研究開発トピックス

初期化因子Oct4だけでヒトiPS細胞の作製に成功

掲載日:2009年11月05日

Direct reprogramming of human neural stem cells by Oct4

ドイツ マックスプランク研究所 ハンス・シェーラー教授らのグループは、初期化因子Oct4だけでヒトiPS細胞の作製に成功した。
本年2月、同グループは成体マウス神経幹細胞からのiPS作製には、外来遺伝子としてOct4のみで十分である事を発表した (*Cell 136,p411-419,2009)。
今回、同様の手法でヒト胎児由来神経幹細胞(NSCs:neural stem cells)を初期化させることに成功し、2つのiPSクローン細胞(1F human NiPS clone A and C)を作製したと発表した。
共に、ヒトES細胞と同様の、(1)形態、(2)Oct4、SSEA4、TRA-1-60、TRA-1-81等のES細胞を特徴付ける遺伝子の発現、(3)エピジェネティックな遺伝子リプログラミングパターン(遺伝子プロモータ領域のDNAメチル化)、(4)網羅的に解析した遺伝子発現パターン、(5)ES細胞と同様に3つの胚葉系への分化能、をすべて保持していた。

NSCsでは、もともと内在性のSox2、Klf4、c-Myc遺伝子を発現していることから、1つの外来遺伝子による初期化が可能であった事が考えられた。
この結果から、造血系細胞など分化段階の進んだ体細胞では、iPS作製効率を上げるために初期遺伝子発現を相補する工夫をすれば良いことが検証されたといえる。
直接、初期化タンパク質を導入する方法についてはすでに報告されたが、今後、初期化遺伝子発現を相補する活性を持つ低分子化合物など、化学物質の利用が期待されるところである。

(本間美和子)

*Oct4-induced pluripotency in adult neural stem cells
Kim J.B. et al., Cell 136,p411-419, 2009 (6 February)

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