研究領域「実用化を目指した組込みシステム用ディペンタブル・オペレーティングシステム」中間評価(課題評価)結果

1.研究領域の概要

 コンピュータ技術の進展に伴い、基幹業務系や汎用PCのみならず、ホームサーバ、デジタルTV、組込み型高性能サーバ、車載制御装置、生産制御装置、通信制御装置、ロボット、携帯機器、モバイル・ウェアラブルコンピュータ、センサー・アクチュエータなど、多数の情報機器・システムがネットワークに接続されるようになってきており、近い将来にいわゆるユビキタス情報社会を構成するであろうと見込まれます。この時、これらの要素システムの多くは目的別の組込みシステムとして構築され、高い信頼性、応答性を確保しつつ、小さく、軽く実現することを要求されます。加えて、それらを接続した情報システムの信頼性、安全性、セキュリティ、性能などの要求を満足でき、さらには将来の拡張性や変更に動的に対応できなければなりません。このようなディペンダブルなシステムを構築するためには、オペレーティング・システム(OS)のレベルからイノベーティブな研究開発を行う必要があると考えられます。本研究領域は、ディペンダブルな情報システムを構築するための組込みシステム向けのOS及び関連したシステム技術の研究開発を行うものです。
 本研究領域では、将来、社会で実際に広範に使用されうるOS及び関連したシステム技術を創出するために、実用化を目指し、個別の研究成果を統合して実用システムとして実現が可能であることを実証し、オープンソースの形で将来の更なる研究開発の基盤を提供することを目指します。このため、本研究領域においては、研究総括の強い統率の下で、必要に応じて研究体制の再編や研究の進め方の調整を行うことにより、研究領域内の研究を横断・統合した推進体制をとり、適切な研究領域運営を行っています。この方針に基づき、ディペンダビリティの概念をWhite Paperとして発行し、各研究課題による研究活動と同時に各研究課題から選ばれたメンバから成るコアチームを結成し、個別の研究活動を越えた研究開発を行っています。コアチームはこれまでに、ディペンダビリティ要求を合意するための手法ならびにツールの検討を行い、報告書を発行し、領域全体として成果を統合してゆく為の重要な役割を担っています。

2.中間評価の概要

2−1.評価の目的、方法、評価項目及び基準

 戦略的創造研究推進事業・CRESTにおける中間評価の目的、方法、評価項目及び基準に沿って実施しました。評価結果は、上述のコアチームでの活動内容に関する評価も含める形で、研究課題毎に纏めました。

2−2.評価対象研究代表者及び研究課題

平成18年度採択研究課題
(1) 石川 裕 (東京大学情報基盤センター 教授)
並列・分散型組込みシステムのためのディペンダブルシングルシステムイメージOS 並列・分散型組込みシステムのためのディペンダブルシングルシステムイメージOSPDF(153KB)
(2) 佐藤 三久 (筑波大学計算科学研究センター センター長)
省電力でディペンダブルな組込み並列システム向け計算プラットフォーム 省電力でディペンダブルな組込み並列システム向け計算プラットフォームPDF(151KB)
(3) 徳田 英幸 (慶應義塾大学環境情報学部 教授)
マイクロユビキタスノード用ディペンダブルOS マイクロユビキタスノード用ディペンダブルOSPDF(147KB)
(4) 中島 達夫 (早稲田大学理工学術院 教授)
高機能情報家電のためのディペンダブルオペレーティングシステム 高機能情報家電のためのディペンダブルオペレーティングシステムPDF(145KB)
(5) 前田 俊行 (東京大学大学院情報理工学系研究科 助教)
ディペンダブルシステムソフトウェア構築技術に関する研究 ディペンダブルシステムソフトウェア構築技術に関する研究PDF(141KB)

2−3.中間評価会の実施時期

 平成21年9月4日(金)

2−4.評価者

研究総括
所 眞理雄 (株)ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長
副研究総括
村岡 洋一 早稲田大学理工学術院 教授
領域アドバイザー
岩野 和生 日本アイ・ビー・エム株式会社未来価値創造事業 執行役員
菊野 亨 大阪大学大学院情報科学研究科 教授
妹尾 義樹 NEC Laboratories America, Inc. Director
田中 英彦 情報セキュリティ大学院大学 情報セキュリティ研究科長・教授
松田 晃一 (独)情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター 所長
安浦 寛人 九州大学 理事・副学長
外部評価者
服部 雅之 トヨタ自動車株式会社制御ソフトウェア開発部 第1機能ソフトウェア開発室長