研究課題別中間評価結果

1.研究課題名
乾燥地植林による炭素固定システムの構築
2.研究代表者
研究代表者 山田 興一 信州大学繊維学部 教授
3.研究概要
 未利用乾燥地大規模植林による持続可能な炭素固定システムの確立を目的とし、現地特有の土壌物性、水環境、樹木特性、気候に関する基礎データを取得し、土壌、樹木、大気を結合した緑化シミュレータの構築を行うとともに、対象地において植林試験を行い、緑化技術の提案、評価を行ってきた。シミュレータの骨組みが構築され、現実に即した改良の段階に至った。また提案された緑化技術の妥当性が明らかになってきた。
4.中間評価結果
4−1.研究の進捗状況と今後の見込み
 未利用乾燥地大規模植林による持続可能な炭素固定システムの確立を目的とし、西オーストラリアの乾燥地(年間降雨量200mm程度の地域)において、現地特有の土壌物性、水環境、樹木特性、気候に関する基礎データを取得し、土壌、樹木、大気を結合した緑化シミュレータの構築を行うとともに、対象地において植林試験を行い、緑化技術の提案、評価を行ってきた。今後は実証試験の効果の持続性を確認するとともに、さらに多様な環境条件に応じた植林戦略が提案される。シミュレーターは実測データに基づきサブモデルの改良を進められる。
4−2.研究成果の現状と今後の見込み
 シミュレータの骨組みが構築され、今後、現場のデータと比較しながら改良していくという段階に至った。これらの研究を通して、提案された緑化技術の妥当性が明らかになってきた。
 研究代表者を中心に、日本からの研究と現地の人々がよく協力し成果を挙げつつある。ワークショップ等を通じて相互の情報交流も順調のようである。論文発表も積極的に行っており評価されている。植林の実績、3次元的な水移動解析、雨水の集水・保水技術の開発等が今少し進展すれば、将来の大規模緑化、広域に適用できる最適な植林シナリオ構築の可能性が見えてくるだろう。
4−3.総合的評価
 緑化プラットフォームの効果が10,000円 / t-Cと試算されており太陽電池などよりよほど経済効果が大きい。自然相手の仕事であり息の長い取り組みが必要であろう。世界各地での植林の取り組みはあまり成功例がないようだが、本研究チームはシステマティックな実験で西オーストラリアの対象地域全域における炭素固定量を予測するシミュレーションモデルを実証しようとするもので、成功すればインパクトは大きい。
 現在までの研究の進展状況は成功を予測させる。京都議定書が成立すれば炭素固定のための国際共同研究の重要性が一層増してくる。今後は、そのために相手国との研究協定のあり方などもよく検討しておく必要があろう。
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