文部科学省科学技術試験研究委託事業
再生医療の実現化プロジェクト(第Ⅱ期)

プログラムディレクター 髙坂 新一

ヒト幹細胞を用いた研究を通して
再生医療の実現化を目指す

文部科学省科学技術試験研究委託事業「再生医療の実現化プロジェクト」は平成15年度からの10カ年計画(第Ⅰ期は平成19年度終了)で実施されており、細胞移植・組織移植によってこれまでの医療を根本的に変革する可能性を有する再生医療について、必要な幹細胞利用技術等を世界に先駆け確立し、その実用化を目指すものであります(ここでの実現化とは、臨床研究に移行できる直前の前臨床研究の段階まで進展させることを意味します)。第Ⅱ期(平成20年度~24年度)においては、社会のニーズを踏まえたライフサイエンス分野の研究開発プロジェクトとして、第Ⅰ期の成果及び再生医療に関する研究の現状を踏まえ、国民への効率的な成果還元のため「ヒト幹細胞を用いた研究」を中心とした研究開発を通じた再生医療の実現化を目指しています。特に、平成19年11月のヒトiPS(人工多能性幹)細胞の樹立を受け、同細胞を活用した再生医療の実現化について、拠点整備事業を含めた研究をオールジャパン体制で強力に推進することを目的としています。

プロジェクトの概要

プログラムオフィサー 赤澤 智宏 東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科 教授
プログラムオフィサー 梅垣 昌士 大阪大学臨床医工学融合研究教育センター 特任准教授

プロジェクトの概要

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トピックス成果紹介

京都大学iPS細胞研究統合推進拠点
(京都大学)

臨床応用に有用な、腫瘍形成のリスクを低減するiPS細胞の作製方法が開発されました。その内の1つは、原がん遺伝子c-Myc(※1)を用いることなく、L-Myc(※1)を誘導因子として用いた方法です。c-Mycに比して、L-Mycは効率よくiPS細胞を誘導し、かつキメラマウス実験で腫瘍形成はほとんどありませんでした。他にも、遺伝子導入に際してエピソーマルベクターを用いることで、ゲノムに外来遺伝子を挿入することなく、効率よくiPS細胞を作製する方法などを開発しました。

再生医療の実現化を目指したヒトiPS細胞・ES細胞・体性幹細胞研究拠点
(慶應義塾大学)

私たちは、iPS細胞の由来となる体細胞の種類が、分化誘導と移植後の安全性に大きく影響することを見出しました。また、選抜した「安全な」iPS細胞クローンは、脊髄損傷モデルマウスに対する治療効果を有する事を証明しました。現在は、ヒトiPS細胞由来神経幹細胞を用いて、脊髄損傷モデル動物(マウス、サル)に対する治療効果の検討を行っています。

ヒトiPS細胞等を用いた次世代遺伝子・細胞治療法の開発
(東京大学)

  • 免疫再生療法への応用を目的として、Tリンパ球(※2)からiPS細胞を樹立する方法を確立しました。
  • 多検体の解析からiPS細胞のゲノム安定性についての基礎データを得て、iPS細胞臨床応用の安全性を高めるための培養法の検討を開始しました。
  • ジャームライントランスミッション(※3)するラットiPS細胞株の樹立および選別法を工夫し、前臨床試験に有用なモデルラットを作出することを容易にしました。

ヒト多能性幹細胞の分化誘導・移植の技術開発と技術支援のための総合拠点
(理化学研究所)

  • ヒト多能性幹細胞を分散培養した際に起こる細胞死の原因を究明しました。
  • 網膜色素変性の疾患特異的iPS細胞を樹立しました。
  • マウスのES細胞から小脳プルキンエ細胞(※4)を選択的に誘導することに成功し、細胞移植で胎児小脳へ生着も実証しました。
  • マウスのES細胞から立体的な網膜組織を試験管内で作製する自己組織化培養を確立しました。

※1 c-Myc 、L-Myc:遺伝子の一つで核内DNAに結合して働く遺伝子
※2 Tリンパ球:免疫(外敵からからだをまもるしくみ)を担当しているリンパ球の1種。ウイルスやがん細胞とたたかうために大切な細胞です。
※3 ジャームライントランスミッション:ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞が生殖細胞に分化でき、遺伝子が次世代に伝わること。この能力をもった多能性幹細胞を用いることで、ヒトの病気のモデルになるような遺伝子改変動物を作ることが容易になります。
※4 小脳プルキンエ細胞:小脳にある神経細胞の1種

研究課題一覧

研究代表者 代表研究機関 研究題目
ヒトiPS細胞等研究拠点整備事業
山中 伸弥 京都大学 京都大学iPS細胞研究統合推進拠点
岡野 栄之 慶應義塾大学 再生医療の実現化を目指したヒトiPS細胞・ES細胞・体性幹細胞研究拠点
中内 啓光 東京大学 ヒトiPS細胞等を用いた次世代遺伝子・細胞治療法の開発
笹井 芳樹 理化学研究所 ヒト多能性幹細胞の分化誘導・移植の技術開発と技術支援のための総合拠点
個別研究事業:研究用幹細胞バンク整備領域
原 宏 先端医療振興財団 研究用臍帯血幹細胞バンク整備
個別研究事業:幹細胞操作技術開発領域
谷 憲三朗 九州大学 ヒトiPSならびにES細胞を用いた安全かつ効率的な造血幹細胞分化法の開発
汐田 剛史 鳥取大学 ヒト間葉系幹細胞を機能性肝細胞として、移植医療に使用するための
低分子化合物・細胞シートによる分化誘導技術の開発
個別研究事業:幹細胞治療開発領域
弓場 俊輔 産業技術総合研究所 重度先天性骨代謝疾患に対する遺伝子改変間葉系幹細胞移植治療法の開発
武田 伸一 国立精神・神経医療
研究センター
筋ジストロフィーに対する幹細胞移植治療の開発
室原 豊明 名古屋大学 iPS細胞由来血管前駆細胞を用いた新規血管再生医療の展開研究

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