研究課題別中間評価結果

1.研究課題名
ハイブリッド型生理活性分子の高効率構築法の開発
2.研究代表者
研究代表者 鈴木 啓介 東京工業大学大学院 理工学研究科 教授
3.研究概要
 本研究では、生理活性天然有機化合物によく見られるハイブリッド構造(生合成系を異にする複数のユニットから成る分子構造)の合成的問題に関連し、高ひずみ化合物、ルイス酸などの反応性化学種、あるいは生体触媒などを駆使し、新反応や新合成法の開拓を目指している。
4.中間評価結果
4−1.研究の進捗状況と今後の見込み
 当初計画に沿って進捗は順調と見られる。従来から展開してきた、C-グリコキシド化反応に加えて、疑似C2対称性ジオールに対する位置選択的な糖の導入、カテキン、エピカテキンの合成単位の選択的活性化法、グループ選択的なヒドロアルミニウム化反応など新規で有用性の高い研究が展開されている。今後もかなり高い成果が期待できる。
4−2.研究成果の現状と今後の見込み
 アクアヤマイシン、プラジミシンC、ラピドマイシン、TAN1085の全合成など立派な成果があがっていて今後も期待できる。5年計画の3年経過を考えると、成果が若干遅れ気味のようであるので今後の加速を望みたい。
4−3.今後の研究に向けて
 有機合成化学を知的に進めているという、今の体制のまま研究を続行してほしい。全体として、高度な目標を掲げているので、全合成が中途半端になる心配もあるので、ターゲットをある程度絞って進める必要もあろう。
4−4.戦略目標に向けての展望
 従来の天然物有機化学は、人体を構成する物質群を、糖類、脂肪、タンパク質などに分類し、人体外の物質を、アルカロイド、マクロリド、色素などに分類して研究を行ってきた。本研究では単純な構造(構成要素)ではない、芳香族/糖/ヘテロ原子のハイブリッド型分子を研究対象としている。これは分子複合系の構築と機能という戦略目標によく合致しており、多くの成果が出ている。また、これらの成果から有用な物質が合成されると期待される。
4−5.総合的評価
 世界でもトップレベルの成果を上げており、有機合成化学を知的に追究するという観点からも高い評価があたえられる。
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