・ | ウシ心筋チトクロム酸化酵素の結晶化条件と結晶凍結条件の改良の結果、酸化型酵素で1.65Å分解能までの反射が確認できた。さらに、酸化還元反応中間体であるP-formとF-formの結晶を得た。複合体T(分子量100万の膜タンパク質複合体)の粉末X線回折実験に成功した。 |
・ | 偏光によるチトクロム酸化酵素結晶の吸収スペクトルの測定により、結晶中でのヘムの配向の規則性が明らかとなった。 |
・ | 酸化還元状態や配位子結合状態の変化に伴うタンパク質部分の静的な構造変化検討の予備実験として赤外分光学的検討を行ない、条件を整備すれば軽水、重水何れの中でも1200 cm-1以上の全ての赤外領域での測定が可能であることを明らかにした。 |
・ | チトクロム酸化酵素は、完全な嫌気状態で滴定すると6電子当量が必要であることが明らかになり、余分の2電子当量は酸化型酵素に結合している架橋過酸化物の還元に利用されると考えられる。 |
・ | チトクロム酸化酵素結晶標品に含まれる4種のリン脂質の構造を質量分析によって脂肪酸の構造まで決定した。 |
・ | 複合体Tの酵素反応速度論的解析を行なった。 |
・ | ビームラインはH11年10月に稼動を開始し、改良の余地はあるものの要求を満たす性能を発揮している。 |
・ | 2.3Å分解能のX線構造の検討の結果、リン脂質は全てX線構造に認められた。 |