー
有波 忠雄 筑波大学大学院人間総合科学研究科 教授
市川 宏伸 東京都立小児総合医療センター 顧問
糸山 泰人 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院 院長
岡崎 祐士 東京都立松沢病院 院長
梶井 靖 田辺三菱製薬株式会社薬理第一研究所 主席研究員
吉川 潮 神戸大学自然科学系先端融合研究環 バイオシグナル研究センター センター長・教授
桐野 高明 独立行政法人国立国際医療研究センター 理事長
服巻 保幸 九州大学生体防御医学研究所・遺伝情報実験センター ゲノム機能学分野 教授
御子柴 克彦 独立行政法人理化学研究所脳科学総合研究センター グループディレクター
米倉 義晴 独立行政法人放射線医学総合研究所 理事長
外部評価者
小野 晃 独立行政法人産業技術総合研究所 副理事長・つくばセンター所長