研究課題別中間評価結果

1.研究課題名
無機ナノ結晶・高分子系の自己組織化と生体組織誘導材料の創出
2.研究代表者
研究代表者 田中 順三 独立行政法人 物質・材料研究機構 生体材料研究センター センター長
3.研究概要
 本研究では、バイオミネラルの形成メカニズムを、無機・有機界面相互作用をキーワードにして、界面モデル系・自己組織化材料系・新規結合系・組織工学医学応用系の4つの研究グループの相互連携によって研究を進める。界面モデル・自己組織化材料・新規結合系の研究グループでは、骨・軟骨・神経・靭帯等の組織再生に有効な材料を探索し、自己組織化機構を制御することにより生体類似構造体を構築している。組織工学・医学応用系のグループでは、創出した材料を用いて細胞培養・動物実験を行い各種組織の再生に適した利用法について検討する。
4.中間評価結果
4−1.研究の進捗状況と今後の見込み
 アパタイトのナノ結晶と数種類の生体高分子について自己組織化機構を発現させることに成功し、生体組織類似構造体を構築できた。細胞培養・動物実験により、得られた材料が運動機能系組織(骨・靭帯・軟骨・神経など)を誘導再生する材料として医学応用が可能であることを実証した。
4−2.研究成果の現状と今後の見込み
 本研究は、基礎研究と言うよりも、骨・靭帯・軟骨・神経などの生体組織を再建するための技術としての応用展開の段階にきていると考えられる。今後種々のレベルでの応用展開があると考えられ、実用研究としてレベルが高い。
4−3.今後の研究に向けて
 本研究では共同研究の広がりが著しく大きく、実用化や、臨床試験にウエイトがかかっていくようである。それはそれで結構であるが、CRESTの段階は過ぎたともいえる。今後は応用展開を目指したプロジェクトとして発展するのが適当であろう。
4−4.戦略目標に向けての展望
 分子複合系の構築と機能という戦略目標に沿った成果が得られている。しかし、前述したように、基礎的というより応用的な段階に達していて、今後、医用材料科学的な展開が期待される。
4−5.総合的評価
 コラーゲン存在下でアパタイトが生成することが基礎となっていて、多くの実用化が研究されている。特に骨の再生などでは優れた結果が得られていて、その点での評価は高い。一方、基礎研究として、分子論の段階での掘り下げには不満が残る。研究のカテゴリーを変えてさらなる展開を期待したい。
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