研究開発トピックス

ヒト由来線維芽細胞をフィーダー細胞に用いて、ヒトiPS 細胞作製に成功

掲載日:2009年12月10日

京都大学物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センターの山中伸弥教授と高橋和利講師らは、自己を含めヒトに由来する線維芽細胞をフィーダー細胞に用いて、ヒトiPS細胞作製に初めて成功した。

フィーダー細胞とは、試験管内の培養が難しい細胞の場合に、足場となる別の細胞を用いて培養環境を整える方法の一つである。iPS細胞の作製にあたっては、フィーダー細胞無くしては染色体が不安定になるなど、培養の必須条件となっている。これまではマウスなど他の動物種由来細胞が用いられてきた。

高橋講師らは、4人に由来するヒト線維芽細胞をフィーダーとして用いた場合に、ヒトiPS細胞の再生能維持、多能性マーカー遺伝子の発現、分化能などを指標として、培養環境の点から検証した。

その結果、全てのヒト由来フィーダー細胞は、19代に及ぶ継代にわたり、ヒトiPS細胞の未分化状態維持ならびに正常な染色体維持に有効であった。また、分化因子を添加すれば、三胚葉全ての細胞系への分化能を示し、テラトーマ形成を指標とする増殖能も保持していた。フィーダー細胞に由来する培養上清も、同様な効果があった。

自家細胞によるiPS細胞作製にあたり、他種及び他家に由来する培養環境を出来る限り排除する事で、ウィルスやプリオンなどの感染を回避する事が可能となる。
今後の臨床応用にあたり、iPS細胞の安全性をいかに担保するかが最大の課題であったが、本論文に示された緻密な実験条件の検証により、培養環境という観点から画期的な進展があったと言える。
(本間美和子)

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